気まぐれ徒然なるままに

気まぐれ創作ストーリー、日記、イラスト

beautiful world 15

2021-11-24 22:22:00 | ストーリー
beautiful world 15




今日の予定は昼までは柔道の稽古
稽古が終わり飯を食ってから一旦風呂に入るために帰宅して
それから家電屋に行く予定を立てていた

なのに今…
 【奈生ちゃんが僕のウチでシャワーを浴びている】

まさか今日こんな急展開が起きるとは全く予想もしていなかった

この状況に
心の動揺が激しい

「あ…!」

“アレ”が無い!

もう何年も使う機会がなかったんだ
当然持ってるはずがない

まさか今日 突然必要になるとは

彼女がシャワーを浴びている間に買って帰らないと

僕は一番近いドラッグストアに急いで向かった



―― 奈生ちゃんの純粋で無邪気な笑顔が脳裏に浮かぶ


性急すぎた?
それとも君は不本意なのに
僕が強引に合意させてしまったとか?
もう一度 君の意思を確認するべきなのか?

あぁ 今日の僕はずっと走ってるな…


ーーー


部屋の鍵を開けると静かだった
もうシャワーの音はしていない…

もしかしてもう出てるのか...?


紙袋を取り出した
まずはこれを隠さないと…

「どこに行ってたんですか?」
彼女が写真の部屋から突然出てきて驚いた

大きくてダボついた僕のTシャツにジャージの裾を巻き上げている

着てるのは普段僕が着てる服だけど
奈生ちゃんが着るとなんかちょっと…

エロい…


直視できないまま然り気無く紙袋をジーンズの後ろポケットにねじこんだ
飲み物を買ってきたとスポーツドリンクが入った袋を見せた

「急いで買ってきたんですか?(笑) 汗、凄いですよ?(笑)」

「も、もう一回汗流す、よ、」

着替えを取りに寝室に入り
ポケットにねじこんだ紙袋から少しへこんだ箱を取り出して中を開けた

これを使う時が来たのか…

枕の下に入れた


ドクドクと心臓がうるさい!
これは大会の試合前なんかよりずっと緊張してる

なんでもない平常なフリをして着替えを持ち寝室を出た
「ほんと今日は暑いなぁ…(笑)」

脱衣所のドアを閉めた


落ちつけ心臓!

初めての体験になる彼女を
何年もご無沙汰のこの僕が…

不安もあるけれど
彼女を想う気持ちは

今日のあの男との出来事で
より強くなった



ーーー


ドキドキがずっと止まらない
また顔が熱くなってきた

長年憧れていた大好きな人にこんなみっともない身体を全部晒してしまうと思うと

羞恥心と恐怖と緊張で逃げ出したくなってきた

いいなんて返事するんじゃなかったかもしれない


先生がシャワーから出てきたら直ぐなの?
普通、なにか暗黙のルールとか合図みたいな事とかあるの?

私は何をすればいいの!?

全くわからない…
こんなこと25にもなって今更友達にも聞けないよっ!


「ぅん~~っっ!!」
スマホを握りしめた

「なんだ!? どうした!」
驚いた表情で先生が立っていた

「検索… 」する間がなかった…

「検索?」

こういう時なにしたらいいのかなって、何も検索できなかったことを話すと先生は愉快そうに笑った

笑ってくれて逆に緊張がほぐれた…(苦笑)


「いろいろ考えてくれたのか(笑) 実は僕も考えてたけど…もう考えないことにする。」


先生…

「だから今度は恐がらないで。」

「え?」

フッと抱き上げられた
でも今度は何故か恐くない…

「先生…?」

「“陽太”(笑)」

「陽…太さん」
初めて先生の名前を口にした…

「僕も奈生って呼んで良い?」



寝室のベッドに降ろされた
…ドクン ドクンと鼓動を感じる

「恐くてやめたいなら今しかない。本当に良い?」

大好きな人の優しい微笑みが
私の不安が消していく…

「うん… 」



ーーー


彼女は眠ってる

時計を見ると夜の7時
晩飯を作ってから起こしてあげよう

冷蔵庫から抵当な野菜と玉子を出した


奈生の全てが無性に可愛いくて…
「ふぅ…」

僕は元々淡白で性欲は強くない方だとずっと思っていた

でも…

腹は減ってないと思っていたのに一口食った瞬間
本当はめちゃくちゃ空腹だったことに気づいたような

そんな感じに似ている



――もっと抱きたい

でも初めて経験する彼女に無茶はできないと思っていたからな

このままずっと僕の腕の中にいて欲しいとか
僕だけを見て、求めて欲しいとか


彼女を抱いている内にそんな欲が湧いてきた

こんな独占欲は
舞の時には無かった感情だ



職場のあの葉山という男の顔がチラついた

あの男は間違いなく奈生のことが好きだ

そういう目をしていた――


―――


晩飯を作り終え寝室に入ると
君はまだ眠っていた

「そろそろ起きない?腹減ってない?」
声をかけると奈生はモソモソと布団の中で動いた

「もう7時半だ(笑) 晩飯食お?」

「う…ん」
身体を起こした彼女の
白く柔らかな胸の膨らみが見えた

さっきまで見ていたのに
つい目を逸らしTシャツを渡した

不完全燃焼だからかまた身体が反応しそうになる

「腹、減っただろう?適当に作ったよ。」

「ふふっ(笑) 先生の手料理が食べられるなんて…贅沢(笑)」

まだ寝起きでぼんやりした奈生の微笑みが色っぽい女に見えた

あぁ… 
やっぱりまだ足りない――

「僕は奈生の先生じゃない...」

彼女にキスをし
また抱いた――


―――


「ごめん!本当にごめんっ!!」

「そんな、大丈夫でしたから(笑)」

――時間はもう午後10時を回っていた

「叱られた…?」

「そんな(笑) 私子供じゃないんですよ?それに明日も休みだし大丈夫です。そんな心配そうな顔しないでください(笑)」

彼女は家に電話して
友達の家に泊まるとご両親に嘘をついた

いや、一緒にいたいと言う僕のわがままで嘘をつかせてしまったのだ


「嘘をつかせてごめん。本当に良かったのかな。」

「泊まっちゃ駄目なんですか?」

「違うよ、そうじゃなくて、凄く嬉しいんだ!」

彼女はクスクスと笑った
「うん。私も嬉しい…(笑)」

やっぱり可愛い…
抱きしめるとギュッと抱きしめ返してくる

「なぁ奈生。一緒に風呂入らない?」

「それは流石にちょっと…(苦笑)」
困った表情でうつむいた

「どうして?恥ずかしい?」

「うん。」

「もう全部見てるのに。」

「そういうこと言うのやめてくださいっ」
叩かれたのに全然痛くない(苦笑)

「あははははっ(笑)」

イチャイチャするって
こんな感じだったことを思い出した


――僕は今 最高に幸せだ

「ずっとこうしてくっついていたい。」
奈生を抱きしめた

「陽太さんはそういう人だったんですね(笑)」

「そういう人?」

「甘えん坊さん(笑)」

「あははは(笑) それは僕も知らなかった(笑) 幻滅した?」   

「可愛いです(笑)」

「可愛い?(苦笑)」

「ふふふっ(笑)」


ーー こういう時間がずっと続けば良いなと思っていた






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