プチ早期退職者の資産運用+αブログ

パーク24の損切りと日本特殊陶業の買い増し

 業績が悪化して財務の傷みが激しいパーク24を損切りして、通期業績見通しを上方修正し、増配も発表していた日本特殊陶業を買い増した


パーク24の業績と株価推移と売買

 タイムズブランドのパーキングで有名な会社だが、競合が激しく差異化の図り難い駐車場事業に着目した訳ではなく、第2の柱としてカーシェアビジネスの発展に期待していた。

 2019年の春ごろの業績見通しは、駐車場ビジネスやカーシェアは順調だったが、本社移転費用や東京五輪広告費、海外子会社ののれん償却負担重く営業益は横ばい圏だった。そのため、株価は軟調に推移していた(下記の週足チャート参照)。

 パーク24の週足チャート(2018年7月以降2021年10月29日まで)

 出所:株探(https://kabutan.jp/stock/chart?code=4666)

 私は営業益を押し下げている要因は一時的なもので、本業が順調なら業績と株価はやがて回復していくだろうと考えていた。本業面で見れば、ROEや営業キャッシュフローマージンはよかったし、配当も70円の見込みで3%ほどあった。それで、一段安となった2019年5月10日に100株を2,160円で打診買した。少し早くて底を打ったのは6月3日週だった。最初の買値からそれほど下げなかったし、入れ込んでいた訳でもないので買い増しはしなかった。

 株価は順調に戻していったが、2020年に入りコロナ禍が直撃した。海外でのロックダウンや国内での外出自粛の影響は絶大で、業績見通しは落ち込み、株価も急落した。実際、2020年10月期の決算は悲惨な状況で大幅赤字の上、無配転落となった。1株益は△302円に達し、1株純資産も前期の585.1円から200.5円と66%も激減した。ただ、これは仕方ないので、コロナ禍が収まれば業績も回復していくだろうと考え、放置した。

 コロナ禍は長引いたが、アフターコロナ銘柄でもあるで、2021年に入ってからは株価も回復してきた。ところが、今期は黒字転換の通期見通しだったのが大幅な赤字になり(経常損益が+85億円から△70億円)、5円復配の予定が無配と6月14日に発表された

6月14日 2021年10月期第2四半期業績予想と実績との差異並びに 通期業績予想及び配当予想の修正に関するお知らせ

 1株益では+32.36円が△61.49円と93.85円も劇的に悪化した。株価も急落して2,000円前後の値動きとなった。前期で元々傷んでいた財務が今期もさらに傷むことになったし、無配継続でますます保有価値が下がったので、私的には投資不適格銘柄になった。タイミングを見て売るつもりで様子を見始めた。

 8月末から9月初旬に株価は2,200円まで戻して買値を回復した。さっさと売ればよかったのだが、アフターコロナ銘柄物色の動きにも期待してしまい、見過ぎて売り損ねた。この頃、7年以上保有していたピクテ・グローバル・インカム株式ファンドの解約洋上風力等に期待した戸田建設から撤退の方により意識が向いていたことも理由ではある。

 9月14日に発表された第3四半期決算では海外駐車場事業の赤字拡大によって、経常損益は△123.7億円となっていた。通期見通しは据え置いたものの悪化が予想された。翌日の株価は窓を開けて下落し(9月13日も決算を控えて窓を開けて下落)、9月21日に年初来安値の1,702円を付けた。

 10月15日には2021年10月期の通期業績見通しの赤字を大幅に拡大した。経常損益は△70億円から△130億円に悪化した。1株当たり利益では△61.49円が△84.14円になった。国内の緊急事態宣言が長引いたことや、海外でのロックダウン等による収益回復の遅れによるものだったが、想定されていたこともあって翌日以降の株価はあまり動かなかった。

10月15日 2021年10月期通期連結業績予想の修正に関するお知らせ

 今期の赤字は対純資産で42%になり、財務は傷む一方だった。もはや節税用にいつ損切りするかを考えるだけになっていたが、資金確保も兼ねて10月29日に1,760円で損切りした。損失額は約4万円で、利益率-18.8%、年利換算-7.6%となった。売る気で様子を見ていて、損を出さずに逃げられる時期があったのに、結局、損切りだ。我ながら愚かしい。


