幻冬舎新書「偽善エネルギー」(2009年)の中で、武田邦彦先生は、原子力発電所の危険性を2つ指摘している。2011年の福島原発事故の2年前の出版だが、福島原発を予測したような内容であり、武田先生についてのあれやこれやの評判は抜きにして、武田先生の指摘した原発の危険性をよく考えなくてはならないと思う。
その1(55~60P)
日本の原子力発電所は高度の技術水準で建設されていて、原発そのものは安全である。しかし、原発の地震に対する設計は何の根拠もない非科学的なものであり、安全性を保障できる専門家はいない。地震で倒壊する危険性が大きい。
※津波のことには言及していないが、福島原発は地震だけでも損傷が大きく、津波で決定的打撃を受けた。
その2(40~43p)
原発は国策として全部の発電会社に建設が割り当てられた。原発の廃棄物であるプルトニウムは、実は廃棄物ではなく、核兵器の原料そのものである。原爆は、プルトニウムが数kgもあれば製造できる。日本の科学水準であれば、プルトニウム型核兵器を簡単につくることができる。日本は核武装していないが、核武装と見られて当然である。
※日本が所有するプルトニウムは、核兵器2,000発分以上である。プルトニウムを数kgずつ右手と左手に持って勢いよく左右をぶつけると、核爆発が起こり、その人間は核爆発の高温で瞬時に消えてなくなる・・・。
※私見
多分、武田先生はこんなことを遠慮なく言うので、政治的に非常にまずいと思った政治家が、武田先生を変わり者として扱うようにしているのだろう。かつて、足尾鉱害事件で明治天皇に直訴した田中正造を、政府が変わり者として社会から葬ったことを連想する。
日本政府が福島原発の事故の真相を語らないのは、原発が核兵器燃料製造工場であることを、日本国民に知られることを恐れているのだろう。
国際的には、日本を潜在的核保有国である。日本が本当に核兵器の燃料を製造しないように、六カ所村は国際査察の対象となっている。