ドル円等のトレンド分析（5月2日）

　毎週土曜日に行っている個人的なトレンド確認用の分析の5月2日分で、主に4月末までの動きをまとめている。

　まずは、毎週のトレンド分析のサマリ部分だけを以下に載せておく。見方の説明は2月3日の分析記事を参照のこと。

　4月は全般的に大きな動きはなかった。
　ドル円は初旬に109.4円の手前まで戻したものの、107円割れを3回繰り返した。最後は106.3円台まで下げたので、そのまま下に行くかと思ったら、結局戻してしまった。
　ユーロドルは日足の三角持ち合いを下放れたように見えたが持ち直し、逆にこれまで阻まれていた1.10ドルを5月1日に一時回復した。
　ユーロ円は、ドル円、ユーロドルともに下げトレンドになって116円のサポートを割れて115円台半ばまで下げたが、結局持ち直して117円台を回復した。

　為替は株価と同様に、主として各国の新型コロナウイルスの感染拡大／収束の状況と、各国の対策を見ながら動いている感じだが、米国を中心に大きな対策は3月にかなり出ていたので、4月の動きは小さめだったと思う。3月の米政府やFRBの動きは、4月4日の分析記事にまとめたが、4月9日に出たFRBの追加資金供給策についてもその記事に追記してある。

　あと、為替には直接関係ないが、気になった4月の経済関連の情報を忘備録として書いておく。

日本の3月の貿易統計の発表の記事

　3月はコロナウイルス感染拡大・自粛の影響は出てきているが、緊急事態宣言は4月7日だから影響はまだましなはずた。にもかかわらず、財務省が4月20日発表した3月の貿易統計（速報、通関ベース）は黒字49億円に落ち込んだ。それについての日経の2つの記事には、なぜか49億円というのは「前年同月比99％減」だとという重要なポイントとなる情報が書いていない。一方、AFPの記事にはタイトルレベルで記載がある。
　コロナ対策費の増額につながるような情報（印象）を与えるのを避けたかったのではないかと勘ぐってしまうが、日経が政府・財務省に忖度でもしたのかな。

　以下は日経の2つの記事。

3月の貿易収支、49億円の黒字　輸出額は11.7%減

財務省が20日発表した3月の貿易統計速報（通関ベース）によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は49億円の黒字だった。黒字は2カ月連続。QUICKがまとめた民間予測の中央値は4200億円の黒字

3月の貿易収支、49億円の黒字　輸出額は11.7%減

3月の貿易統計、輸出は11.7%減　米向け輸出は震災直後以来の減少率

財務省が20日発表した3月の貿易統計（速報、通関ベース）によると、輸出額は前年同月比11.7%減の6兆3579億円だった。16カ月連続の減少で、米国向け自動車や中国向け自動車部品の輸出などが低調だっ

3月の貿易統計、輸出は11.7%減　米向け輸出は震災直後以来の減少率

　以下はAFPの記事。

3月の貿易収支、49億円の黒字前年同月比99％減新型コロナが輸出に影響

【4月20日 AFP】財務省が20日発表した日本の3月の貿易収支は49億円の黒字となり、前年同月比で99％減少した。

3月の貿易収支、49億円の黒字前年同月比99％減新型コロナが輸出に影響

コロナショックによる影響はこれから本格化

　緊急事態宣言は1ヵ月延長される見込みだ。欧米に比べて発症者や死者数は元々少ないし、既に減少に転じているので、延長は経済的ダメージの方が大きいのではないかという気もする。経済的ダメージは失業者の増加、低所得者を中心に生活苦につながり、自殺者の増加等で効いてくる。その辺りのバランスをどう考えるかというところは難しいところだが、京都大学の藤井先生はいろいろ提言をされている。

【藤井聡・号外】新型コロナウイルスのリスクマネジメント～京都大学レジリエンスユニット提言を三橋貴明氏にご紹介いただきました～ | 表現者クライテリオン

　消費増税で経済成長は既にだいぶ落ち込んできていたが、4~6月はマイナス成長で、戦後最悪になると予想されている。

マイナス21%成長予測　4～6月民間平均、戦後最悪に

日本経済は4～6月期に戦後最悪のマイナス成長に陥るとの見方が強まった。民間エコノミスト16人の予測平均では、実質国内総生産（GDP）は年率換算で前期比21.7%減となる。1～3月期も5.2%減を見込

マイナス21%成長予測　4～6月民間平均、戦後最悪に

　海外に資産を持つ企業の経営悪化が続くと、資金繰り確保のために対外資産を売却して資金を日本に戻す可能性があり、円買いが生じて円高になる可能性がある。レパトリエーション（本国への資金送還）という動きだ。一応、念頭に置いておいた方がよいと思う。

原油の暴落

　4月13日にOPECプラスが歴史的な減産合意を行った。

原油価格戦争に終止符、ＯＰＥＣプラスが減産で歴史的合意

主要産油国は世界の原油生産を１割近く削減し、サウジアラビアとロシアの壊滅的な価格戦争に終止符を打つ歴史的な合意を成立させた。

原油価格戦争に終止符、ＯＰＥＣプラスが減産で歴史的合意

　以前の交渉決裂でサウジアラビアが増産に踏み切っていたので、大きな方向転換ではあった。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動の低迷による需要減は、減産合意量の2倍はあると言われていた。そのため、原油価格低迷は続いた。

　4月21日に先物とはいえ原油価格がマイナスになって驚いた。原油の先物は、最終的には必ず受け渡しが伴うので、実物を扱えない投資家が金融取引として行うのには特別なリスクがある。最近は、原油価格の低迷が続いて貯蔵施設が満杯で、保管に使う洋上タンカーも手配できなくなっているらしい。今回、そのような状況で期限が近づいて例外的に起きたという話だった。

NY原油先物、初の価格「マイナス」　5月物投げ売り殺到

【ニューヨーク=後藤達也、シカゴ=野毛洋子】20日のニューヨーク原油先物市場で史上初めて価格がマイナスとなった。原油需要が激減する中で在庫が増え、保管スペースが枯渇している。ファンドが投げ売りし、1