オオカミになりたい(遺言)

ずっとそばにいるよ

新形三十六怪撰より 「仁田忠常洞中に奇異を見る図」

2018-10-06 | 新形三十六怪撰

~ 洞窟の先に異世界を見た? ~

『仁田忠常洞中に奇異を見る図』

(にったただつね どうちゅうに きいをみる ず)

 

大蘇芳年筆

仁田忠常は平安時代末期から鎌倉時代初期にかけての武将


吾妻鏡 第十七巻より

建仁三年(1203)六月 源頼家は富士の裾野で狩りをおこなった

家臣の仁田四郎忠常に剣を与え人穴探索を命じた。

忠常は家来5人と人穴に入るが、この穴は狭くて振り返ることも出来ず

仕方なく前へ進んでいきます。又、真っ暗なので不安でなりません

松明を灯すと蝙蝠が顔の前を飛び交い、その数は幾千万とも知れず

その先に大きな川が流れていて、渡ろうにも手段がなく途方にくれる。

その時、突然光が当たってきて、川の向うに怪奇を見ると

たちまち家来4名が急死した。しかし忠常は霊からの訓えにより

主君から授かった剣を川に投げ入れてこの難をまぬがれ

そして翌日になって忠常は、ようやく人穴から出ることが出来た。

土地の古老によると 「この穴は浅間大菩薩が住み給う場所であり

昔からあえてそこを見に行く所ではありません

とても恐れ多いことです。」 と云うことであった。