内分泌代謝内科 備忘録

内分泌代謝内科臨床に関する論文のまとめ

2022/06/08

2022-06-08 22:21:14 | 日記
米国甲状腺学会による甲状腺機能亢進症の診断と治療についてのガイドライン (2016)
Thyroid 2016; 26: 1343-1421

亜急性甲状腺炎

·亜急性甲状腺炎の疼痛は喉、顎、耳に放散することがある (たしかに嚥下時痛や耳の痛みを訴える亜急性甲状腺炎の症例は経験がある)。

·亜急性甲状腺炎では、3-6週間は甲状腺機能亢進が続き、その後 3割の患者では最大 6ヶ月間一過性の甲状腺機能低下になる。ほとんどの患者は 12ヶ月後の時点で甲状腺機能は正常化するが、5-15%の患者では永続的に甲状腺機能低下に陥る。

·亜急性甲状腺炎後の甲状腺機能低下症に対して甲状腺ホルモン補充を行っても良いが、6か月後の時点で一旦補充を中止するべきである。自然経過で甲状腺機能が正常化するかもしれないからである。

·疼痛が軽度の場合は NSAIDs が第一選択薬。最大量の NSAIDs を数日間使用しても疼痛コントロールできない場合は糖質コルチコイドに変更する。

·NSAIDs で治療した場合は疼痛寛解まで中央値 35日かかるのに対し、糖質コルチコイドで治療した場合は中央値 8日で疼痛が寛解する。

·具体的にはプレドニゾロン 40 mg/day で開始し、1-2週間維持。その後、症状を確認しながら 2-4週間で漸減する。

·プレドニゾロン 15 mg/day で開始し、2週間毎に 5 mg ずつ減量するレジメンも有効だと報告されている。しかし、20%の症例では中止までに 8週間以上かかっているので、治療期間が長くなるかもしれない。

https://www.liebertpub.com/doi/10.1089/thy.2016.0229?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori%3Arid%3Acrossref.org&rfr_dat=cr_pub++0pubmed