
好きな画家の1人にアンリ・ルソーがいる。
かなり以前に世田谷美術館で目にした「サン=ニコラ河岸から見たサン=ルイ島」(写真)という作品に何となく魅せられたのだが、よく考えたらそれほど深く知っているわけでないのでちょっと調べてみた。
サルヴァスタイル美術館 「アンリ・ルソー」
http://www.salvastyle.com/menu_impressionism/rousseau.html
印象派時代に活躍した素朴派を代表するフランス人画家。
魔術的とも比喩される夢想的で異国的な密林の情景や、都会の風景やその中に配した人物像などを描き、画業の当初は批評家たちの嘲笑の的となっていたものの、晩年には高評価へと一変し、現在では同時代を代表する画家として広く知られている。
その詩情的で想像力に溢れた独自の画風は20世紀最大の画家のひとりパブロ・ピカソやイタリア出身の詩人ギヨーム・アポリネール(ポーランド人)らが高く評価していたほか、新印象派の創始者ジョルジュ・スーラや後期印象派を代表する画家ポール・ゴーギャンなど同時代の一部の画家たちからも注目されていた。
素朴派の確立は19世紀末、アンデパンダン展(無審査出品制の美術展覧会)出品作家に対して、評論家がそう称したことに始まり、西欧の伝統的な美術知識の乏しさゆえの素朴な作風を意味している。
1844年フランス南西部ブルターニュ地方の小都市ラヴェルに生まれ、長年パリで税関吏として働きながら、1880年頃には絵画を描き始める。1893年、税関吏を退職し画業に専念する。1886年からアンデパンダン展に初出展し、当初は新聞や雑誌から稚拙だと酷評されたが、ほぼ毎年(1899年及び1900年以外)同展へと作品を出品し、1905年頃から次第に評価が高まっていった。1908年、ルソーを高く評価していたピカソが画家の芸術性を称えるために夜会を催す。最晩年頃は評価を高めた画家であったが、1910年パリで孤独のうちに死去。享年66歳。
賢者の石ころ 「徒然に素朴派か『アンリ・ルソー』」
http://blogs.dion.ne.jp/sekisindho/archives/2295201.html
My Art Literacy 「アンリ・ルソーのデビュー 」
http://blogs.yahoo.co.jp/les_fleurs3106/33239137.html
ピースフル・アートランドびそう 「技術と効果 アンリ・ルソー」
http://www.b-sou.com/tec-Rousseau.htm
素朴派とは、一般には画家を職業としない者が、正式の教育を受けぬまま絵画を制作しているケースのようで、アカデミックな技術や理論とは全く無縁というのが私のような素人にはむしろ好感が持てる。
アンリ・ルソーの様式や技術についてはさすがに詳しくわからないが、その人生はなかなか注目に値する。20年以上にわたって税関吏として働く傍らで独学で美術を学び、40過ぎにして画家に転身。稚拙と酷評されながらも次第に地位を高めていった。この転身は人生にとって大成功だろう。
サラリーマンから芸術家系への転身という点では「島耕作」の弘兼憲史氏などが思い浮かぶが、多くのサラリーマンにとって趣味を本業にしたり、人生半ばを過ぎて完全にキャリアチェンジをすることはそう簡単にできることではない。専門性を高めることは難しいし、現実に生活していくことも考えなければならない。
とはいえ、周りに認められるように趣味のレベルを高めること、或いは広範な趣味を持つことは人生を豊かにしてくれる。
このようなちょっとした調べごとも、少しでも人生の役に立つことを期待する。
| Trackback ( 0 )
|
|