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盛永いち子です。

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「赤毛のアン」のその後を知っていますか

2014-03-07 19:02:22 | 随筆
 「赤毛のアン」は村岡花子さんの名訳で、アンブックス10巻があります。第1巻は、もちろん「赤毛のアン」それから「アンの青春」「アンの愛情」「アンの幸福」「アンの夢の家」「アンの愛の家庭」「虹の谷のアン」「アンの娘リラ」「アンの友だち」「アンをめぐる人々」、これで10冊です。「アンの友だち」「アンをめぐる人々」はあまりアンは出て来ない、プリンスエドワード島を舞台とする短編集のような感じです。

 

 「アンの娘リラ」はアンの登場する最後の巻。アンの末娘のリラの16歳から20歳までの4年間が綴られます。(現代は「リラ・マイ・リラ」といいます)ただ、このリラの青春は、第一次世界大戦と重なるのです。一番楽しいはずの十代後半を、戦争の中で過ごすリラの成長する様子が描かれています。アンには3人の息子がいますが、3人とも、戦争に行き、長男ジェムは行方不明、次男ウォルターは西部戦線で戦死してしまいます。ウォルターの名前は、アンが生まれてすぐになくなった父親の名前なんですね。
 ウォルターは生まれながらの詩人で、戦争に行く前にすでにいくつかの詩が活字になっている、そういう青年です。

 実は、アン一家はこのアンブックスのほかにも、いくつかの作品に登場していることをご存じでしょうか。
 そこでは、老いたギルバート(アンの夫)が、リラの息子ギルバートジュニアが戦争に行くことを嘆いているシーンもあります。第二次世界大戦です。たくさんの犠牲をはらった平和は、20余年で終わりを告げます。

 また、ほかの本では、ウォルターをなくした後のアンの寂しい生活が綴られます。アンはウォルターの書きかけの詩の続きをしたためたりしています。どうにも、暗い悲しみが底に漂います。

 あの明るい「赤毛のアン」の世界は、もうそこにはありません。

 作者のルーシー・モード・モンゴメリーはプリンスエドワード島をこよなく愛した感受性の強い女性でした。亡くなった両親のかわりに彼女を育ててくれた祖父母と暮らし、祖父母が生きている限りは結婚もしませんでした。ですから、彼女はかなりの晩婚です。祖父母をみとったあと、彼女は婚約者と結婚しますが、結婚生活はあまり幸福ではなかったようです。牧師の夫は心を病み、彼女はそういう夫をかばい、その病気を隠し続けていたと言います。息子二人も彼女の支えにはならず、息子のことでもずいぶん悩んだようです。

 人の苦しみや悲しみを我がことのように感じてしまう人が、世の中にはいるものです。モンゴメリーはそういう感じやすい心を持った人の一人だったようです。戦争がモンゴメリーの心に与えたものは、計り知れないものだったようです。モンゴメリーは1942年に亡くなります。最近では、自死だったのではないかとも言われています。
 世界中を巻き込んで、何百万人もの人が犠牲になった第二次世界大戦。ナチスによる強制収容所、ユダヤ人虐殺、原爆投下、非戦闘員も戦闘員も区別なく行われた大量殺戮、・・・このような出来事に耐えられるほど、彼女の心は強くなかったのだと思います。このような戦争の全貌を知らぬまま彼女が亡くなったことは、まだしも良かったのかもしれません。

 

 でも戦争がもたらす残虐さに耐えられる心なんて、必要でしょうか?誰もがみんな、美しいものを求め、美しいものに囲まれて生きていきたいと願うのではありませんか。
 今も世界中は戦乱ばかり。あちこちで小さな争いが起きている。
 私は暴力的な死に対して慣れたくない。残虐な行為に対して平静でいたくない。戦争を必要悪だと認めたくない。

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2 コメント

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Unknown (はな)
2019-06-30 21:25:25
記事、楽しく拝見させていただきました。
わたしもアンブックスの大ファンです。
ギルバートジュニアが出兵する、アンがウォルターの詩の続きをしたためる話は、どこで読めますか??
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Unknown (サカモトマサヒロ)
2021-05-28 12:54:00
アン 晩年はとても悲しくセツナイ物語ですね、若い自分のアンは元気で物事はっきりゆう女の子でした、プリンスエドワード島も生涯友(名前忘れました。ごめんなさい。)楽しい生活でしたね、晩年の生活は打ってかわって寂しい過ぎます。
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