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「そんな重要な問題は国民投票で決めるべきだ」といった声を耳にしたり、会話をすることがあるだろう。

「国民投票」は狭義には選挙以外で国民が決定を行うレファレンダム (英語: referendum) のみを指す。これを通常は国政の場合は "国民投票"、地方自治の場合は "住民投票" と訳し分けている。
そして、日本国憲法 (96条) では憲法改正の際の国民投票のみが規定されている。
また地方自治制度では、自治体の住民を対象として一定の住民投票の制度が設けられている。2015年と2020年の大阪市特別区設置住民投票で「大阪都構想」がともに僅差で否決されたのは記憶に新しい。



さて、以下の文献をもとに海外の国民投票制度について見てみよう。(従って実施例は2009年時点での情報となる)

調査と情報 No. 650 諸外国の国民投票法制及び実施例 国立国会図書館 2009.10.13.
https://www.google.com/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=&ved=2ahUKEwi1l7roq9HyAhUPZt4KHRFjDlQQFnoECAIQAQ&url=http%3A%2F%2Fwww.ndl.go.jp%2Fjp%2Fdiet%2Fpublication%2Fissue%2F0650.pdf&usg=AOvVaw289-IMCTeKt_lKxkpOa1gW

アメリカやドイツは全国的な国民投票の制度を設けていない。一方でフランス、スイス、オーストラリア、ロシア、韓国は義務的な国民投票制度と任意的な国民投票制度を併せ持ち、義務的な国民投票制度は拘束力を持つ。但し、ロシアと韓国では国民投票が実施されたことはない。
任意的な国民投票制度を持つ国には、イギリスやカナダのように諮問的な制度を有する国と、イタリアやスウェーデンのように拘束力な制度を有する国がある。
従ってイギリスで行われた国民投票、例えば2014年6月のスコットランドの独立を問う国民投票 (否決) と、2016年6の欧州連合の残留or離脱 (ブレグジット) について国民投票 (離脱) は「国民の見解を求めた」というものである。
またフランスでは国民投票が頻繁に行われており、1945年以降で180回 407件 (2009年時点) の実施例がある。憲法改正に関する内容が多いが「家族手当の全国的均一化」(2006年、可決) といったものもある。

特徴的なのはイタリアで、憲法だけでなく法律の廃止に関する国民投票が行われる。これは既に制定された法律の全部または一部の廃止について問うものである。そのため一般的には議会で決めれば充分と思われるような内容が多く含まれる。例を挙げると、
 離婚法の廃止 (1974年、否決)
 中絶法の廃止 (1981年、否決)
 マフィアメンバーの身柄保護 (1995年、可決 なぜ?)
 テレビ番組の広告による中断の禁止 (1995年、否決)
 組合費の天引き制度の廃止 (1995年、可決)
 ジャーナリスト同業組合廃止 (1997年、否決)

投票率はかつては80%超を記録していたが、徐々に下がって20%台まで下がってきている。さすがに食傷気味のようだ。
そして、中には極めて僅差だった投票もある。1995年6月11日に行われた国民投票の一つ目の投票である。

Referendum abrogativi in Italia del 1995  (Google翻訳を参照)
https://it.wikipedia.org/wiki/Referendum_abrogativi_in_Italia_del_1995

1994年の政治選挙を考慮して、シルヴィオ・ベルルスコーニ (首相) によって作成された新しい政治組織であるForza Italiaは、過激な戦いの主要な対話者になりました。国民投票キャンペーンで彼の党をコミットします。



商業施設の営業時間、ライからの宣伝、単一財務省、源泉徴収義務者、国民保健サービス、特別冗長基金、商工会議所および上院の選挙法を廃止しなければならなかった質問は、容認できないと宣言されました。憲法裁判所によって。
イタリア人は1995年6月11日に国民投票に呼ばれました。

Quesito: "Volete voi l'abrogazione della legge 20 maggio 1970, n. 300 'Norme sulla tutela della libertà e dignità dei lavoratori, della libertà sindacale e della attività sindacale nei luoghi di lavoro e norme sul collocamento', limitatamente alla parte contenuta nell'articolo 19, comma 1, e precisamente le parole: 'nell'ambito: a) delle associazioni aderenti alle confederazioni maggiormente rappresentative sul piano nazionale; b) delle associazioni sindacali, non affiliate alle predette confederazioni, che siano firmatarie di contratti collettivi nazionali o provinciali di lavoro applicati nell'unità produttiva'?"



「職場の労働者代表の3大労組による独占の廃止」を問うもので、賛成が12,291,330票 (49.97%)、反対が12,305,693票 (50.03%) で、差は僅か14,363票であった。
しかし不可解なのは、同じ国民投票の次の質問が「職場の労働者代表の3大労組による独占の縮小」を問うものであり、こちらは賛成が62.1%、反対が37.9%で可決された。
果たして、2つの質問がともに可決だった場合は、廃止されたのか縮小されたのかは謎である。
この日の国民投票は既述の「マフィアメンバーの身柄保護」「テレビ番組の広告による中断の禁止」「組合費の天引き制度の廃止」なども含まれ、全体で12の質問がされた。まさに国家的な大イベントだったと思う。
そこまで必要なのかという点はともかく、身近な問題についても国民に信を問うのは民主主義のあるべき姿ではあるだろう。

果たして日本で憲法で定められた唯一の国民投票の機会は訪れるのだろうか。


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