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色々レビュー

映画、ドラマ、小説、マンガなど色々なものの感想置き場です。基本マイナー好き。

『風林火山』第33話『勘助捕らわる』

2007-09-06 | 風林火山
 第33話『勘助捕らわる』感想。宇佐美にも景虎にもとっくに素性がばれていた勘助。実は他国に『隻眼の猛将』として名前が知られていたらしい。そうだったのか。武田の中では、他の家臣から受け入れられているもののあんまり尊敬されてはいないようだったので、そんなふうに他国から注目されていたなんて驚いた。でもちょっと嬉しい(笑)。いや、そのせいで勘助命の危機ですが。

 景虎が勘助をやたらと宇佐美との会談に連れて行くなあと思ったら、ちゃんと思惑があった。武田が越後に探りを入れてきているのを宇佐美に知らせる為だった。景虎もかなり策士だなあ。そしてその意図を汲み取る宇佐美も。
 中立を守ってきた宇佐美がついに景虎側に付くことに。宇佐美はどんな人なんだろう。穏やかで信心深く、人を否定せず受け入れる余裕のある人、というのは分かる。でもこの人が何を目指しているのかはまだ分からない。景虎や晴信、板垣は守るべきものがすごくはっきりしていたけど、宇佐美はまだこれからだな。
 
 長尾政景との対立で合戦の一つくらいあるのかと思ったら、宇佐美は交渉だけで相手を降伏させてしまった。これは勘助の大好きな「戦わずして勝つ」と同じ。勘助と宇佐美の調略対決なんてこの先あるのかな。楽しみだ。
 景虎側が勝っても、やはり姉の桃は人質に出さなければいけないらしい。桃はもう登場しないんだろうか。人には「欲を捨てよ!」と厳しい景虎が、姉にはあまり強く出られないのがかわいかった(笑)。

 さて、勘助は牢に入れられて元々小汚いのが更にもっさもさに。景虎が寝返るよう勧めても聞く耳持たず。景虎の信心深さに反して「神仏に助けられた事など一度も無い」と言い放つ。確かに、神仏に祈って『異形』の苦労や孤独がなくなるわけでもない。景虎が捨てろ捨てろと言っている人間の醜さ、弱さ、儚さにこそ救われてきた。と、景虎の怒りそうなことばかり並べる勘助。この対決は見ごたえがあった。どちらが正しい間違っているというわけでもなく、ただあまりにも考えが違いすぎる。

 勘助の処刑寸前に鉄砲百丁が到着。晴信が根来寺に新たに発注していたらしい。晴信ったら、あんまり心配してなさそうだったのに、ちゃんと手は打っていたんだなあ。ここでエピソードは一区切り。景虎VS勘助は面白かったです。

『風林火山』第32話『越後潜入』

2007-09-04 | 風林火山
 第32話『越後潜入』感想。景虎がいっぱい出ています。まずは『風林火山』の書を火縄銃で狙い撃ち!すごい腕前だ。この時一応伝兵衛が火縄銃の扱い方をレクチャーしているから、ほんとに火縄銃に詳しくなったんだな伝兵衛。それによると「構えてから長い時間狙いをつけるのは無作法」らしい。確かに火縄銃って重いらしいから、長く構えているだけでどんどん狙いが定まらなくなるし腕もおかしくなるだろうな。
 
 景虎はいきなり鉄砲百丁を注文し、それが届くまで勘助は人質に。普通の商人にこんな無茶は言わないだろうから、勘助の正体を見抜いていたんだろう。そして勘助は景虎と共に、長尾家に従わず中立を保つ宇佐美定満と対面。
 宇佐美役の緒形拳は、オープニングで千葉真一に代わって最後に出てきます。さすがの存在感。そしていい声してるなあ!千葉真一の重厚な声とは違って、どこまでも穏やかで耳障りがいい。ガクトの声とも対照的。
 景虎と宇佐美の会話が面白かった。相変わらず欲を捨てるべきと言い張る景虎を、宇佐美は「欲を嫌うのもまた欲にとらわれた考え方」とあくまで仏教に沿った意見で諭す。おおー、さすが年の功。景虎は潔癖すぎる。ただ、それが適度ならすごくいいと思う。神仏を尊重するのも自分を抑制するのにはいいし、欲を捨てる=必要以上に欲張らないという考えも謙虚と言える。極端な景虎を宇佐美が上手くフォローできたら最強コンビになるだろうな。

