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盛永いち子です。

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ハインリッヒ・ハイネの言葉

2013-07-23 20:08:17 | 文芸
 先週だったか、朝日の投書欄に焚書のことが載っていました。
 「焚書」とは書物を焼くこと。古代から治世者は様々な形で言論統制をおこなってきました。古代中国でも焚儒といって、儒教の書が弾圧され、多くの儒教の書籍が焼かれ、儒者が生きたまま埋められました。

 言論の自由、思想の自由が保障されたのは、人類の歴史の中では本当につい最近のことなのです。
 日本でも昭和20年以降、敗戦の後のことです。
 
 ヒトラーのナチスドイツでも、かつて焚書が行われました。


『焚書は序章に過ぎない。本を焼く者は、やがて人間も焼くようになる』
 (ハインリッヒ・ハイネ 戯曲『アルマンゾル("Almansor")』より)
 愛の詩人と言われるハイネの有名な言葉です。

  ハイネです。

 ナチスは焚書を実施し、ハイネの作品も焼かれました。 
 そして、ハイネの言葉通り、そそ後ナチスは多くの人間を焼いたのです。ナチスは合理的な殺人のために、ガス室を作り、大量殺戮を行います。その対象となったのは、ユダヤ人、ポーランド人、精神疾患を持つ者、政治犯、ジプシーと呼ばれる人々、同性愛者、等々。今からほんの数十年前のこと、まだ100年もたっていないのです。

 今の日本はどうでしょうか。本当に自由があるでしょうか。

 戦後教科書の検定制度が実施されるようになりました。これは戦時中の反省から、誤った教科書によって、戦争への道を再び歩むことがないように、という自戒のための制度だったのです。しかし、戦後70年以上たち、この制度を逆手にとって、教科書は再び危機的な状況にあるのではないでしょうか。あの戦争をちょっとでも批判的に書いた日本史の教科書は、検定が通りません。南京大虐殺や従軍慰安婦などに触れると検定が通らないので、教科書会社は自粛して記述を避けるようになってきています。

 なんだかとても窮屈で、怖いことだと思うのです。

 ハイネの言葉を決して忘れずに、しっかり心にとめていきたいと思います。


 さて、私の好きなハイネの詩を紹介します。愛の詩が読める時代がずっと続きますように。


  「かの ひとを 知ったからには 死なねば ならぬ」

 かの ひとを 知ったからには 死なねば ならぬ
 死なねばならぬ
 名状し難い その 微笑みの 輝きの ために。
 死なねばならぬ

 その 軽やかな もろ手 の ために。
 死なねば ならぬ


 かの女(ひと)の ために


 若者よ お前の 心の 空間の中を 高く
 彼女たちが さ迷う とき 歌うがいい
 この 致命的な ひとたちを

 お前の 花咲く 胸のうちから
 歌い 讃える が いい

 この 達し難い 人たちを
 ああ
 彼女たち が なんと 遠いことか

 お前の 感情の
 頂の うえに 彼女たちは 現れて 注ぐのだ

 甘美と なった 夜を
 お前の 両腕の 見捨てられた 谷間へ
 ああ 上昇する

 彼女たちの 風が お前の
 肉体の 葉むれ に 騷めき お前 の 小川が
 輝いて 彼方へ 流れて ゆく


 けれど 大人は
 さらに 深い 感動を 秘めて 沈黙 するが いい

 その 感情 の 山々を 夜に 道も なく
 さまよい 歩いた 彼は
 沈黙 するが いい

 丁度 中年の 船人が 沈黙 するように

 すると 耐え抜かれた
 驚愕は 彼の 中で 飛び 廻るのだ

 まるで 揺れている 鳥籠の 中 での ように


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1 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (Unknown)
2015-06-25 12:29:06
リルケ?
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