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アイデアの散策

仕事・研究・日常の中で気付いたことのエッセイ。

イノベーションの和訳

2015年06月08日 | 日記・エッセイ
イノベーションの和訳は何か。

経営学などでしばしば用いられる、「イノベーション」や「パラダイム」、「プラットフォーム」といった英語の和訳するよりも、そのままで横文字で使われることが多い。

シュンペーターによれば、イノベーションとは「新結合」であるとされる。あるいは、中国では、イノベーションは「創新」と訳されるという。

1.技術革新という和訳の起源
イノベーションを「技術革新」と訳したのは、昭和31年(1956 年)の経済企画庁による年次経済報告(「経済白書」とも言う。)とされる。
昭和31年(1956 年)の年次経済報告は、「もはや『戦後』ではない」という言葉でも有名である。

この経済白書の中の一節「技術革新と世界景気」において、次のように書かれている。

「投資活動の原動力となる技術の進歩とは原子力の平和的利用とオートメイションによって代表される技術革新(イノベーション)である。技術の革新によって景気の長期的上昇の趨勢がもたらされるということは、既に歴史的な先例がある。」[1]

高度経済成長の時代にある日本において、イノベーションの和訳として「技術革新」というイメージはしっくりしたのかもしれない。しかし、イノベーションとは、技術革新だけを指すものではない。何か古いものと新しいものが結びつくこと、あるいは新しいもの同士が結びつくことによるイノベーション、すなわち「新結合」という考え方がある。

2.新結合(シュンペーター)
シュンペーターは、新結合の要素として、
(1) 新しい財貨
(2) 新しい生産方式
(3) 新しい販路の開拓
(4) 原料あるいは半製品の新しい供給源の獲得
(5) 新しい組織の実現
を挙げている[2]。

このように、技術革新のみならず、工程の革新やビジネスモデルの革新といった新しさもまた、イノベーションとしての現れと言えるのである。組織の変革や制度の変革などによるイノベーションもまた、ありうることである。

(2015年6月12日:記事更新)

===(参考文献)===

[1] 年次経済報告(昭和31年(1956年)「技術革新と世界景気」)
http://www5.cao.go.jp/keizai3/keizaiwp/wp-je56/wp-je56-010303.html

[2] Schumpeter, J. A.(1926) Theorie der wirtschaftlichen Entwicklung, 2(シュンペーター, J. A., 塩野谷祐一, 中山伊知郎, 東畑精一訳(1977)『経済発展の理論:企業者利潤・資本・信用・利子および景気の回転に関する一研究(上)』,岩波書店(岩波文庫)183頁)

セブンイレブンの鳥取県進出

2015年06月06日 | 日記・エッセイ
2015年は、スターバックスコーヒーが鳥取県に進出した。
これにより、スターバックスは47都道府県すべてに店舗展開したこととなる。

同じようにセブンイレブンもまた、2015年10月に鳥取県に出店する[1]。

2015年のはじめの時点で、セブンイレブンは、高知県、青森県、鳥取県、沖縄県には出店していなかった(図参照[2])。それが、2015年3月6日に高知県に出店[3]、同年6月に青森県に出店した[4]。そして、2015年10月に鳥取県に出店すれば、残るは沖縄県だけ出店されていないこととなる。



2015年2月時点で、セブンイレブンは全国17491店ある。東京都内に約13%の2281店、北海道+関東(東京・神奈川・埼玉・千葉)+愛知+近畿(大阪)の7都道府県で、約半分(47.5%)の8315店になる[♯1]。

業界全体として、2014年度時点では、セブンイレブンは17491店、ローソンは12276店、ファミリーマートは11328店、サークルKサンクスは6353店、大手4社以外は4932店、大手4社以外で4932店、これらを合わせて全国で52380店である[2]。

業界第二位のローソンは、2015年2月時点で全都道府県に展開し、セブンイレブンの展開していない高知県に107店、青森県208店、鳥取県111店、沖縄県174店を展開している[5]。

ローソンの比率もまた、セブンイレブンに似ている。

2015年2月時点で、ローソンは全国12276店ある。東京都内に約13%の1597店、北海道+関東(東京・神奈川・埼玉)+愛知+近畿(大阪・兵庫)の7都道府県で、約半分(47.6%)の5845店になる[♯2]。

同様に業界第三位のファミリーマートもまた、2015年5月時点で全都道府県に展開し、高知県に51店、青森県61店、鳥取県65店、沖縄県252店を展開している[6]。



