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長期投資は報われる?

 長期投資が報われるとは限らない。特に個別銘柄では。株価の動きに中短期のトレンドは出たりするが、短期的な株価の動きは基本的にランダーウォークで分からない。大きな流れとしての経済成長に合わせて利益を得るために、長期投資が投資の王道の一つだと言われる(他は、分散とか積立)。それは本当だと思うが、どの程度の期間を見るのかにもよるが、長期投資が報われるとは限らないことを確認してみる。

(以下、長めの記事になったが、ある程度の知見を持った人には目新しい情報はない)


トマ・ピケティの『21世紀の資本』

 数年前にだいぶはやった本で、過去300年分のデータの検証の結果、資本収益率(r)>経済成長率(g)なので、世界中で所得と富の分配の不平等化が進んだということが一番のポイントだと理解している。rは年間平均で4~5%、gは先進国では1.5%らしい。ここで、資本とは土地とか株式のことなので、長期的、総論で見れば、株式投資でも成り立ち、年平均で4~5%は期待できるのだろうとは思う。

 なお、驚いたことにこの本が映画化された。今年3月20日から順次全国公開中だが、直近では各所の映画館は休館とか公開延期になっている。


米国のS&P500の長期チャート

 代表的な資本市場として、米国株式の代表的な500銘柄の指数であるS&P500の1927年末以降の長期チャートを見てみると以下のようになっていて、暴落して低迷していた時期はあったものの何十年という長期では上昇している。ただし、1929年の世界大恐慌の時は86%強下げ、その後の高値更新に25年もかかっている。このチャートだと左端の方の平坦部分になって見分けられないが。

 出典 ファイナンシャルスター  https://finance-gfp.com/?p=4859


 長期(上昇率)で見る場合、縦軸は対数にしないとグラフの形状が変に右肩上がりになり過ぎる。対数のチャートを少し探したが、1970年頃からの以下のチャートしか見つからなかった。2000年のITバブル崩壊で49%とか2008年のリーマンショクでの56%とか大きな落ち込もあったが、長期では右肩上がりである。昔に比べて政府の対応が早くなっているので、低迷期間は短くなっていると思う。

     S&P500の対数チャート

 出典 Investing.com https://jp.investing.com/indices/us-spx-500-chart


 S&P500の銘柄やインデックス型投資信託への投資は、かなり有効な方法の一つ。日本のバブル崩壊以降、米国株中心に投資してきた人は大きな実績を上げ、追従する人も増えていると思う。しかし、年単位で低迷期があるのは避けられないので、人生において貯蓄の取り崩しが必要になった時に十分な利益が得られる保証はない


長期だと不確実性が増大

 10年、20年と経つと世の中がだいぶ変わる。天変地異は起こるし、新しい技術も出てきて主要産業の交代は起きるし、再起不能になるような不祥事を起こす会社もある。したがって、長期だと不確実性が増すのは確実だ。

 日本の場合、1990年初からのバブル崩壊後の低迷から未だ抜け出せていない失なわれた30年と言われ、経済(GDP)成長もまともにできていないので当然でもある。しばらくすれば回復してくるのではないかと思いながら、30年も経ってしまったという感じだ。最近では逆に、日本が本格的に復活することはあるのだろうかと思うことの方が多い。

 個々の銘柄を見ても、バブル期の高値まで遠い銘柄も結構ある。下手な時期に個別銘柄を買っていると、30年経っても報われない。重厚長大産業なんかは、一定の社会的必要性はあっても伸びないし、外国との競争も厳しい。

 株式投資を始めた35年以上前から鉄鋼株(当時の住友金属工業、現在は新日鐵と合併して日本製鉄)を持っており、利食ったり、節税売・買戻しをしたりしながら未だに持っているが、実質的な株価で見れば当初の頃より安い。以前書いたが、山一證券なんかは自主廃業して株券はまさに紙くずになったりもした。

     日本製鉄の長期チャート

 出典 株探


投資対象の分散は有効

 人によるだろうが、よさそうな銘柄を選んで投資し、その結果を見るのは楽しい面もある。しかし、長期で成長する銘柄にうまく投資するのは結構難しいし、個別には何が起きるかは分からない。

 不確実性(リスク)を減らすために分散投資するのは有効だ。分散の手段として、海外も含めてインデックス型投資信託で株式投資するというのは、手軽で確実な方法だと言える。株式以外の資産クラスとして、債券、不動産(リート)、貴金属などにも分散すれば、さらにリスクは減る。このことだけは確実だ。現金(預金)も資産クラスの一つで、額面では減らないがインフレが来れば価値は目減りするのでリスクはあると理解しておくべきだし、円だけで持つということも一種の為替リスクをとっているのと同じだという認識は必要だと思う(円安や日本への保険としての外国株や外貨預金)。


積立も基本的には有効

 積立は時間的分散であり、長期投資の一種。個別銘柄の積立は投資先の分散が効かないので、インデックス型の投資信託への積立が基本になるだろう。

 株価等が長期右肩上がりの場合は最初にまとめて買った方が有利だし、長期右肩下がりの場合は後で買うほど有利だ。しかし、普通、株価等は上下するし、どう動くかは不確実だし、長期では上げていく/回復していくだろうという前提では、積立にすれば平均的には安く買うことができて有利だ。ドルコスト平均法とも言われる買い方だ。

 日本のバブル期に投資を始めたとしても、積立ならプラスになっていということはよく言われており、色んな書籍や記事にも書かれている。例えば、比較的新しい以下の記事だと、スポットだと40%も元本割れだが、積立なら同期間で40%のプラスだと書かれている。


 なお、今年3月の記事だが、引用されている内容は昨年秋の書籍からなので、最近のコロナショックによる低迷は全く反映されていない点は注意が必要だ。

 上の記事の内容は事実だが、今回の低迷前で30年続けたとしてもたった40%程度かというのはあるし、上述のように必要になった時に十分な利益が得られる保証がないのは同じなので、長期の積立でも過度の期待はしない方がよい

 また、より有利にするためには、低迷期には積立額を増やした方がいい投資信託の運用状況)。低迷期に入ったかは、一般のニュース番組で株価の暴落が続いているとか報道され、専門家の意見として底値の目処が報道されたりし始めるのが目安になると思う。暴落している理由が明らかで、今後の見通しも立たず、最も投資したくないと思える時期でもある。


ありきたりの結論

 ありきたりで面白くもなく報われるとも限らないが、結論としていえるのは、国際的なインデックス型の投資信託を長期で積立てておき、低迷期には増額(追加投資)も考える.というのが一番無難な投資方法だということだ。
 この考え方に従って行動したのが、楽天ポイントによるeMAXIS Slim 先進国株式への少額投資だった(暴落時の投資信託の追加購入)。


 なお、上の結論に沿って行動しているのは今は楽天ポイント投資分だけだ。私は、日本株の個別銘柄主体で、割安と思う銘柄の長期投資を基本としている(2019年末の資産運用状況)。その方が面白いし、性に合っているからだ。結果的には割とうまくいってきたと思うが、それなりに労力を費やしているし、うまくいくとは限らないので、同じようにやることはお勧めし難い。

 実際、メイン口座の評価額は3月末時点で昨年末比で23%減ほどに落ち込んでおり、金額換算すれば会社員時代の年収に匹敵する評価減になる。しかし、これまでにも時々暴落に遭遇してきた経験があり、慣れているので大して気にしていない。むしろ、投資銘柄の組み換えの好機だと思って多少の売買を続けている。








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