 勘助が越後で四苦八苦している間に、武田軍は有名な『砥石崩れ』という敗北を喫してしまう。晴信はもう力押しに頼る事もなくなったけど、目の前の好機をみすみすのがすことが出来ずに焦ってしまった。勘助の忠告を聞いて我慢していればなんとかなったのに。晴信もまだ若いなあ。
 しかし『砥石崩れ』の陰の立役者が平蔵だったとは!今まで勘助の兵法を間近で経験していたのがこんなところで役に立つなんて。意外と厄介な存在になってきてしまったぞ平蔵。鬼美濃が撃たれたけど、死んではいないようで良かった。足を撃たれて部下に引き摺られて退却する様はやっぱりちょっとコメディー(笑)。

 勘助の正体はもう景虎にはバレているだろうなと思ったけど、宇佐美からいきなり「山本勘助殿」とズバリ言われてしまったのは怖かった!この人……!侮れないのは景虎じゃなくて宇佐美だったー!

『風林火山』第31話『裏切りの城』

2007-08-30 | 風林火山
 第31話『裏切りの城』感想。なんともドロドロしそうな題名です。でも勘助の得意技が『謀略』なので、毎度いくさであちこち裏切りがあって当然なんですけどね。今回クローズアップされているのが真田。村上の砥石城を落とせば悲願である真田の領地回復が叶うので、一刻も早く攻め落としたくて焦っています。しかしそういう時に限って勘助が「急いてはなりませぬ」と忠告。そんな…不吉なフラグ立てないでくれ(泣)。

 真田の有能な忍び、葉月が真田の家臣に村上と通じている裏切り者がいることを告げる。それを利用して村上を内部から崩そうという作戦。勘助の忠告が引っかかるけど、好機を逃すのは惜しい。ここで真田は動いてしまった。駄目だよ~、主人公の言うことは聞いておかなきゃ。

 勘助は越後へ潜入する前に自分の屋敷で一休み。自分の屋敷と言っても、忙しくて飛び回っている勘助に代わって太吉の家族達が占領中。小さかった子供達が成長して、男の子達は槍の稽古に励み、女の子達は家事のお手伝い。ほのぼのするなあ。勘助には家庭が無いから、太吉の家族を見てかなり癒されているんじゃないだろうか。太吉が何の躊躇いもなく勘助の下についていてくれるのが、とてもほっとする。

 小山田殿の側室となった美留姫には男の子が生まれており、今回ではすでに3、4歳くらいに成長している。その子の顔を見て小山田殿は愕然。以前の演出で、美留姫は武田に捕らわれた時すでに前夫の子を妊娠しているような描写があったので、子供を産むためにすんなり側室になったんだろうなあと予想はできていた。けど、子供の顔見てそこまで分かるかなあ。それともダンカン(前夫)に激似だったんだろうか。

 一方真田は家臣達を一堂に集め、裏切り者を更に欺く演技。この演技にはドキドキした~。迫真の演技と分かっていながらも、剣が交差した時は息を止めてしまった。もう真田ったら、佐々木蔵之助ったらすごいよ。村上側は寝返った家臣の話を信じるけど、そんな中騙されないのが平蔵。そういえば元は真田の配下だった。その時は馬番だったのに、今は村上の下で小ぎれいな格好してます。ヒサとも夫婦になり、今はヒサのほうが妻として平蔵に仕えているんだけど、なんかなあ。平蔵には下僕でいて欲しいなあ(笑)。ずっと「ヒサさま」って言っててほしい。