(参考資料)
[1]セブンイレブンニュースリリース(2015年04月02日)「2015年10月 鳥取県への出店を開始」(2015年6月6日閲覧)
http://www.sej.co.jp/dbps_data/_material_/localhost/pdf/2011/20150402tottori3.pdf

[2]セブン&アイHLDGS「セブン&アイ・ホールディング事業概要-投資家向けデータブック(2014年度版)」(2015年6月6日閲覧)
http://www.7andi.com/dbps_data/_template_/_user_/_SITE_/localhost/_res/ir/library/co/pdf/2015_all.pdf

[3]セブンイレブンニュースリリース(2015年03月05日)「2015年3月6日セブン-イレブン高知県への出店開始」(2015年6月6日閲覧)
http://www.sej.co.jp/dbps_data/_material_/localhost/pdf/2011/20150306kouchi.pdf

[4]セブンイレブンニュースリリース(2015年04月02日 )「2015年6月 青森県への出店を開始」(2015年6月6日閲覧)
http://www.sej.co.jp/dbps_data/_material_/localhost/pdf/2011/20150402aomori2.pdf

[5]企業情報「ローソングループ都道府県別店舗数」(2015年6月6日閲覧)
http://www.lawson.co.jp/company/corporate/sales.html

[6]「ファミリーマート地域別店舗数(2015年4月30日現在)」(2015年6月6日閲覧)
http://www.family.co.jp/company/familymart/store.html

(脚注)
[♯1]セブンイレブンの店舗数ベスト10は順に、
(1)東京都2281店、(2)神奈川県1244店、(3)埼玉県1068店、(4)千葉県951店、(5)愛知県947店、(6)北海道922店、(7)大阪府902店、(8)福岡県835店、(9)静岡県640店、(10)茨城県618店。
11位以降は順に、
(11)兵庫県547店、(12)広島県512店、(13)群馬県446店、(14)長野県431店、(15)福島県406店、(16)新潟県402店、(17)栃木県397店、(18)宮城県368店、(19)岡山県277店、(19)山口県277店、(21)熊本県271店、(22)京都府268店、(23)滋賀県215店、(24)山梨県180店、(25)佐賀県172店、(26)宮崎県171店、(27)山形県170店、(27)鹿児島県170店、(29)岐阜県158店、(30)長崎県145店、(31)大分県143店、(32)富山県115店、(33)奈良県114店、(34)岩手県113店、(35)石川県104店、(36)三重県96店、(37)香川県91店、(38)徳島県85店、(39)秋田県60店、(40)和歌山県59県、(41)福井県58店、(42)愛媛県50店、(43)島根県12店

[♯1]ローソンの店舗数ベスト10は順に、
(1)東京都1597店、(2)大阪府1036店、(3)神奈川県862店、(4)兵庫県634店、(5)北海道619店、(6)愛知県583店、(7)埼玉県514店、(8)千葉県463店、(9)福岡県442店、(10)京都府324店。
11位以降は順に、
(11)宮城県227店、(12)静岡県225店、(13)青森県208店、(14)鹿児島県202店、(15)愛媛県189店、(16)富山県188店、(17)秋田県184店、(18)広島県177店、(19)沖縄県174店、(20)大分県166店、(21)岩手県161店、(22)滋賀県155店、(23)岐阜県151店、(24)茨城県150店、(24)長野県150店、(26)岡山県145店、(27)栃木県141店、(28)熊本県135店、(29)奈良県131店、(30)新潟県130店、(30)徳島県130店、(32)和歌山県124店、(33)山口県123店、(34)香川県122店、(35)島根県117店、(36)山梨県111店、(36)三重県111店、(36)鳥取県111店、(39)高知県107店、(40)福井県106店、(41)長崎県105店、(42)福島県103店、(42)宮崎県103店、(44)石川県102店、(45)群馬県93店、(46)山形県78店、(47)佐賀県67店

因果関係を支える三つの基本的原則

2012年01月06日 | 日記・エッセイ
 論文を書くための思考法.

 ここ数日は,そうした思考法をいくつかの本を読んで散策した.
 思考法とは一つではないが,一つの思考法として高根正昭(1979)『創造の方法学』講談社,p83,p108を要約すると,次のようになる.

 因果法則を支える三つの基本的原則とは,
1.従属変数(結果)に対する独立変数(原因)の先行(時間的順序の確立)
2.両変数の共変関係の確認
3.他の変数の統制(他の変数が変化しない条件の確立)
である.

 加えて,同著p36,pp38-40,p56,pp59-61を要約してみよう.

