長女には娘、息子の2人の子、つまり私にとっての孫がいる。
〝孫自慢〟をするわけではないが、2人とも結構出来が良い。
それで、長女に冷やかし半分、こう言ってみた。
「2人とも君の血を引いていないようだな。
優秀なのは○○君の血だろう」
⃝⃝君というのは言うまでもなく娘婿のことである。
すると長女はこう返してきた。
「夫の優秀なDNAを見つけだして、それを育て上げたのは私よ」
こう胸を張ったのである。
恐れ入りました。

娘婿は香港人である。2人が結婚したいと言ってきた時は、
さすがに面食らい、即座には「いいだろう」とは言えなかった。
結婚すると、風土・習慣が全く違う香港に住むようになる。
それは長女に大変な苦労を強いることになるだろう。
親としての懸念、心配は大きかった。
香港に出向き、彼と会い
「香港にも素敵な女性はたくさんいるでしょう」
なんて言って、やんわり長女を諦めるよう言ったのだが、
それは虚しい試みであり、
結局2人に押し切られてしまったのである。
その結果が2人の孫である。
実は次女の結婚も似たような問題があった。
相手の年齢が18歳も上だったのである。
結婚当初はそれでもよいだろう。
しかし、子供が長じて大学生ともなると父親は60も半ば、
定年を迎える年齢となるのだ。
大学卒業、結婚という問題が大きくのしかかってくるはずだ。
世間の様々なあり様を見てきている親にすれば、
そんなことが心配の種となる。
だが、長女同様、こちらも押し切られてしまった。
そして、次女にも今年大学生になった可愛い可愛い孫娘がいる。

言うまでもなく、この3人の孫がいまや
私たち祖父母の生きがいである。
親心ゆえ、長女の時も次女の時も、
何だかだとクレームをつけたが、
3人の孫を抱かせてくれたことが、
長女、次女の私たちに対する答え、
感謝の気持ちなのかもしれない。