ウォーク更家の散歩(東海道・中山道など五街道踏破、首都圏散策)

甲州街道を歩く( 17-2:犬目)   (山梨県上野原市) 4km   2020.11.24

   

(写真は、犬目峠からの富士山)

 

県道30号(旧甲州街道)をどんどん下って行くと、正面に

「恋塚の一里塚」が現れました。

「恋塚一里塚」は、日本橋から21里(84キロ)で、

塚の大きさは直径12メートル、高さ5メートルも

あります。

この一里塚は、江戸時代には、南塚の塚木は杉で、北塚の

塚木は松だったそうです。

写真は、現存する南塚ですが、塚木の杉は残っていません。

 

この恋塚一里塚から、県道30号(旧甲州街道)を

どんどん下って行きます。

やがて旧甲州街道は、一旦、県道30号から分かれて、

「馬宿」の集落に入ります。

分岐した旧道を進むと、次頁の写真の大庭家の「馬宿」跡

の大きな建物があります。

大庭家は、江戸時代には、百姓代(ひゃくしょうだい)を

務めていたそうです。

百姓代とは、村方三役のひとつで、組頭(年寄)や名主(庄屋)

の不正を監視する役です。   

 

旧甲州街道の恋塚旧道は、この馬宿の先から、土の道に

なりますが、直ぐに、再び、県道30号に合流します。

この合流地点が、歩いて来た恋塚旧道の西口です。

ここから、上野原市を出て、大月市に入ります。

 

県道30号をどんどん下って行くと、右手の斜面に、

写真の様に、馬頭観音像が祀られていました。

 

更に、坂道を下って行くと、写真の「山谷バス停」が

ありました。

バス停の時刻表を見てみると、何と!、1日1便だけです!

この「山谷バス停」の辺りから、富士山が見えました!!

甲州街道を歩いて来て初めて見る富士山なので

感動します!

葛飾北斎も歌川広重も、この辺りから、”犬目峠からの

富士山”として描いています。 

(葛飾北斎「甲州犬目峠」:岩波文庫「北斎 富嶽三十六景」

  から)

実際の犬目峠周辺の道は、山深いところにあるために、

この絵の様に、他の山に遮られることなく富士山を望むこと

が出来る場所はありません。

次頁の歌川広重「甲斐犬目峠」の絵を見ても、富士山の手前に

他の山がそびえ立っています。

しかし、「北斎漫画」には、「甲斐の猿橋」、「甲州

矢立の杉」などの多くの場所の正確なスケッチを残している

ので、北斎が甲州各地を訪れているのは間違いありません。

そこで、この北斎の甲州犬目峠は、敢えて、想像上の景色を

描いたものだといわれています。

(歌川広重「甲斐犬目峠」:二玄社「歌川広重 富士三十六景」

 から)

この絵の右下の隅に、絶壁の急勾配の坂道を登って行く2人の

旅人が描かれています。(茶色の丸印)

また、右脇には、立ち止まって富士山を眺めている2人の旅人

も描かれています。。(赤色の丸印)

 

広重は、犬目峠周辺の風景について、旅日記に、「甲斐の

山々遠近連なり、山高くして谷深く、桂川の流れ清麗なり。

十歩十二歩行間にかはる絶景」と書いています。

 

実際の犬目峠周辺の道は、この絵に描かれている桂川からは、

かなり離れているために、この絵の様に、渓谷を覗き込む景観

から富士山を望むことは出来ません。

従って、広重は、渓谷の深さと富士山の遠望を効果的に

再構成し直したものと思われます。

(歌川広重「富士見百図:甲斐犬目峠」:二玄社「歌川広重

 富士三十六景」から)

 

山谷バス停の先で、県道30号から、斜め右下に下りる

「原田旧道」に入ります。

村人は誰も戸外にはいませんが、それでも、ゴリラ?と

農夫の夫婦(中央奥)の案山子がお出迎えです。

この原田旧道で、県道30号をショートカットし、再び、

県道30号に合流して、どんどん下って行きます。

早朝に上野原宿をスタートしてから、整形外科医のアドバイス

を無視して約15キロも歩いたせいでしょうか、股関節炎が

再発したみたいです。

 

痛みを我慢しながら坂道を下って行きます・・・ 

 

足を引きずりながら歩いていると、晴天なのに、いきなり、

みぞれが降り始めました!

弱り目に祟り目です・・・

 

中央高速とJR中央本線をくぐると、本日のゴールの

JR鳥沢駅まで、あと一息です。   

 

次頁の写真の様に、県道30号が国道20号に突き当たると、

もう、鳥沢宿に入ったみたいです。

犬目宿から鳥沢宿までは約 4キロです。

JR鳥沢駅から中央本線に乗り、八王子で横浜線に乗り換えて、

何とか無事に、新横浜駅に帰り着きました。  

ps.この「甲州街道を歩く」シリーズは、甲州の峠道の雪が

 解け、コロナが落ち着くまでお休みします。


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コメント一覧

ウォーク更家
富岳36景を描いた場所
http://blog.goo.ne.jp/mrsaraie
ご心配いただき、ありがとうございます。

この、甲州街道踏破の一時お休みの間は、痛んだ足の治療に専念しようと思います。

富岳36景、何回見ても、やはり素敵ですよね。

しかも、描いた場所の謎解きが加わってくると、更に、見る楽しみ、視点も増えて楽しいです。
hide-san
富岳36景
https://blog.goo.ne.jp/hidebach
富岳36景を見直してしまいました。

ありがとうございました、
痛んだんだ足の治療に専念してください。
無理をすると歩けなくなりますよ。
ウォーク更家
今回もほとんど人が・・・
http://blog.goo.ne.jp/mrsaraie
ええ、言われてみれば、今回も、ゴールの鳥沢宿の中心街に着く迄は、人に遭遇しませんでした。

尤も、熊とも遭遇しませんでしたが・・・

股関節炎を抱えて、無人の甲州街道歩きなので、何かあっても助けを呼べず、緊張の連続です。

原田旧道に入って3枚目の写真、よく気付かれましたね、そうなんですよ!

私は近視が酷く目が悪いのです。

久々に人と話せる!と思って、近づいて声をかけようとしたら、等身大の人形でした・・・
はるみん
今回もほとんど人が写っていないようですね。何かあっても助けを呼べません、、、携帯電話がありましたか、、、でも、どうぞご無理をなさらないようにお願いします‼️
原田旧道に入って3枚目の写真は人のようにも案山子のようにもみえますが⁉️
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