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盛永いち子です。

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川霧

2012-11-02 20:02:29 | 随筆
 このところ、朝ぐっと冷え込むためか、多摩川に霧が立ち上っています。遠くの山の麓も霧が流れていて、それは神秘的です。
 万葉集か何かに、川霧の歌があったような気がして探してみました。

 


 大野山霧立ちわたる我が嘆くおきその風に霧立ちわたる

 秋の田の穂の上に霧らふ朝霞いつへの方に我が恋やまむ

 秋されば川霧立てる天の河川に向き居て恋ふる夜そ多き

 人々は川から立ち上る霧を、自分が嘆くため息のようだと感じていたんですね。恋の歌が多いのはそのためでしょう。また、「霧らふ」(きらふ)という言葉もステキですね。霧が立ち込めるイメージでしょうか。今はこういう言葉はありません。残念ですね。「Ki」という音のせいでしょうか。どことなく背筋が伸びるような、鋭角な、輝きも感じます。

 ところで、「秋されば」は「秋になると」という意味です。「秋が去る」ではありません。「夕されば門田の稲葉訪れて 蘆のまろ屋に秋風ぞ吹く」とう歌が百人一首にありますが、この「夕されば」も同じです。


 朝ぼらけ宇治の川霧たえだえにあらわれわたる瀬々の網代木 
 これは百人一首にも選ばれた有名な歌。なんだか、『源氏物語』の宇治十帖の世界のようですね。

  

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