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-後期水戸學 『新論』と現代グローバリズム-(GHQ焚書図書開封第149回)

2021-08-07 21:03:43 | 近現代史

GHQ焚書図書開封第149回

-後期水戸學 『新論』と現代グローバリズム-

『新論』1825年 ただし、藩主に公刊を差し止められ1830年(天保元年)に憂国の志士たちの手によって筆写され広まった1857年刊行

 【上】國體(上)形勢(世界の情勢を論じたもの) 

     國體(中)虜情(欧米諸国が日本をどうみていたかを論じたもの) 

     國體(下) 

 【下】守禦(シュギョ)防衛・国防、 長計(チョウケイ)・国のおおもおと 教育)

 

 謹んで按ずるに、神州は太陽の出づる所、元氣の始まる所にして、 天日の嗣、世々宸極に御し、終古易らず、固に大地の元首にして万國の綱紀なり。
 誠に宜しく、宇内を照臨し、皇化の曁ぶ所、遠邇ある無かるべし。今、西荒蠻夷は脛足の賤を以て、四海に奔走し、諸國を蹂 躙し、眇視跛履、敢えて上國を凌駕せんと欲す。
 何ぞそれ驕れるや。

・文化の優位性を主張せずして、文化の独自性を主張するのが日本である。

・会澤正志齋のナショナリズムは唯我独尊であったのか?

・グローバリズムは美しい言葉ではない。アメリカが自分の国のナショナリズムをいうときにグローバリズムという言葉を使う。

・グローブとは地球。地球上に経度、緯度の線を引くことから出てきた言葉がグローバリズムの始まり。

・なぜ、イギリスに経度0の線が引かれたのか。グリニッジ標準時となったのか?

・イギリスの前は、スペイン、ポルトガルがトルデシリヤス条約で地球の線引きをした。

 

 庸俗は又謂へらく、夷教は淺陋、蠢愚を欺くべくして、君子罔くべからず。 憂ふるに足らずと。夫れ、天下の民は蠢愚甚だ衆して、 君子は甚だ鮮し。蠢愚の心一たび傾かば、則ち天下固治むべからず。
 故に聖人の造言、乱民の刑を設くること甚だ巌なるは其の愚民を惑わすを悪んでなり。
 昔、夷教の西辺に入るや愚民誑惑して所在に蔓延す、未だ百年ならずして、詿誤、戮に陥るもの二十八万人。その民に入るの速なること、此の如し・・・

 ・文明開化と尊王攘夷は矛盾しない。

・危ないものをも取り込んで自分のものにする。

・外に出て力をつけ、戻ってきて、日本のためといったときには強くなる。

 

 【長計】

 後、中国は多故に属して、遠人至らず、廟堂遠大の略なく、土彊は日に蹙まり、神聖の天下を経営する所以の意は熄みめ。近世の若きは、則ち夷狄の強梁も亦、大勢に見ることあり。素定の略を挟み以て其の呑誓噬を逞うすること三百年、傲然として敢へて糠を神州に舐む。
 神聖の夷狄 を御する所以の略を倒用し、反って以って中國を謀らんと欲す。未だ一定の策を畫せず。
 朝野の論は、一是一非、因循苟且にして、以て姑息の慮をなすを免れず。赫赫神明の邦を以て座ながら腥羶異類をして、我が辺陸に陲梁せしむ。亦羞ずべからずや。
 夫れ、億兆に君師として、其の氣、世を蓋ふに足り、匈億、四海を容れるるに足り、從容として天下の事を処して余りある者は人を制する者なり。見る所、目前の利害に過ぎざる者は、事、多くは思慮の外に出て、天下を胸下に運ぶにあたはず、人に制せらるる者なり。海外のこと、目の未だ嘗て見ざるところなり。故に黠虜の、吾が思慮の未だ及ばざるところの者を以て、之を侮弄するを得るもの、怪しむるに足らざるなり。
 今、夫れ、一定の策を決せんと欲せば、宜しく、天下の大勢を観、以て彼此の虚実を審祭すべし。
 四海万国の形勢は臣既に粗ぼ、之を言えり。今、既に其の大勢に観る。即ち、宜しく八州を以て城となし、滄海を池となし、天下の全形に因り、以て戦守の略をなすべし。
 彼是の虚実を察せんと欲せば、即ち宜しく主客を審にし、以て、操縦の権を制すべきなり。

・アメリカの覇権失墜と安倍外交の貢献

 【守禦】

 夫れ、迭楽を去りて憂苦に就くは、本、人情の欲する所にあらず。安きに習ひ、居を懐ふ、滔々として皆、是なり。攘夷の令は布くと雖も、世は未だ実に夷を壌ふものにあらず。守禦の策も亦、未だ大いに釐革、創立する所あるを開かず。即ち民は未だ号令の必ず信ずべきを知らず。其の衆の心は未だ戦に決せずして、天下の兵士未だ甚だ陥らざるも亦、宜しならずや。兵法に曰く、兵士甚だ陥るときは、即ち懼れず。故に北條氏の元使を刎ねるや、天下の兵士は一朝にして甚だ陥る。
 其の之をして已むを得ざらしむる所以の者は、卒然に出づればなり。
 今、実に、一たび夷を壌へば、即ち天下の泄泄たる者は、聳然として、警むる所を知る。然る後に、歳月を玩弄する者をして、高きに上り、其の梯を去るが如くならしむ。 之を往く所なきに投ずる所以、而も兵士をして懼れざらしめんと欲すれば、これより要なるはなし。
 且つ、古の人君、大いになすあらんと欲せば、必ず赫然として震怒し、身を以て天下に先んじ、蚤夜、外朝に坐し、日に天下の大計を謀議し、或は、屯営を巡視し、躬親から撫修し、或いは布衣を引き、庭に謀猷を陳べ、慨然として肝膽を漓歴し、天下に示すに大いになすあるの志を以てし、天下と其の憂戚を共にす。 夫れ、是の如くんば、即ち天下知勇の士も亦、皆、奮然として赤誠を諭し、忠力を宣し、誓って虜と生きず。
 東西に馳聘し、争うて自ら報効せん。天下の知勇を廟堂に萃めば、廟堂一揮して、令の行わるること、響きの如く、義気は天下に溢れん。然る後に以て大いに振起作興するところあるべきなり。

・戦争を最も嫌がるのは、一番困難さを知っている軍人である。

・支那事変の場合でも、戦争に駆り立てたのは、時の政府であり、メディア(マスコミ)が戦争拡大を煽ったのである。

・アメリカが戦争に対して慎重なのは、軍事国家からである。

 

 参考文献:「會澤正志齋集」高須芳次郎

2017/10/11に公開



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