氷月神示 他の暗号解読編 370

国之常立神より皆様へ

翠さん(=イブ=ミロク)の前世の語りの続き

翠：
私は親友のテーマッセが、弟子達の集まりに2度続けて出なかった時点で、探し回った
(1度目に休んだ後は、彼は仲間達に、ちょっと具合が悪かったと言っていた、)
作業場にもいない、そばの林にも、いない…町に出かけたのでなければ、残るは川ベリのあたりかと思えた
いろいろ考えたが、幅2mぐらいの浅瀬地帯が浮かんだ
そこの周りには岩場があるが、後ろの土手を上がれば休憩場所にもなり、かつて2人で瞑想したことが幾度かあった…
あのまじめなテーマッセが集まりを休むことなど、考えられない…
しばらく歩いて土手にたどり着くと、案の定、彼はいたが、川原に腰かけて静かに水面を見ていた
私が土手から降りると、彼は気づいて振り向いた
「メッテッヤ…」
彼はぼんやりした顔でつぶやいた
「テーマッセ、…今日はどうしたんだ、また具合でも悪いのかい」
と私は聞いた
テーマッセは、何か言いたげに見つめ上げたが、くちびるをかみしめて、うつむいた
…私は少し近づきながら、
「…何か、困ったことがあるなら、お釈迦様に話してみるかい？
それとも、僕でもよければ、…聞くよ、」
と言った
すると彼はまた川面を向き、両ひざを抱えて黙りこくり、座った
私は左そばへ行くと、さらさら流れる浅瀬を見て、
「…川は静かだね、」と言った
とたんにテーマッセは立ち上がり、私の両肩をむんずとつかむと、水面へ左横向きになぎ倒した
共に、自分もザバンと、倒れ込んだ
「メッテッヤ！一緒にしんでくれ！！」
「わ！何を (する)…」
私は半分まで言いかけて、のどに水が入った
なかなか起き上がれなかったが抵抗し、ようやくのことで浅瀬に両手をついてひざまずいた
テーマッセも、同じ状態だった
「いきなり、なんだ！！ 第一、こんな浅瀬でしねるか！！」
私は、叫んだ
水深、20cmにも満たない
両者ずぶ濡れのまま立ち上がって川原へ上がると、言い合いになった
テーマッセは顔色を変え、こう言った
「君を…、女みたいに想うんだ、どうしても、やめられない、苦しいんだ、」
私は驚いた
かつて同じようなことを従兄のコーンドラーントが言ったが、あれは冗談めかしていた、しかし今度はーー、テーマッセの目の色は、本気だった
しかも、苦渋に満ちていた
「もう、修行ができない、没頭できないんだ、」
と彼は言うと、「まあ、落ち着こう」と言う私ともみ合いになり、勢いで私は後ろに倒れて砂利で頭を打ち、テーマッセに首を○められた
意識がもうろうとなり、テーマッセが頭を垂れ、私のえりもとをつかんで
「許してくれ、メッテッヤ」というのが、聞こえた
それから、私は気を失った
後から聞くと、その時お釈迦様に命じられてクーメルンが私達を探しに来、土手の上から私達を発見したとのことだった
クーメルンが上からのぞき込んで、「おい、何をしてる」と声をかけると、倒れた私を見ていたテーマッセが顔を上げ、青ざめて立ち上がり、川沿いに右の川下へ逃げ去ったそうだった
クーメルンは私を正気づかせようとほおをぺたぺたたたき、ようやく私は目を開けると、テーマッセが心配で、(争いの原因は言わなかった、) クーメルンと川下へ走った
そちらには深い森があり、私達は大きな木の所で、彼を発見した
…テーマッセは太いツルを使い、木の枝に結んでしのうとしたのだ…
幸い発見が早かったため、急いで2人で彼を木から下ろし、寝かせて、クーメルンはお釈迦様を呼びに走った
私は寝ている彼を見て、涙が出てしょうがなかった
どうしてもっと、早く気づけなかったのか、どうしてなんとかできなかったのか…
お釈迦様は上手に彼を治して下さった
小屋で長く寝かされ、彼は手当てを受けた
お陰で1ヶ月たって普通に動けるようになった
その間、彼の事は内密にされた
首に傷跡が残ってしまったので、布で隠し、彼はまもなくお釈迦様から、遠い町へ行って修行するように言われた
理由は、明快だ
…私は1度も彼を見舞わなかった
お釈迦様から面会を禁じられたのだ
お釈迦様からは、双方に互いの様子が知らされ、互いの思っていること (謝罪や赦しなどの気持ち)
が伝えられた
1度だけ遠くから彼の姿が見えたが、それだけだった
彼が去って、私は悲しかったが、これもそれぞれにとっての修行の内、とあきらめた

(今世で神様に聞いたところ、テーマッセはあれからよその町に生涯留まり、長年かけて修行して、立派な高僧になったとのことだった)