 真田の謀略が功を奏して、村上側に大ダメージ。ヒサの父、矢崎が戦死してしまう。そして平蔵は真田と武田を更に恨む事に。もう平蔵は徹底的に勘助の反対側へまわるしかないのか。こういう描写を見ると、戦には個人の悪意など無く、みんな何かのために戦うだけなのに、恨みばかりが増えていくのがよく分かる。誰でもやられたらやり返したい。誰かがやられっぱなしで我慢しないと戦は終わらない。でもみんなその『誰か』になんかなりたくないだろうなあ。難しいわ。

 こうして武田は砥石城を落とす目処が立った。真田の作戦が成功して良かった~。私が今回一番していたのが『相木が裏切らないか』ということ。なんかもう相木って、忠義や友情もあるにはあるんだけど、目的の為にはすごく合理的に動ける人のような気がして、家のためにいつ裏切ってもおかしくない。真田は相木を信用しているから、なおさらそれが怖くてもうヒヤヒヤした~!とりあえず今は大丈夫みたい。これからも頼むよ相木。

 最後に勘助。越後の景虎と対面して、さっそく服や髪が小汚いと文句をつけられています。勘助の浪人スタイルは小汚いのが基本だからしょうがない(笑)。そして人質に。このむさ苦しいのが人質でいいんですか景虎(笑)。

『風林火山』第30話『天下への道』

2007-08-25 | 風林火山
 第30話『天下への道』感想。予告で色々な人が『長尾景虎』の名前を連呼していただけあって、景虎のセリフがたくさんありました。景虎の喋り方も、初期の晴信と同じような感じで、ちょっと大仰にしてあるのかな。晴信は声を張り上げていたけど、景虎は力を入れて吐き出すような感じです。髪型は一人だけ髪を流していてかなり異色だけど、もし普通に結っていたらガクトの顔に全然似合わないので、これでOK。かえって晴信との対比がでていいんじゃないだろうか。

 越後はまだ領内の勢力が統一されておらず、他国に関わる余裕は無い様子。長尾家の跡目争いは、景虎が争いを避けて調停に持ち込んだため、無事解決。お兄さんは景虎と比べて地味だなあ(笑)。派手な外見の弟を持って大変だったでしょう。
 景虎の姉、を演じるのは西田尚美。嬉しいなあ。私は西田尚美が好きです。声が上品だし、顔もすっきりしている。昔のドラマの役のイメージで、どうしても泣き顔が似合うイメージを持ってしまいます。景虎は、桃にはあまり強く出られないっぽいな。

 最初の景虎のイメージ『潔癖』だったけど、今回ますますそのイメージが強まりました。他国を攻めるのは欲張りだから駄目。家臣の直江が自分の娘を側室にと差し出したら「何故欲を捨てぬのか!」と怒り出す。うわあ、なんて堅物。その娘には経文を渡して帰しました。これでも読んで欲を捨てよということらしい。景虎の行動理念が分かった。誰も彼も欲を捨てて仙人みたいになれ、ってことか。しかしこの戦国時代にそれはちょっと難しいんじゃないか~?

 村上側では平蔵がいつの間にかただの下っ端から近習にのし上がっていました。あれ、そんなに弓がすごかったっけ?平蔵と言えば、海ノ口城で勘助にくっついてまわっていたイメージが強いので、全然戦において有能なイメージは持てないなあ。というより『下っ端』のイメージが(笑)。
 またしても矢崎の娘ヒサが望まぬ結婚を強いられそうな危機。しかも平蔵は、相手の地位を考えればこれは良縁とか言ってるし。もう以前それで酷い目にあったんだから、二度目は自分で止めないと駄目じゃないか!ほんと思い切りが良くないんだから、平蔵は!しかしそれを止めたのは意外にも父親の矢崎だった。今度こそ地位にこだわらずヒサの望む結婚をさせようと、平蔵に頭を下げて娶ってくれと頼み込む。お父さん…!ごめん、私は矢崎が武田に付いてくれれば、平蔵も勘助側に来てくれるのに、頭固いんだから~、とか思ってました!ごめん、お父さんは漢だった!

