人間賛歌・もっちゃん4649

運命の岐路は

なにをかくそう~
私の一番の苦手意識は、蛇ももちろん怖くてぞ~っとしますが、悲鳴を上げて飛び上がって立ち尽くして竦んでしまうほど怖いのはミミズなんです。

長くて太くて山にいる青ミミズと来たら卒倒するくらいの恐怖なんです。
今も文字を見ているだけで体が拒否反応を起こしていますもの~

でも、母は強しです
守るべき立場にいたら、敢然と立ち向かっていけるから不思議ですね~

当時は若かったから短距離の選手で鍛えた走りでKに追いつき、その太くて大きなミミズをわしづかみにして、首根っこから背中に入れてやる~と言って迫りました。

腕相撲大会はまだまだしていなかったけれど、人をいじめて喜ぶ姿は許せん~!!とクラス全員の前でKに謝らせたのです

あまりの気迫にし~んとなっていたので、こともなげににこっと笑い「教室に入りましょう」と促しました~

健康体に恵まれていたから出来た芸当ですよね~
今もやはりミミズは苦手~
園芸をする時など、何回もキャ~と喚いていますから・・・

Kはそれ以来、見違えるように従順になっていきました。
腕相撲も彼と組みましたが、問題ありません。
小さく優しそうだけど、暴力教師と内心では思われていたかも~?

たいてい、私の学級は1学期の終わりになると、ぐんと落ち着きのある授業のしやすいクラスと毎年定評を受けていました。

その当時模擬テストが度々ありましたが、人の話を静かに聞ける学級の平均点は3点ほど不思議と高いのです。
4月の頑張りが1年中いろんなところに影響しますから、手抜きは厳禁。
後はきめ細かい観察で、少しの変化も見逃さないことが大切ですね~

当時、修学旅行は黒部ダムから信州でしたから、2年の秋に実施していました。
斑行動を中心にする修学旅行なので、Kは時計係になったようです。
時計の針も読み取れないのに、うまく役割を果たせるのかしら~と心配していると、出発当日の電車の中で腕時計を見せにきてくれました。

デジタル時計が出始めの頃でまじまじと驚いていると、とっても得意な満面の笑みなのです。
こんな輝くような笑顔のKをはじめて見たと今も覚えています

数字で時間と分が出ていれば読み間違いはないし安心だと思いました。
初めての係りを立派に果たせたはずです~

この係りになれたことが自信につながったのか人の役にたつことに目覚めたのか、さらに温厚な生徒に3学期にはなっていきました。

自教室と階段廊下・書道教室と前の廊下の掃除区域でしたので、6班の活動班を組み合わせて当番を1ヶ月交代に決めていました。
大変な場所は書道教室前の洗い場でした。

洗い場の掃除は真っ黒な墨汁と雑巾の切れ端で、排水口がすぐに詰まり、大変苦労する場所でした
まして冬場は冷たいし、悪循環で手のつけられない状態が続き更に悪化するのでした。
毛筆は2学期までにしてもらいたいと思うほど、手がつけられません。

Kの班がそこの掃除当番になったときに思いがけない光景を目にしました。
何と真冬の寒く冷たい中に、彼は学生服を脱いでシャツを捲くりあげ、汚水の中心深くに腕を突っ込んで排水口の受け皿を見つけて取り外し、溜まっていた汚水をいやな顔一つするでなく、手際よく流しているのでした

ああ~、しまった~
 これは私がするべきだった~~と不言実行の彼を見てまずそう思いました~

斑の全員も見守っています~
こんな力強く働く姿を見たことがないと思ったはず~~
まさかKが

まるで映画の中の1シーンを見ているような感動の中にいたのでした~
レ・ミゼラブルのジャン・バルジャン市長が馬車を持ち上げて人命救助をしている場面にぴったり~

ふと我に返り慌てて職員室からお湯をバケツに汲んできてまず腕の汚れを落とし、真っ黒な墨汁の排水は石鹸でないと汚れが取れないので、湯沸かし器のところに連れて行って洗わせました。

その夜、Kに家庭訪問を予告しておいたのです。

そのことが進級した時に大きな防波堤となってKを守る役割を果たしたのですよ~
運命の幸不幸はほんとうに紙一重ですよね~~


続きは明日~♪

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