Surviving Sepsis Campaign 2021
なんと、 Society of Critical Care Medicine のホームページではガイドラインの日本語訳を無料配布している!
·敗血症に対する qSOFA の感度は高くない。qSOFA は敗血症のスクリーニングツールとしては使えない。
·敗血症に起因する低灌流状態に対しては最初の 3時間以内に 30 mL/kg 晶質液を輸液する。
·昇圧剤を必要とする敗血症患者の初期の目標血圧は平均動脈血圧 65 mmHg であり、それより高い血圧を目指さなくても良い。
·敗血症が疑われる場合は理想的には 1時間以内に抗菌薬投与を開始する。
· MRSA 感染のリスクが低い患者では MRSA をカバーしない。
·真菌感染のリスクが高い場合は抗真菌薬を使用し、高くない場合は抗真菌薬を使用しない。
·敗血症患者の蘇生では生理食塩水よりも調整晶質液を使用する。
·ノルアドレナリンを使用しても平均動脈血圧が目標に達しない場合はノルアドレナリンを増量するよりもバソプレシンを追加する (ノルアドレナリン 0.25-0.5 μg/kg/分に達した時点で 0.03 単位/分の固定用量で追加)。
·敗血症性ショックでは、可能なら動脈血圧をモニターする。一方、昇圧剤投与のために中心静脈路を確保しなくて良い。末梢からできるだけ早く昇圧剤を投与する。
·昇圧剤が必要な敗血症患者では、ショックを離脱するまでの期間を短縮させるためにステロイドを静脈内投与する (昇圧剤開始から少なくとも 4時間後、ノルアドレナリン 0.25 μg/kg/分 の時点で開始。ヒドロコルチゾン 50 mg 6時間毎)。
·敗血症による低酸素血症では NPPV よりもネーザルハイフローの方が 90日死亡率が低く、人工呼吸を行っていた日数が少ないかもしれない。
·敗血症による ARDS では低一回換気 (6 mL/kg) にする。また1日12時間以上腹臥位換気にする。PEEP は高く、プラトー圧は 30 cmH2O 以下にする。
·敗血症患者で消化管出血のリスクが高いなら、ストレス潰瘍予防を行う。禁忌でない限り、薬物による VTE 予防を行う。その場合、未分化ヘパリンではなく、低分子ヘパリンを使用する。
·敗血症患者では Hgb 7 g/dL 未満で輸血を考慮する。
·早期に腎代替療法を行うと中心静脈アクセスカテーテル感染が増える。腎代替療法は絶対適応 (尿毒症合併症、難治性アシデミア、高カリウム血症、難治性体液過多) の場合に行うべきで、ただクレアチニンが高いあるいは乏尿だからというだけでは行わない。
·乳酸アシドーシスをともなう敗血症患者に重炭酸ナトリウムを投与しても利益はなく害が多い。ただし、pH 7.2 未満の代謝性アシドーシスと AKI (AKINスコア 2 or 3) をともなう場合は死亡率を低下させるかもしれない。
·血糖 >180 mg/dL でインスリン注射を開始する。
·可能であれば 72時間以内に経腸栄養を開始する。