有名な小噺に「そこつ長屋」ってのがあります。
この話の登場人物は小噺や落語によく登場する「熊」と「八」。
みなさんもこの二人の名前を耳にした事がありますよね？
では「そこつ長屋」のあらすじをご紹介しましょう
「そこつ長屋」
行き倒れの死体が出たというので河原には大勢の見物人が集まっていました。
そこを通りかかったそそっかしい八がその死体を見て「これは俺の家の隣りに住んでいる熊公だ」と言い出します。
「あなたのお知り合いか。それなら早速引き取ってください」
「いや、俺が引き取るより、当人を呼んだほうがいい」ということで八は熊公のところへ向かいました。
八「おい、お前が道端で死んでいるぞ。早く引き取ってこい」
熊「俺が死んだ？ 別にそんな気はしないな」
八「そこがお前のそそっかしいところなんだよ。とにかく行けばわかる」と二人揃って行き倒れのところへ。
そして熊公は死体を見ると「ああ、これは俺だ！」と泣き出します。
八「な、言った通りだろ。早く自分を抱いてやれ」
熊は死体を抱きしめ「ああ、そうだな。俺よ、何で死んじゃったんだ！可愛そうに！」
そしてはたと気付いて「死んでるのは確かに俺だが、生きてる俺は誰だろう？」
ってお話ですね。
有名な話なので聞いたことあるでしょう？
熊と八は落語や小噺の中ではいつも「そそっかしくて物を知らない平和なオバカさん」という役です。
知ったかぶりをしたり、物事をろくに調べもしないで騒ぎ出したりして、いつも物知りの「ご隠居」に怒られたりしています。
ま、小噺の世界だから笑ってすませることができますが、この二人が現在実存してたらすごい「はた迷惑」な人たちになってしまったでしょうね。
八なんかは「長屋の熊が行き倒れ！もう一人の熊は偽物か？」なんてネットに写真付きで掲示しかねません…。
さて、現実にも熊公や八っあんのようなように「はた迷惑」な人はたくさんいます。
とあるデータ（行き倒れの死体）を見て、勝手に拡大解釈（熊が死んだと思いこむ）して、おせっかいにもネットにデマを貼り付けて（本人に知らせて）偉そうに「これは酷い」などと言いふらす（自分を抱いてやれなどと言い出す）人がいるわけです。
そう「厨くん」にもそんな「おせっかいバカ」が多いですね。
無知で判断力がないくせに大騒ぎしちゃうのだから始末に悪い。
「厨くん」が在日コリアンを悪く言うネタの一つにこんなのがあります。
「在日コリアン約60万人のうち無職は42万人。生活保護優遇（一世帯あたり年６００万円が無償で支給。なお仕事を持っていても給付対象から外されることはない」っての。
以前、在日が生活保護で優遇されるというのはデマであるという話はしましたので、今回は「在日は無職ばかり」という説について考えてみましょう。
「厨くん」は実際に在日コリアンとお付き合いがあるケースが少ないので「在日コリアン」を化け物か何かだと勘違いしている人が多いようです。
ですから「在日は仕事をしない」とか「ほとんどが遊んで暮らしている」と勘違いして周囲に言いふらしたりなんかしています。
それを指摘すると彼らは「民団発表のソースがあるのですが、民団が嘘をついているというのですか？」と鬼の首を取ったような反応を示します。
じゃ、その民団のデータとやらを見てみましょう。
「こちら」 がそのデータ。
ふむふむ…
確かに在日コリアン約60万人のうち無職は約42万人となっていますね。
で、これを読んで「在日の7割は働いていないのか！働かないのに食っていけるのは生活保護に違いない。俺たちが税金を納めているのに！ちっくしょー！」って判断しているのでしょう。
ためしに「在日 無職」で検索してみましょう。
すると28万件以上！（在日コリアンの数が60万人以下だと思うとすごい数だ…）もヒットします（ここ）。で、多くのサイトがこの「４２万人が無職」って事について書いています。
７割が無職！これは困りますね！
日本の失業率は４％前後ですからね。
学生時代の自分の同級生を見ても無職のヤツなんてクラスにせいぜい１～５人くらいでしょう。
となるとやはり在日は…。
日本に巣食う異常な存在なのだろうか？
はい、あせらないあせらない。
それではここで日本一有名な家族に登場していただいて、その就業率と無職率を調べてみましょう（当然ペットをのぞくｗ）
磯野家＝（波平・フネ・マス男・サザエ・カツオ・ワカメ・タラ）計７人
就業人数＝２人
就業率＝３割５分
無職率＝６割５分
他の家族もやってみましょ！
野原家・クレヨンしんちゃん＝（ひろし・みさえ・しんのすけ・ひまわり）計4人
就業人数＝１人
就業率＝２割５分
無職率＝７割５分
さくら家・ちびまる子ちゃん＝（友蔵・こたけ・ひろし・すみれ・さきこ・ももこ【まる子】）計6人
就業人数＝１人
就業率＝１割７分
無職率＝８割３分
おお！磯野家はかろうじて在日コリアンより無職率が低いが野原家とさくら家は在日コリアンより高いぞ！
「厨くん」の論理が通るのなら「タラちゃん」や「ワカメちゃん」も生活保護もらっていることになるが、そんなシーンはテレビで見たことがない。
「カツオ生活保護」なんて話も一度もなかった。
放映してないだけなのかな？
いやいや、そんなわけありませんね。
そうです。民団の人口統計では「幼児・学生・主婦・高齢者・パート・アルバイト」などは「無職」になっているんですね。
大学への進学率が高くなっているため、現在の就業開始平均年齢は２０歳くらいでしょうか？つまり１５歳から２０歳の人はほとんどが「学生＝無職」というわけです。
また、多くの女性が３０代くらいで「専業主婦＝無職」になっているし、60歳以上の方の多くは「定年＝無職」を向かえています。
当然一生懸命働いていてもアルバイトは「無職」にカテゴライズされています。
つまり２０歳から６０歳までの人以外の多くは「無職」になっているのです。
みなさんそんな簡単なことに気付いていない…。
もちろん在日コリアンはマイノリティですから日本人に比べて就業率が低いというのは間違いありません。就業差別など様々な障害がありますからね。
そう、どこの世界を見ても支配側より被差別側の方が就業率が高い国など存在しません。
でも、普通は「７割が生活保護」なんてデータみたら「あれ？」って思うでしょ？
これが日本人のデータだったらたいていの人は「そんなに多くの人が働いていないなんておかしいな？」と踏みとどまって「えーっと…」ってもう一度考え直すはずです。
しかし、「在日コリアンは４２万人が生活保護をもらっている」と思い込んでいる人が多いという事は、それだけ「偏見」というフィルターを通して「在日コリアン」を見ている人が多いという事です。
しかし、この手の方のサイトを見ていると「腹が立つ」というよりは、なんだか「愉快」になってしまいますね。
酒とみりんの区別もつかぬトンチキのくせに「料理というものは心でするのです…」なんて偉そうな事を言っているヤツみたいだ（笑）。
最近は「そのくらい気付け！このバカ者！」って怒ってくれるご隠居さんのような存在がいないからバカがドンドン増殖しているんですね。
こいつらに比べたら八っあん、熊公なんかホント可愛いもんです…。
次回は「在日を追い出せば日本は平和ってホント？」の巻