「ケインズとシュンペーター」根井雅弘より
シュンペーター
○「企業者」
・イノベーションの遂行を自らの機能とする者。道の歩行、ではなく、道の建設。
・資本主義経済の下では経済発展をもたらす真の要因が企業者精神。
○「企業者」の動機付け
・自己の王朝を建設しようとする夢想と意志
・勝利者意志(利潤量が勝利の記念碑)
・創造の喜び
○「不況はイノベーションによる適応過程」
・イノベーションによる成果として新しい財が市場に大量に出回り、価格は低下。また、銀行は債務の返済を求め始めるため、信用が縮小し、価格低下に拍車。これが不況(GDPの減少)につながる。
・不況対策として財政政策は無意味
→・自治体レベルで考えると、イノベーションの生じる場所も考慮必要。県外で生じたイノベーションも消費の観点からは県内に波及するかもしれないが、投資の観点からは県内への波及が見込み薄、むしろ資産の漏出につながる。
○「きわめて長期的には、資本主義も企業者精神も衰退」
・競争的資本主義からトラスト化された資本主義へ移行するにつれ、イノベーションの担い手が「個々の天才的企業者」から「大企業における官僚化された一群の専門家」へと移行、に注目。
→・一般に大きな組織の中でもイノベーションは起こせるもの、と考えられているが、イノベーション遂行により得られる報酬の程度がシュンペーターの考えとは異なる
・民間とは異なり行政ではさらに成果が見えづらく報酬の設定も困難。だからイノベーションも起きにくい。
ケインズ
○「不確実性の世界では経済合理性より慣行的判断(いわゆる投機。市場人気の次の変化を予想)を採用しがち」
・投資量は、資本の限界効率と利子率が一致する所となる。資本の限界効率の将来の不確実性により、貨幣愛が生じ不況となる。
・新しい知識の獲得が不確実性を減少させる
→・不確実性を減らすために知識を高めようとしても、現在の自治体は3年周期で産業から福祉まで広範な業務に就くため知識の蓄積が困難。また、中途採用も少なく、みな同じような知識しかない。
・自治体として不確実性を減らすよう補助制度など事業が中期的に継続することを担保する必要がある。
○「アニマル・スピリット(不活動より活動を欲する自生的衝動)が打ち破る」
→・不確実性へのチャレンジが必要。不確実なのだから自治体で行う予算編成(=事前評価)では事業の必要性が説明困難。やってみて成果を評価(=事後評価)しようとしても、自治体の政策は事後評価困難な場合もあるが、事後評価重視にシフトしないといけない。
↓山形市の七日町御殿堰。江戸時代に城の堀を満たすため作られた。再開発により暗渠を開渠にした。2010年オープン。
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