06.10.10(火)19:00 ザ・シンフォニーホール
06.10.11(水)19:00 ザ・シンフォニーホール
大阪フィルハーモニー交響楽団 第402回定期演奏会
指揮/大植英次
ヴァイオリン/長原幸太
チェロ/秋津智承
曲目:ブラームス/ヴァイオリン、チェロと管弦楽のための協奏曲イ短調op.102
:チャイコフスキー/交響曲 第5番ホ短調op.64
大フィル06~07シーズン後期定期演奏会はこれから。「大阪クラシック-御堂筋にあふれる音楽-」でさらなる人気を獲得した大植/大フィルとあって、ほぼ満員の客席の熱気がすごい。
ブラームス。
ブラームスの協奏曲中、人気知名度ともに最低ながらも滋味あふれる名作、二重協奏曲。なんせ生で聴いた覚えがほとんどない。録音ではカンポーリ、ナヴァラ、バルビローリの歌いすぎて暑苦しい演奏がお気に入り。ここでは首席コンマスと首席チェロがソリスト。監督共々オケを引っ張る才能のすごさを聞いていただこうという趣旨ですかね。
重量感とメリハリのある伴奏、若々しいヴァイオリンとビターなチェロが噛み合ったいい演奏でした。
前日は朝日放送の収録があったとか聞きました。来年初頭に放送とか。はてさて。
休憩を挟んでチャイコ。
おとといのヴァンスカ(大植英次の次のミネソタの音楽監督になっている)もそうですが、実によくオーケストラを手中に収めて動かしてくる。冒頭の陰鬱な表情の作り方といい、テンポの緩急といい大したものです。対向配置を採っていて、バスが最後方に一列に並んでいたのですが、これが良い効果を上げていました。個人的にはもう一つ前に出る部分があるとロシア風の野卑な感じが出るような気がして残念でしたが、この指揮者は存外そういうケレン味のあることはやらないんですね。
第2楽章はホルンソロの難しいところがあるのですが、無難にこなすどころか大変美麗な流れを持って吹いていて感激。傍の若い子が音も立てずに拍手してたぐらい(笑)。得てして通俗に陥りやすい第3楽章も節度のある歌いこみで切り抜けてゆき、恐ろしく開放的で快速な終楽章。
朝比奈先生の十八番だったこの曲ですから、ある程度は出来て当たり前の大阪フィルです。それをさらに一段上に昇る名演奏でした。が。
怒号のようなブラボー(これだけは嫌い)の最中、拍手しながらもあっさり我に返る。がんがん鳴ってぐんぐん歌ってとてもとても楽しかった。この上なく清清しい爽快感だけが残って何を聞いたかはよく覚えていない・・・。
あらこの感覚は。連れはすごくすごく感激してるけども。これは。
お客様の大きな反響の中、感極まったような表情の大植さんが去り、オケの皆さんも舞台を後にする。鳴り終わる拍手。
右3列前に見知った顔が2人ほど。大フィル一筋30年なじいさん連が。
Rさんを見つけて「あんさんどないだ」。
ここで「いい演奏でしたねー」とさらっと言えたらRさんも大人になったと思ったんだけども言葉が出ない。「うーん・・・」
「でっしゃろ」「いや」「出まひょか」「ああはい」
「ばんばん鳴っとるだけでっせ」「鳴らなんだもんが鳴るようになったんは有難いこってすわ、せやけど中身はおまへんで」「そうかなー」「ぜーんぶ聞いてるけど上手に音出させる他なーんもあらしまへん」「僕は全部ではないんであれですけど」「なに聞きはった?」「幻想だとかタコ7だとか」「そなもん出る音だしたらどないかなる曲ばっかりや、ブルックナー、ベートーヴェンはきれいごとでぼんくらなもんばっかり」「マーラーとか・・・」「こせこせしてまっせー、あきまへん、今日かてきれいなばっかりやスポーツだんがな」「ああー」「でっしゃろ」
耳には美しいけど一層深いところが足りない、というご意見にやや押されつつ帰途へつきました。
12月のヴェルレク楽しみ。