 勘助はこれからの戦には火縄銃『種子島』が必須と考え、伝兵衛を連れて鉄砲を仕入れに。そして伝兵衛が火縄銃の扱い方を伝授される事に。おおお、この先スナイパー伝兵衛が見られるのか!伝兵衛!私はずっと前から密かに伝兵衛を応援しています。スナイパーになってもならなくてもいいから、最後までいてほしいなあ。
 そして勘助は鉄砲商人に化けて越後潜入を画策。勘助はほんとスパイ行為好きだな(笑)。というわけで景虎VS勘助に期待!たぶん勘助は景虎にとってめちゃくちゃ嫌いなタイプだと思うんだ…。

『風林火山』第29話『逆襲!武田軍』

2007-08-19 | 風林火山
 暑さにへろへろしながら書きます。第29話『逆襲!武田軍』感想。板垣と甘利を失って愕然とする晴信。判断力も失い、陣を退かずに憔悴状態。顔がどす黒くなってます。大井夫人からの手紙でやっと甲斐へ。この時の大井夫人の言葉は心に沁みるなあ。板垣がいなくなって、もう晴信を諌められる人は誰も残っていないんじゃないかと心配したけど、まだ大井夫人がいた。この人は政治的な考え方はできないけど、感情的にならずにシンプルな考え方ができるから頼りになる。

 前回の戦ではお屋形さまの傍に控えるしかなかった勘助が、今回の小笠原との戦では軍師の本領発揮。敵を暑さで油断させて一気に奇襲!久しぶりにスカッとした!そしてここで重要な役割を果たしたのが、板垣が晴信に書いてもらった『諏訪明神の神号』。これを軍旗にすることで諏訪の信頼を得る事ができた。武田が前回敗戦したにもかかわらず諏訪衆の人心を捉えられたのは、力押しの強さが原因ではない。板垣は晴信に『人の心を動かす』ということを伝えることが出来たのだと思う。

 小笠原長時が出てくるだけで、笑いがこみ上げてきてしまうのはどうしよう(笑)。視聴者はみんな「消臭プラグめ…」と思ってしまうに違いない。この『小物感』をここまで出せる人はそうそういませんよ。武田にとってはうっとおしい存在だけど、もし退場したら淋しくなってしまうわ消臭プラグ。

 そういえば赤ん坊だった四郎がもう走れるくらい大きくなっていた。勘助は「ジジ~!」と四郎に駆け寄ってこられてやっぱりメロメロ。もう四郎一筋ノンストップ(笑)。大人が初見で眉を顰めてしまうような勘助の異形ぶりも、四郎にとっては最初からこうだから、何の違和感もないんだろうなあ。これは勘助も四郎がかわいいはずだ。

 見事小笠原軍に勝ち、諏訪明神の神号の前で晴信が亡き板垣に誓う。「人は城、人は石垣…」ここでこの有名な歌が出るのか。城を築いては敵に怯えを悟られるという板垣の諫言が、こういう場面で効いてくるとは。晴信を諌められる板垣がいなくなって、武田はどうなってしまうんだろうと不安だったけど、生涯城を築かぬと誓う晴信を見て、きっと大丈夫だろうと思った。これから迷ったり弱ったりした時、板垣がいなくても板垣への誓いはその度に思い出されるだろう。

 トンボ(かげろう?)が晴信を視界を横切り、そこに板垣の幻影が。あっ、この演出のために板垣は最近トンボ柄の着物を着てたのか!晴信の歌を褒め、最後に「若」と呼んでくれる板垣に晴信が手を伸ばすと、さっと扇子を握らせて後ずさる。この時の板垣の笑顔に涙が出た。なんでそうニカッと笑うの。しかも笑ってくれるのに触れさせてくれないって切な過ぎる。
 「何故死んだ」と繰り返して号泣する晴信。板垣の死は忠臣として本望以外のなにものでもなく、板垣自身も「武士の誉れ」と満足している。晴信も主君として板垣を褒めるべきなんだろう。それでも、どれだけ名誉の死であっても、残された者はただ「何故」と泣くことしかできない。どんな死にも納得なんてできないのだろうと思った。

