ぶろぐ de まりもletter

声優・嶋方淳子(まりも)のブログ。日々の徒然やお仕事情報など。

復興支援ライブの感想

2012-07-08 22:24:07 | おもうこと
先日、ここでもお知らせした福島央俐音さん共催の復興支援イベントに行ってまいりましたので
ご報告です。
※この記事はだいぶ長いです、ごめんなさい(^^;)

。。。。。。

イベントはお昼からスタートして、
「気仙沼のおばんざいを楽しむ」
「福島央俐音さんの語り」
「震災当時のお話を伺う」
「風鈴ライブ」の四部構成で行われました。

おいしいおばんざいをいただいた後、
宮城県で一番被害の酷かった気仙沼に 当時いらした
鈴木孝志さん(関連記事)と大田栄子さんに
お話を伺いました。

お二人は、
震災前に興して順風満帆だった会社も、家も、仕事の貴重な資料も、
財産をすべて震災で失った… とのこと。

まさに 天国から地獄へ突き落とされたような、
想像を絶する想いをなさったんだと思います。。。



会場では、「震災のことは あまり憶えていないんです」
とおっしゃる鈴木さんの代わりに、大田さんが主にお話になられました。

大田さんは ふくよかな明るい東北美人で、
途中 涙ぐみながらも 終始 笑顔で話されていました。


震災当日、お二人は
海から3mと離れていない場所にあるロフト風のちょっと洒落た事務所で
顧客の方と3人で打ち合わせ中だったそうです。

地震で4分くらい揺れた後、鈴木さんがすぐに外へ出て
車を 会社・自家用4台すべて 高台に移しました。

大田さんが「そんなにしなくても大丈夫じゃない?」というと、
鈴木さんは「いや、でっけぇ津波が来る!」と。

そして40分後くらいに、第一波が来たそうです。

でも 大田さんが「津波が来るまでにしたこと」と言えば、
醤油の瓶が割れて床に広がっちゃったなー、コレどうしよう… とか、
スリッパだから靴に履きかえよう、でも泥だらけになるのは嫌だから
いい靴じゃなくて履き慣れた靴にしよう… なんてことばかりだったそうです。

「今 思えば、あの時間に
会社の資料やら大事なものを車に積めるだけ積み込んで、
高台に避難していれば良かったのかなぁと思いますけどねぇ…」と大田さん。


お二人の会社は、超高級アワビの養殖とその技術指導等が主なお仕事でした。
鈴木さんのアワビ養殖・種苗の技術はとても優れていて、
料亭やホテル・某航空会社国際線ファーストクラスの機内食に卸すことも決まり、
向こう3年間は注文で埋まっていたそうです。


震災直後は「必ず復活しようね!」と鈴木さんと誓い合い、
取引先や支援者の皆さんからも「ぜひ事業を復活させてください」と
たくさんのエールをもらったそうですが…
いざ行動を起こそうと思っても、体や心が動かないんだそうです。


「たくさんの方から応援していただいて、すごく感謝しています。
その気持ちにお応えしなくちゃ、とは思うんですが…」

気仙沼の海を見るとどうしても震災のことを思い出してしまう…
あの地に帰れるような状態になるのは、もっと先になると思う…
そんなことをおっしゃっていました。

「でも何か恩返しをしたい」、そんな気持ちから
現在は、ボランティアの宿泊所にもなっている岩手県一関市にある洞雲寺で
ボランティアの皆さんに気仙沼のおばんざいを出しているそうです。

他にも、
夜 真っ暗な中 燃えていたのが 瓦礫だと思っていたら実は人の家だった とか、
先月になってやっと親戚(火葬済み)が見つかった とか、
今でも気仙沼には電気が通ってなかったり信号が設置できない地域があるとか、
いろいろなお話を 大田さんやおりねさんから伺いました。

テレビや新聞では「だいぶ進んできた復興」という
明るいニュースが多くなってきてますが、
それはまだまだほんの一部なのかもしれない…
そんなふうに感じました。


。。。。。。

私は今回、
『今 被災地ではどんな支援が必要なのか』を伺えたら と思っていました。

でも、大田さんのお話の中で
「"こんな支援がほしい"とか、気仙沼の人は全く思ってないんです。
気仙沼の人間には、『ありがとう』という感謝の気持ちしかない。
たくさんいただく支援に、どうしたら応えられるのか…」

そう聞いたとき、愕然としました。

望むことより、どうしたら応えられるかのほうを考えているなんて…
そんな人に『どんな支援が必要ですか?』なんて、
「モット ガンバレ」と鞭打つようで とても聞けませんでした。。。

でも太田さんは お話の後半で
「気仙沼の人は、駐車場で県外の車を見ると
嬉しくて思わず話しかけてしまうんだそうです。
それだけ、県外から来ていただく ということが嬉しいんです。
だから もしよければ…気仙沼に遊びにいらしてください。」
と、遠慮がちに笑顔で仰っていました。


本当に謙虚な、心も綺麗な方なんだなぁと思いました。

おりねさんに
「大田さんは、震災のお話をするのはお辛くないんですか?」と聞くと、
ちょっと考えて
「大丈夫ですよ。気仙沼の人間は前向きですから」という笑顔が返ってきました。
でも… その直後、廊下で泣いている大田さんを見てしまい、
本当に大丈夫なのか 心配になってしまいました。

辛い体験を『話すこと』で癒すセラピーもありますが、
大田さんにとって『話すこと』は、傷を深めることになっていないのか…
「応援に応えなければ」と、自分を追いつめてしまってるんじゃないか…
鈴木さんみたいに、思い出せないことのほうが辛くないんじゃないか… と。



大田さん、どうか、無理をしないでくださいね。
そして皆さんに 少しでも多くの心の平安が訪れますように。

そう祈らずにはいられない、雨の七夕でした。


そして風鈴ライブは 心が洗われるような、
傷を癒したい祈りのような、そんな音が降り注ぐライブでした。


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4 コメント

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Unknown (ひらた)
2012-07-09 21:01:26
深い話しですね。
私も震災直後、知り合いのトラックを借りて東北に行きました。

そこは、見たことない世界が…

今の状態になるまで大変だったでしょうね。

行きたかったな…
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何も (嶋方貴族)
2012-07-10 00:24:50
余りにも壮絶過ぎて何も言えません

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乳飲み子を抱えて (まゆ)
2012-07-14 00:31:37
いるので、チャリティーなんかに参加する事は出来ないので、私の出来る事は被災地の作物を積極的に採り入れるようにするくらいかな。

少しでも楽しい思い出が増えて、心から笑える日が来ますように、お心の安息を祈るばかり。
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ガメラ、来日 (何時か) (ガメラ @ 横浜派)
2012-07-20 19:16:30

実は、先週までの野望:「成田空港 > 仙台 > 名古屋 > 高松 > 福岡 > 福岡空港」はちょっと無理(交通時間関係)、なので、今週から、新しい野望は:「関西国際空港 > 名古屋 > 高松 > 長崎 > 福岡 > 福岡空港」。
で、仙台市内ロケの宿題を止め、長崎市内ロケの宿題を始め。
以上。
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