人間賛歌・もっちゃん4649

怪我の功名

「芝生に座って観客は見物をするところから、芝居と言う言葉が出来たそうです。
走れメロスは中2の国語の教科書に取り上げられている太宰 治さんの名作です。

全校生に見せるわけですから、どんな内容かは私が全校生徒に教科書を持たせて学年ごとに3回放送による朗読をします。
あらすじをつかませ、それがどんな形で体育館の中で演劇として公演されるのか、とても田舎では生に触れる機会が少ないですから、ぜひ、取り上げたいし実現にこぎつけたいと願います!」と意見を述べました

係りのほうがこれだけ企画を練っているのなら前向きに検討しましょうと言うことになり、金銭面のことはPTAに諮って見ましょう!と言う結論になって、画期的な取り組みが実現できたのでした。

必ず成功させなければと、体育館の安全確保に前の晩はかなり遅くまで詰めました。
何かしようとすると、ぶっ壊しにきそうな生徒の気配があります。
夜が怖いと思うほどに警戒して体育館を守りました~

生徒のためにするのにその生徒が信じられないのですから哀しいですよね~

劇団の名前は度忘れですが、かなり有名なところでした。
リハーサル場面に立ち会っていて本物だと感じましたものね~

体育館の周囲と真ん中に道路をこしらえ高速道路のように立体の舞台なんです。
まず、装置を見ただけで度肝を抜かれましたねえ~

走れメロスと言う題名ですから、走り、はしり、走り~・・・
頭上をたくましい若いメロスが何周となく走るのです。

汗を飛び散らせながら・・・

何のために走るのだ~?
人を信じられぬ王に人間のまことを見せてやるのだ~
真実のあるところを見せつけてやるのだ~

そのために走るのだ~
走れメロス!
走らねばならぬ・・・
今はただそのひとことだ!

「セリヌンティウスよ、俺を殴れ~
俺はチラッと悪い夢を見た。君を裏切る夢を見た~

すべてを察したように友は刑場に鳴り響くほど音高くメロスの頬を殴った~」

体育館に鳴り響くほどの音の高さで頬を殴るのです。
目の前にあるのは刑場で、ほとんど全裸に近いメロスが太陽の最後の残光がまさに消えようとした時に刑場にたどり着くことが出来たのです。

死ぬために走るのだ。
友を救うために走るのだ~
もはや、自分の命など問題ではない。
間に合う間に合わぬも問題ではないのだ~

もっと大きな物のために走るのだ~~

役者と観客が一つになって、メロスが走る真の目的を考えます。

自分の命よりも大切なものがあるのか~?
それは何なのか~?

愛と誠のために~
人は命を投げ出せるのだと~

マナーの悪い・鑑賞態度の恥ずかしい・文化程度の低い学校だということを曝け出すのか~と反対派の指摘が強かったけれど、素晴らしい名作は大きな感動の渦に巻き込んでくれました~

見事な拍手で熱演に応えていたし、大満足のうちに文化行事の日程をこなすことが出来たのです。
手ごたえは充分でした~

優れた文化に触れさせようと言うことに次年度から全員一致で賛成していただいて、招待音楽会や古典落語の会など数多くの本物に触れる機会を作ることができました。

これも、音楽の時間に筆箱をみんなで落とすという正しい判断の欠如が招いた怪我の功名でした~

すべてのことが不思議とプラスに転化していく私の人生だったと、改めて感動しているのです~

明日に続く~

ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「激動の出会い」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事