次は明日12日です。
06.10.11(水)19:00 ザ・シンフォニーホール
大阪フィルハーモニー交響楽団 第402回定期演奏会
指揮/大植英次
ヴァイオリン/長原幸太
チェロ/秋津智承
曲目:ブラームス/ヴァイオリン、チェロと管弦楽のための協奏曲イ短調op.102
:チャイコフスキー/交響曲 第5番ホ短調op.64
大フィル06~07シーズン後期定期演奏会はこれから。「大阪クラシック-御堂筋にあふれる音楽-」でさらなる人気を獲得した大植/大フィルとあって、ほぼ満員の客席の熱気がすごい。
ブラームス。
ブラームスの協奏曲中、人気知名度ともに最低ながらも滋味あふれる名作、二重協奏曲。なんせ生で聴いた覚えがほとんどない。録音ではカンポーリ、ナヴァラ、バルビローリの歌いすぎて暑苦しい演奏がお気に入り。ここでは首席コンマスと首席チェロがソリスト。監督共々オケを引っ張る才能のすごさを聞いていただこうという趣旨ですかね。
重量感とメリハリのある伴奏、若々しいヴァイオリンとビターなチェロが噛み合ったいい演奏でした。
前日は朝日放送の収録があったとか聞きました。来年初頭に放送とか。はてさて。
休憩を挟んでチャイコ。
おとといのヴァンスカ(大植英次の次のミネソタの音楽監督になっている)もそうですが、実によくオーケストラを手中に収めて動かしてくる。冒頭の陰鬱な表情の作り方といい、テンポの緩急といい大したものです。対向配置を採っていて、バスが最後方に一列に並んでいたのですが、これが良い効果を上げていました。個人的にはもう一つ前に出る部分があるとロシア風の野卑な感じが出るような気がして残念でしたが、この指揮者は存外そういうケレン味のあることはやらないんですね。
第2楽章はホルンソロの難しいところがあるのですが、無難にこなすどころか大変美麗な流れを持って吹いていて感激。傍の若い子が音も立てずに拍手してたぐらい(笑)。得てして通俗に陥りやすい第3楽章も節度のある歌いこみで切り抜けてゆき、恐ろしく開放的で快速な終楽章。
朝比奈先生の十八番だったこの曲ですから、ある程度は出来て当たり前の大阪フィルです。それをさらに一段上に昇る名演奏でした。が。
怒号のようなブラボー(これだけは嫌い)の最中、拍手しながらもあっさり我に返る。がんがん鳴ってぐんぐん歌ってとてもとても楽しかった。この上なく清清しい爽快感だけが残って何を聞いたかはよく覚えていない・・・。
あらこの感覚は。連れはすごくすごく感激してるけども。これは。
お客様の大きな反響の中、感極まったような表情の大植さんが去り、オケの皆さんも舞台を後にする。鳴り終わる拍手。
右3列前に見知った顔が2人ほど。大フィル一筋30年なじいさん連が。
Rさんを見つけて「あんさんどないだ」。
ここで「いい演奏でしたねー」とさらっと言えたらRさんも大人になったと思ったんだけども言葉が出ない。「うーん・・・」
「でっしゃろ」「いや」「出まひょか」「ああはい」
「ばんばん鳴っとるだけでっせ」「鳴らなんだもんが鳴るようになったんは有難いこってすわ、せやけど中身はおまへんで」「そうかなー」「ぜーんぶ聞いてるけど上手に音出させる他なーんもあらしまへん」「僕は全部ではないんであれですけど」「なに聞きはった?」「幻想だとかタコ7だとか」「そなもん出る音だしたらどないかなる曲ばっかりや、ブルックナー、ベートーヴェンはきれいごとでぼんくらなもんばっかり」「マーラーとか・・・」「こせこせしてまっせー、あきまへん、今日かてきれいなばっかりやスポーツだんがな」「ああー」「でっしゃろ」
耳には美しいけど一層深いところが足りない、というご意見にやや押されつつ帰途へつきました。
12月のヴェルレク楽しみ。
次は明日12日です。