地理講義   

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1.大気の大循環

2010年10月23日 | 地理講義
1.大気の大循環

赤道には太陽光線が豊富に降り注ぎ、大気が風の形で動かない場合、赤道付近の気温はとても生物の生息ができないほどの高温になるだろう。
一方、北極には太陽光線が半年間、わずかに差し込むだけである。もし、北極の風が動かないと、北極はとてつもなく低温になり、北極周辺は一面分厚い氷河ができて、海面は低下する。2万年前の氷河期によく似たことが起こる。海面が100m以上も低下し、2万年前には人類の海峡移動があったが、今度は海をはさんだ国家の関係が複雑微妙になるだろう。
しかし、現実の地球では、赤道から高温の風が北極あるいは南極方向に向かって吹く。そのために、地球の空気がかきまぜられて、地球全体に人間が住める温度になる。赤道から吹く風は、上空を吹く偏西風であったり、地上を吹く貿易風であったり、あるいは台風・ハリケーンであったり、温帯低気圧であったり、温帯高気圧であったりする。空気の動きは、赤道と両極の温度差を解消する風である。



熱帯収束帯
熱帯収束帯とは、南北回帰線にはさまれた赤道付近の高温多雨域である。太陽が真上にあり、地面が強く熱せられて水蒸気が上昇し、積乱雲ができる。熱帯の毎日のスコールは、強い日差しで大量の水蒸気が上昇するからである。スコールを降らせた積乱雲はエネルギーを失って消滅する。
熱帯収束帯は北半球からの北東貿易風と南半球からの南東貿易風がぶつかって、上昇気流になること。この気流の衝突と上昇から熱帯収束帯の名前がついた。上昇気流が地球自転の影響を受けて低気圧性の渦ができると、台風・ハリケーンである。台風・ハリケーンは移動性の熱帯低気圧であり、熱帯のエネルギーを温帯に運ぶ。

亜熱帯高圧帯(中緯度高圧帯)
熱帯上空でスコールを降らせた空気は、エネルギーを失って落下し、南北回帰線付近で下降気流になる。亜熱帯高圧帯は、赤道から南北回帰線までの対流である。
熱帯収束帯で上昇した空気が、南北回帰線付近で下降気流になって、亜熱帯高圧帯をつくる。亜熱帯高圧帯は空気の下降域であり、晴天が続く。
南北北回帰線付近に、砂漠気候やステップ気候の乾燥気候をつくる。亜熱帯高圧帯は、夏には太陽の北上とともに移動し、北半球側には、夏に乾季の地中海性気候をつくる。冬には赤道を越えて南半球まで移動する。冬に亜熱帯高圧帯の移動する地域が、サバナ気候である。

北東貿易風と南東貿易風
下降した冷たい空気のかたまりは、地上あるいは海面を赤道に向かって吹く。地球の自転の影響で、北半球では北東風、南半球では南東貿易風となる。
年中吹いている恒常風(trade wind)である。初代気象庁長官岡田竹松が「貿易風」と翻訳したといわれている。帆船時代、北東貿易風や南東貿易風を利用して大海を越えて航海をしたので、貿易風への誤訳は正しかったことになる。

ハドレー循環
赤道の水蒸気が積乱雲になってスコールを降らせ、亜熱帯高圧帯で下降し、地上で貿易風になる。この低緯度の大気循環がハドレー循環である。大気の対流運動つまり垂直方向の大気の流れとして、赤道の高温の熱・水蒸気を低緯度方向に輸送する。
赤道に向かって、北半球からは北東貿易風が吹き、南半球からは南東貿易風が吹く。2つの貿易風が赤道に集まり、熱帯収束帯ができる。熱帯収束帯で行き場を失った2つの貿易風が上昇気流になる。つまり貿易風は、赤道の強い日射で発生する積乱雲を、さらに成長発達させる。

偏西風
赤道の高温の熱を、北極・南極に運ぶのが偏西風である。地球の自転のために、西風になる。また、極からの低温の風の吹き出しにより、波打った流れになる。偏西風の波動が北極近くから赤道方向に流れると、北極の低温風が赤道に運ばれる。偏西風が赤道から北極に向かって流れると、赤道の高温風が北極に運ばれる。偏西風波動は、低緯度と高緯度の温度差を解消する流れである。
ハドレー循環は垂直運動の対流熱輸送で、偏西風は水平運動の波動である。ハドレー循環によって赤道から運ばれた熱を、偏西風が高緯度に運ぶのである。
偏西風の流れるコースは蛇行しつつ、季節ごとに毎年ほぼ一定である。偏西風の流れるコースが変わると、気象は大きく変化する。
偏西風の最も強風部分がジェットである。上空1万m、風速50~80mである。西から東に向かう航空機がジェットを利用する。燃料の節約と、飛行時間の短縮になる。



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