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地理講義   

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234.民泊の本質  旅行者増加対策としての安宿ではない

2016年08月01日 | 地理講義

アジア諸国の所得向上と格安航空の隆盛にともない、日本に安価な旅行をめざす者が急増している。海外から日本への旅行客は、2015年には「爆買い」という買物ツアーが流行したが、今は日本の高校生の修学旅行コースをまわる旅行が一般的になってきた。人気スポットは、富士山、京都(金閣寺・伏見稲荷・清水寺)、奈良(東大寺・若草山)、東京(浅草・渋谷・新宿・浦安)などである。カネのない旅行者の増加にともない、ホテルはコストダウンのための大型化、旅館はホテルへの転換を急いでいる。



外国人旅行者の多数は日本の修学旅行と同じコースをたどるが、修学旅行ほどの多人数ではないし、予約が不確実であり、旅行先の激安宿泊を確保するのがなかなか難しい。このため、旅館業法に抵触する恐れがあるにもかかわらず、民家に外国人を泊まらせて儲けようとする、インターネット民泊が増えている。日本政府はこの傾向を是認する方向で、旅館・ホテル業界の反対を押し切っても、民泊法を急いで制定させようとしている。

日本の財政は行きづまった。理由は老人の年金つまり老齢年金のためである。年50兆円の財政負担が、日本の国家財政の重荷になった。老人に、死ぬまで働かせて年金を減額することが、唯一の政策的手段である。
老人に収入を得させる方法は、老人世帯の空いている部屋に外国人旅行者を割安の宿泊費で泊めて、日銭を稼がせることである。外国人でなくても、日本人を泊めても構わない。1,2泊だけではなく、下宿のような長期宿泊でもよい。食事は夕食を出せばその対価を求めることができるし、手数を省くなら夕食は出さずに朝食だけとする。こうすれば、老人は、たいした元手も費用もかけずに、手っ取り早く、収入を得ることができる。一戸建てでもマンションでもできる。
老人世帯が毎月20万円を得るならば、月20万円の年金をカットできる理屈になる。そうすれば、日本全体では年に数兆円の収入になるとの試算もある。

民泊の究極の目標は、老人世帯を働かせて収入を得させ、低額化傾向にある老齢年金への不満を解消し、合わせて日本国の財政状況を改善しようとすることである。民泊は海外旅行者への安い宿を提供することを口実にした、年金削減策である。

ペンションpensionの本来の意味は「年金」であり、洋式民宿ではない。ヨーロッパでは年金制度が早くに破綻し、年金だけでは生活できない老人世帯が多い。そこで多くの老人世帯では空家・空室を旅行者や下宿人に安く提供して、つつましい生活を余儀なくされている。旅行者や下宿人に提供される部屋を、ペンションと呼ぶのである。
日本の民泊の規制緩和の政治的な目標は、低水準の年金の老人世帯が多少の収入を得て、何とか経済的に自立させようとすることであり、その民泊施設こそがペンションなのである。日本の民泊拡大はペンションの本来的意味に向かっている。

現在の民泊は、インターネット仲介業者と違法民泊業者が儲けているが、これは政府の本意ではない。日本政府の最大のねらいは、若者のいなくなった老人世帯の空き部屋を民泊に活用して収入を得させ、将来的には年金を減らすことである。最終目標は年金削減による財政再建である。

 

 

 

 

 

 

 



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