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Toshiが行く

日記や趣味、エッセイなどで描く日々

母と娘

2020年05月04日 06時04分45秒 | エッセイ
2人の娘は、それぞれアラフィフ、アラフォーの年齢になった。
もうすっかり、おばさんだ。
そして、長女には現在アメリカの大学に留学中で卒業を目前にする娘、
次女には高校3年生の娘がいる。つまり私の孫たちだ。
長女には、もう1人大学3年生の男の子がおり、孫は合わせて3人ということになる。

    孫たちも大きくなり、それぞれに自分の世界をどんどん広げているようで、
    成長するにつれ、娘が私たちに対しそうであったように反抗期があったり、
    親に言えぬ隠し事、まあ、親はたいていのことには勘づくものだが、
    そんなこともするようになる。
    大きくなっていく我が子にしばしば手こずるのは、順送りみたいなものだ。

実際に母娘のいさかいの現場に出会ったことがある。
長女の場合、何が原因か知らないが、つむじを曲げて寝室に立てこもった
娘を持て余した挙げ句、こちらへ〝救援要請〟してきたことがあった。
次女はと言えば、娘が中学生の時の運動会で昼休みに皆が円になって
弁当を食べていると——これも原因不明だが、
いきなり娘の頬に平手打ちを食らわした。
「おい、おい」とたしなめると、
次女は「このくらい何でもないわよ」と平然たるものだった。
これしきの親子のいさかいは、さして珍しくもないのだろう。
             
    一方で麗しいほどの母娘の光景もまた、少しも珍しくない。
    久し振りにアメリカから帰省した娘を空港に出迎えた長女は、
    大勢の人の前で恥ずかしくはないのかと思えるほど、
    母娘でハグを繰り返し、背中をポンポンとたたき合う。
    また、平手打ちを食らわせた次女は、母娘2人で旅行に出かけたり、
    『嵐』のコンサートに行ったりと、まるで友人みたいに付き合っている。
    そんな母娘の姿を見ると、
    「子が成長するにつれ、親子の付き合い方もまた変化していくものだ」
    ということを実感する。

新聞の読者相談コーナーの見出しに目がいった。
「幼い我が子 成長しないで」とある。
3歳と1歳の子を持つ主婦が、
    「小さな子どもたちがかわいくて、成長が寂しくてたまりません。
    ……かわいい姿を日々失っていくような気がして、
    さらに子どもが家から離れていく将来を
    想像すると絶望します。できるなら時間を止めたい」
そうまで言っているのである。
これに対し、アドバイザーの作家は「あなたも成長しなさい」と柔らかい。
    「親子ともども成長していく中で、
         いくつもの新たな喜び、楽しみを見出すはずです」と。
               確かに……。