日本特殊陶業の業績と株価推移と売買

 自動車用スパークプラグで有名だが、排気系センサーも世界一。セラミック系の技術力は高く、電子部品や医療機器、燃料電池関連なども手掛けている。ただ、自動車のEV化の流れはスパークプラグや排ガスセンサーには逆風なので、主要事業が中長期でじり貧になるのは明らかだ。そのため、コロナ禍の影響を除いても株価は軟調に推移してきた(下記の週足チャート参照)。

 日本特殊陶業の週足チャート(2018年7月以降2021年10月29日まで)

 出所:株探(https://kabutan.jp/stock/chart?code=5334)

 しかし、自動車関連の需要減少は少しずつだし、会社としても次の手を色々打ち始めている(育成事業はまだ赤字)。非焼結型全固体電池のような注目できる材料もある。現時点では成長性は期待できないが、配当もいいし、株価指標的に見れば十分に割安だと思い、今年7月8日に1600円で100株だけ打診買した。PBRは0.7倍台、予想PERは9倍以下、配当利回りは4.6%、ROEは8.7%、自己資本比率は60%近く、営業キャッシュフローマージンは14%を超えていた

 打診買の後、1,500円割れで200株の買い増しを狙いながら様子見していたが、その後はほぼ下げなかった。そして、10月27日に第2四半期決算とともに通期業績見通しの上方修正、増配を発表した。以下にIR関連の情報がある。
IR情報 | 日本特殊陶業

 上方修正のポイントは次の通り。
 自動車関連では自動車メーカーの生産調整の影響を受けてはいるものの欧米でのスパークプラグの補修用部品が好調に推移、セラミック関連では半導体製造装置用部品が堅調に推移したことに加えて、為替レートが想定より円安に推移したことが寄与した。

 配当政策は完全業績連動型で通期の連結配当性向40%を基本方針としている。1株益の見込みが183.34円から239.88円に約30%上方修正されたのに合わせ、中間配当を37円から48円に増額し、期末配当も48円とした。株価1,800円でも配当利回りは5.3%になる。

 好業績と増配を好感し、翌28日には株価は窓を空けて急騰し、一時1,862円を付けた。私は上げた銘柄を追撃買いすることはめったにないが、今の水準でもまだ割安だと考えている。それで、10月29日に1,790円で100株買い増し


 今回の乗り換え判断のポイントは、無配継続で財務も激しく傷んでしまったパーク24を継続保有するより、成長性の面では劣っても本業で稼げていて高配当、財務もよい日本特殊陶業を保有する方がずっとよいだろうということだ。この判断は、8月頃に得ていた情報でも十分に可能だったはずだが、さらに確定的な結果が出てからになってしまった。反省点ではあるが、投資とはこんなものだろうとも思っている。


 なお、パーク24の売り推奨や日本特殊陶業の買い推奨する気は全くなく、あくまでの自分の判断の備忘録として記事を書いています。株式の売買はご自身の判断でお願いします。


【2021.11.7追記】

 日本特殊陶業は上方修正と増配で上げてきたところを買ったので、今のところ順調に上げている。IR情報として中間決算の説明会資料があった。

2021年11月01日IR資料
2022年3月期 第2四半期決算説明会プレゼンテーション資料

 この資料から興味深いページを幾つかメモ代わりにピックアップしておく。

 修正計画の営業利益に関しては、期初計画では利益貢献が想定されていなかったセラミック(半導体製造装置用部品)も寄与して上方修正になっているのが分かる。



 その半導体製造装置用部品に関しては年率25%の成長を想定していて、半導体製造装置の年率18%の成長を上回る。



 なお、自動車のEV化の流れに関しては以下の図があった。
 自動車関連では、世界の4輪車両保有台数で見れば、内燃機関車(ICE=Internal Combustion Engine)は2030年まで伸び、減少は緩やかで補修市場の需要は長期的に続く




 その他、燃料電池事業などの取り組みの紹介もあるので、投資対象として考えるなら一読しておくとよいと思う。

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