●あなたは憶えておられるだろうか?
2001年にヤフージャパンが「ヤフー!BB」のサービスを始めた。その後、ADSL のモデムを街角で配り始めた。駅前や人通りの多い交差点には、白と赤のウインドブレーカーを羽織った若いキャンペーンスタッフが無料でモデムを配っていた。
大きな声でアピールする人、立ち止まった人に説明する人、事務作業を行う人など複数のスタッフで 1チームを作っていた。
●「モデムを無料で配る」「圧涛Iに安い通信費でブロードバンドが使える」という期待とともに、「本当にその値段でできるの?」という疑問や、「申し込みは済ませたが、いつまで経っても回線工事に来てくれない」という苦情も交じって「ヤフー!BB」のキャンペーンはマスコミも注目する社会現象にまでなった。
●私は当時、「ヤフー!BB」 のキャンペーンを見ていて大変危惧した一人である。本当に孫さんに勝算はあるのだろうか?
資本力にものを言わせるのは結構だが、計算された勝負とは思えなかったのだ。
ソフトバンクが顧問先であったなら、私はまず地域限定で勝負するよう助言しただろう。だれもが同じ事を思ったし、孫社長以外の役員もそう思っていたようだ。
●ところが、孫さんは常識を越える判断基準と嗅覚で勝負に打って出た。やるなら全国一気にやる。
勝負を仕鰍ッる以上は、勝てない戦をするような経営者ではない。
最近になってわかったことだが、「そこまで読み切って勝負していたのか!」と驚かされることになった。
●『孫正義「規格外」の仕事術』(三木雄信著)によれば、2003年にブロードバンドの顧客獲得に力を入れる方針を発表した孫正義氏は、次の数字を正しく予測するよう現場に指示を出したという。
・晴れた日にはいくら売れる?
・新しいアルバイトと経験のあるアルバイトでは売上げの差は幾ら?
・場所による売上げの差は幾ら?
・一つの売り場で人数を増やせば、売上げは幾ら伸びる?
・平日と休日の売上げの差は幾ら?
●普通の会社でそれらの数字を知りたいと社長が言っても、幹部は聞く耳をもたないだろう。
「社長、分かるわけないじゃないですか?」、
「それを知ってどんな意味があるのですか?」と一蹴されるはずである。
●だが、ヤフージャパン(ソフトバンク)ではそれが通らない。
何しろデータを徹底的に重視する孫社長は、過去の数字をチェックするだけでは「バックミラーを見ながら運転するようなもの」で、あらゆる角度から実績を分析してもそれは過去の話。重要なのは今日以降の活動がどのようになるかである。
そこで、あらゆる活動を数字で予測した上で事業を推し進めることになる。
「やってみないと分かりません」は通じない。千通りの事業計画を作ってから始めることになるのだ。そして始まったらまた千通りの見通しを作り直す。
●孫社長の指示を受けて幹部が調べた。その結果、次のような隠された統計値があると分かった。
・晴れの日の数字を 100とすると曇りの日は75、雨の日は50
・新人アルバイトを 100とすると、経験者のアルバイトは150
・場所による売上げ格差は、あるチェーンの店舗の前を 100とすると他のチェーンでは80
・人数と売上げの関係は、一人目を 100とすると二人目は90、三人目は85・・・。
・平日を 100とすると休日は150
こうした統計値が分かると、日にち単位での数字予測が可能になり、幹部以下全員が数字目標をしっかりもって動くようになる。
もし統計値を上回る素晴らしい成果が出れば、それはチームのお手柄となる。こうした取り組みの結果、アルバイト一人一人までもが個人目標の達成に一喜一憂していたという。
●これが会社をつぶさない経営者の発想だ。
見方によっては臆病というか潔癖症に近い部分が孫社長にある。
だが、それこそが経営者に求められる資質の一つなのである。
「どうなるのか分からない」「不安である」という気持ちがあるからこそ、「分かるようにしよう」「少しでも安心できるようにしよう」
と考えることが肝心なのだ。
2001年にヤフージャパンが「ヤフー!BB」のサービスを始めた。その後、ADSL のモデムを街角で配り始めた。駅前や人通りの多い交差点には、白と赤のウインドブレーカーを羽織った若いキャンペーンスタッフが無料でモデムを配っていた。
大きな声でアピールする人、立ち止まった人に説明する人、事務作業を行う人など複数のスタッフで 1チームを作っていた。
●「モデムを無料で配る」「圧涛Iに安い通信費でブロードバンドが使える」という期待とともに、「本当にその値段でできるの?」という疑問や、「申し込みは済ませたが、いつまで経っても回線工事に来てくれない」という苦情も交じって「ヤフー!BB」のキャンペーンはマスコミも注目する社会現象にまでなった。
●私は当時、「ヤフー!BB」 のキャンペーンを見ていて大変危惧した一人である。本当に孫さんに勝算はあるのだろうか?
