ロッテ佐々木千隼投手(27)が14日、東京・日野市の大坪冬彦市長を表敬訪問した。日野で生まれ育ち、高校も日野。大学はそこから約12キロの桜美林大(町田市)に進み、人生の大半を“近所”で過ごした。

甲子園を目指す球児は、西東京なら日大三のような強豪私学に入る人もいれば、地方に野球留学する人もいる。日野高を選んだ理由を確認すると「近いからです」。思わず「流川なの?」と突っ込んでしまう回答が来た(スラムダンク世代じゃない方、すみません)。「本当に近いんですよ。山の上なんで、家が。行きは速いですけど帰りが…」と自転車通学のしんどさが思い出されたようだった。

話す時の印象はずっと変わらない。素朴というか、偉ぶらないというか。16年のドラフト会議前日、桜美林大の公開練習におじゃました際も「本当に指名されるんですかね」「不安です」と繰り返していた。1位指名の可能性があった兵庫方面や愛知方面からも番記者が来ていて、周りの大人たちで「大丈夫。上位12人には絶対入るから」と励まして(?)いた。

所属する組織と選手の内面はある程度、リンクするように感じる。横浜高校の選手は横浜高校っぽい受け答えをするし、公立校の選手にもらしさがある。それで言うと、実直で飾らない佐々木千の「らしさ」は地元で過ごした時間が培ったものだろうし、ロッテという球団とも合っているように思える。

「日野ですか。帰ってきたら落ち着く場所。ずっと育ってきた街ですし、思い入れありますよ。観光大使になれたらいいなと思います(笑い)」。最後のひと言は若干、言わされた感があったけれど、育ててくれた日野への謝意は本音。もし観光大使なる役職ができた際には、ぜひ率先してPRしてほしいなと思う。【遊軍 鎌田良美】

(日刊)