 問題解決とは,二つの要素(「原因」と「結果」)とを明瞭に定め,問題の論理を組み立てることである.

 二つの要素の論理的な関係は,「仮説」(hypothesis)とよんでもよい.そして, 「記述」と「説明」とは本質的に異なるものである.また,「記述」(description)は観察して記録すること,「説明」(explanation)は「なぜ」という疑問を発して結果の現象と,その原因となる現象とを論理的に関係させようとするものであり,社会学者たるもの「説明」を行うよう努力しなければならない.したがって,仮説を立てた研究者は,「検証」(verification)(その仮説を経験的事実に合わせてテストすること)をしなければならない.

 「事実」(fact)とは,「概念」(concept)によって「経験的世界」(empirical world)から切り取られた現実の一部にすぎない.タルコット・パーソンズの言葉は,事実として認識されていない部分は「残余カテゴリー」(residual category)と呼んでいる.
 概念が修正されることで,新しい事実は認識される.すなわち「残余カテゴリー」が新しい概念によって事実に変化する.新しい概念の創出こそ,人間の知的創造にとって,きわめて重要な働きなのである.

しなくなるとき、したくなるとき

2011年11月05日 | 日記・エッセイ
 ついつい億劫になって、ブログを書かなくなってしまう。
 ふとしたとき、妙にブログを書きたくなる衝動が起こる。

 定期的なことは負荷がかかる。それが必要な局面もある。
 このブログは不定期でもいい。それぐらいの自由は必要。

 でも、ひょうんなきっかけて、ブログを書きたくなった。
 書きたくなる誘因が、そこに、あったからかもしれない。

 気づくと仕事が繁盛し、オーバーワークな日々が続いた。
 その峠を少し超えた。ここに、余裕という領域ができた。

 

WBSフェア(早稲田大学ビジネススクール説明会)

2011年07月31日 | 日記・エッセイ
 この時期になると、さまざまな大学院で進学説明会が開催される。
 今日は、早稲田ビジネススクール(WBS)の説明会に参加した。

 早稲田大学大学院商学研究科ビジネス専攻(専門職学位課程)を、通称「早稲田大学ビジネススクール」という。
 
 毎年少しずつ体制に変化がある。次年度(2012年度)からは、夜間主プログラムとして、夜間主総合(定員50名)と夜間主プロフェッショナル(定員50名)が設けられる。夜間にビジネススクールに通いたいと考える受験生への選択肢が増えた感じだ。

 夜間主プロフェッショナルは、受験時に希望するゼミ(指導教授)を決める。そして、2年間ゼミ指導がある。すでに研究したいテーマがある程度明確に決まっていて、じっくり深く考えたい人には向いている。他方で、夜間主総合は、受験時に希望するゼミを決める必要はなく、入学後、総合的に授業を取った上で、2年次になる段階で希望するゼミを決めることになる。ゼミは、2年次の1年間となる。その他、細部に違いがある。

 早稲田大学ビジネススクールは、もともとアジア太平洋研究科で開講されていた全日制プログラムを起源とするものと、商学研究科で開講されていたプロフェッショナル向けプログラムとが融合・変遷し、現在の形となっている。そのため、プログラムには多様性があり、教授陣の人数も多い。そうした中、夜間主総合のプログラムが新たに誕生することとなる。この点について、詳細な説明があった。

 国内にはいろいろな経営系大学院がある。正直、有象無象な状態にあるといっても過言ではない。
 経営系大学院に求められるもの。特に、社会人を対象としたプログラムの意義は何か。

 ここでは、夜間主プロフェッショナルの醍醐味について書くと、専門職学位論文を書くことが必須であること。教授陣が、しっかり学生と向き合って指導する体制。これは、他の社会人を対象とする夜間経営系大学院と比べても、群を抜いて優れていると思う。
 説明会を聞いても、「社会人相手にも手を抜かない」という姿勢。「学生を鍛える」という意欲。これらが教授陣から強く伝わってくる。

 説明会の冒頭、ディレクターの根来先生から講演があった。
 社会科学の3つの目的。それは、1.何があったのかの記述 2.どうしてそうなったのかの説明 3.どうすべきかの示唆。すべての現実は、共通性を持ち、かつ一回限りの特殊性を持つことを認めた上で、理論を導き出すとはどういうことか、について話があった。そして、持論と理論は違うということ。
 
 現実と理論の連関を探究したいという好奇心のある人、自己実現に向けて自己成長したい人には、とても魅力的な教育環境だろうと思います。