資本力にものを言わせるのは結構だが、計算された勝負とは思えなかったのだ。
ソフトバンクが顧問先であったなら、私はまず地域限定で勝負するよう助言しただろう。だれもが同じ事を思ったし、孫社長以外の役員もそう思っていたようだ。
●ところが、孫さんは常識を越える判断基準と嗅覚で勝負に打って出た。やるなら全国一気にやる。
勝負を仕鰍ッる以上は、勝てない戦をするような経営者ではない。
最近になってわかったことだが、「そこまで読み切って勝負していたのか!」と驚かされることになった。
●『孫正義「規格外」の仕事術』(三木雄信著)によれば、2003年にブロードバンドの顧客獲得に力を入れる方針を発表した孫正義氏は、次の数字を正しく予測するよう現場に指示を出したという。
・晴れた日にはいくら売れる?
・新しいアルバイトと経験のあるアルバイトでは売上げの差は幾ら?
・場所による売上げの差は幾ら?
・一つの売り場で人数を増やせば、売上げは幾ら伸びる?
・平日と休日の売上げの差は幾ら?
●普通の会社でそれらの数字を知りたいと社長が言っても、幹部は聞く耳をもたないだろう。
「社長、分かるわけないじゃないですか?」、
「それを知ってどんな意味があるのですか?」と一蹴されるはずである。
●だが、ヤフージャパン(ソフトバンク)ではそれが通らない。
何しろデータを徹底的に重視する孫社長は、過去の数字をチェックするだけでは「バックミラーを見ながら運転するようなもの」で、あらゆる角度から実績を分析してもそれは過去の話。重要なのは今日以降の活動がどのようになるかである。
そこで、あらゆる活動を数字で予測した上で事業を推し進めることになる。
「やってみないと分かりません」は通じない。千通りの事業計画を作ってから始めることになるのだ。そして始まったらまた千通りの見通しを作り直す。
●孫社長の指示を受けて幹部が調べた。その結果、次のような隠された統計値があると分かった。
・晴れの日の数字を 100とすると曇りの日は75、雨の日は50
・新人アルバイトを 100とすると、経験者のアルバイトは150
・場所による売上げ格差は、あるチェーンの店舗の前を 100とすると他のチェーンでは80
・人数と売上げの関係は、一人目を 100とすると二人目は90、三人目は85・・・。
・平日を 100とすると休日は150
こうした統計値が分かると、日にち単位での数字予測が可能になり、幹部以下全員が数字目標をしっかりもって動くようになる。
もし統計値を上回る素晴らしい成果が出れば、それはチームのお手柄となる。こうした取り組みの結果、アルバイト一人一人までもが個人目標の達成に一喜一憂していたという。
●これが会社をつぶさない経営者の発想だ。
見方によっては臆病というか潔癖症に近い部分が孫社長にある。
だが、それこそが経営者に求められる資質の一つなのである。
「どうなるのか分からない」「不安である」という気持ちがあるからこそ、「分かるようにしよう」「少しでも安心できるようにしよう」
と考えることが肝心なのだ。
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