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Jazz Rock Photo & Essay

内部露出計の無いカメラのマクロ撮影と露出補正

2006年04月12日 02時15分21秒 | カメラ
一般的なカメラのレンズには最短撮影距離が
それぞれのレンズに設定されており
その最短撮影距離より手前にある被写体は
撮影出来ないようになっています。

ではなぜそのようになっているかというと
レンズには明るさ(F値)が決まっていて
その明るさを保ったまま撮影できる距離が決まっているからです

通常レンズに近い被写体を撮影しようとすると
レンズのピントリングをどんどん前に
繰り出していかなれればピントが合いません
その繰り出す量が焦点距離の1.1倍になった時に
レンズ表記のF値がそのまま使用できなくなります。

つまり焦点距離50mm、開放F値2のレンズを絞りを開放にしてして使用した場合
レンズの絞り位置からフイルム面の距離が50.5mm以上に
なったときF値の2はそのまま使えなくなります

通常ではこのようにF値が変化してしまうことの無いように
レンズのピントリングでそれ以上繰りだされないように
ロックが掛かるようになっているのです。

しかし大判カメラやエクステンションチューブ、エクステンションベローズ、
(接写装置)などを使用して撮影をする場合は
このようにロックが掛かることなく繰り出すことが出来るのです
したがってこのような場合はF値の変化(減少)を
露出(露光時間)で補ってやる必要がでてきます

では繰り出し量によってF値がどの位変化するのかという事は
計算で知ることが出来るのです。

(露出計のF値X繰り出したときのレンズとフイルムの距離)÷レンズの焦点距離=実効F値

たとえば80mmのレンズを使用して露出計の値がF5,6
繰り出したときのレンズとフイルムの距離が160mmになった場合
(5,6X160)÷80=11,2
となりF値5,6はレンズを繰り出したことにより
2絞りアンダーのF11になっていることが分ります
したがって実際の撮影では2絞り分補正が必要になってくるわけです。
この場合F値をそのまま(指標上の5,6で)撮影したいのであれば
シャッタースピードを2段遅くしてあげれば良いわけです。
またシャッタースピードをそのままにして撮影したいのであれば
絞り値を2段開いてF2.8にすれば良いわけですが
しかし絞りを開けることによって被写界深度は
失われてしまいますので注意が必要です。

また露出倍数の計算は次の数式で計算することが出来ます
(繰り出したときのレンズとフイルムの距離÷レンズの焦点距離)X2=露出倍数
上記の例で計算すると
(160÷80)X2=4
となり2絞りの補正が必要なことが分ります。
ちなみに露出倍数は1.5は半段 2は1段、3は1段半、4は2段、9は3段を意味します。

要約するとレンズは繰り出すことによって
近くにある被写体に近づくことが出来、大きく写すことが出来ますが
繰り出す量によってはレンズの明るさが犠牲になります。
その明るさを補うため露出補正が必要になるということです。

また拡大率は焦点距離の短いレンズの方が繰り出し量に対して被写体が大きくなります。



注1
*但しこの計算はテレタイプのレンズやズームレンズなどには当てはまらない
場合があります。

注2
*文中の{繰り出した時のレンズとフイルムの距離}とはレンズの絞りの位置から
フイルム面ということでほとんどの場合適合すると思いますがレンズによっては
少しずれがあるかもしれません。

注3
*プロクサーなど接写レンズを使用した場合、補正は必要ありません。

注4
*どのようなレンズでもマクロ撮影に使用できますが光学上のピークは通常で使用できる範囲にあります、
それに対しマクロ専用レンズは接写した時に光学上のピークがくるようになっています。

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