『風林火山』第28話『両雄死す』

2007-08-04 | 風林火山
 第28話『両雄死す』感想。あー、ついにこの回が来てしまった。大きすぎる転機だなあ。板垣が晴信に『諏訪明神の神号』というものを書いてもらうシーン。私はこの神号というものがどういうものかよく知らず、書いてもらうことの重要性もこの時は分かっていなかった。ただお屋形さまは書が上手いんだなあと(笑)。
 神号を手にして「これでこの戦はお屋形さまの勝利」と言う板垣と、それに満足げに笑う晴信。特に演出はされていなかったけど、なぜかこのシーンでふと思った。板垣は晴信がかわいいんだなあと。晴信がどれだけ大人になっても、しっかり一人でやっていけるようになっても、板垣はやっぱり晴信のために何でもやってあげたいんだろうなあ。勘助が四郎限定で視界が狭くなるのを笑えないくらい、板垣もそうなんだなあ。このシーンで、こんなことを理解してしまった。

 甘利が敵の陣中に入り込んで機会を窺う時はやっぱり緊張した。そう上手くはいかないと思ったけど、平蔵に邪魔されるとは!平蔵、普段そんなに優秀じゃないのに!というかヘタレなはずなのに!(笑)暗殺失敗したけど、この時点では殺されず、器量の大きい村上に生かされることに。村上はすごいな。
 武田陣では甘利が裏切ったと知らせが入り、晴信が大激怒!顔の動きがすごかったー!背景に火山爆発の幻が見えそうだった。勘助がフォローしてくれたから良かったものの、勘助が気づかなかったら濡れ衣で甘利一族皆殺しにされてたのか…恐ろしい。

 板垣の陣では敵を引きつけるため伝兵衛を晴信の影武者に仕立てることに。まさか伝兵衛にこんな危険で重要な任務がくるとは。ちょっと…板垣が死ぬのはもう心の準備できてるけど、伝兵衛が死ぬのは嫌ー!全然心の準備してないよ!すんごい慌ててしまった。

 とうとう板垣が敵に囲まれ、最期の殺陣。さすがに動きが凝っていました。突っ込んできた敵の腕を取ってそれで他の攻撃を防いだり。でもやっぱり数で囲まれれば長くはもたず、矢を何本も受けながら絶命。お屋形さまの「板垣ーー!!」という叫びに、私も完全にシンクロしました。あああ板垣~。満身創痍で倒れる板垣とは対照的に、背景の青空が見事にスカッと晴れていて、なんだか皮肉に感じた。こんな青空の下で人間達は血みどろになって戦ってバタバタ死んでいるんだな。
 晴信の力攻めに頼ってしまう弱さがなかったら、甘利と板垣は死ななかったかもしれない。けどそれは無理だろう。晴信は別に心変わりしたわけでもなく、愚かになったわけでもなく、ただ上に立つが故に負けてはいけないと自分を追い詰めただけだった。これは防げるものではないと思う。だからそれを正した甘利と板垣は無駄死にではないと思いたい。

『風林火山』第27話『最強の敵』

2007-07-23 | 風林火山
 第27話『最強の敵』感想。晴信が、髭も生やして声も重低音になって、なんだか晴信というより『信玄』に見える…。すごい存在感。あの扇子をパチンと閉じる動きが、信虎のクルミがりがりやるのとそっくりだ。
 軍略会議で勘助は献策をせずに「敵を見定めるべき」と諫言する。晴信は当然激怒!勘助、思い切ったなあ。戦での敗北を知り、晴信が成長することを期待しているわけだが、これに甘利が猛反発。勘助が大事なものを持たないから無責任な事が言えると非難する。甘利の意見にはすごく共感できた。負けを知るのも大事と言っても、戦死者達には大迷惑。戦は勉強じゃないしキャリアアップの場でもない。
 しかし甘利はただ勘助を非難しただけではなかった。板垣と同じく何かを勘助に残そうとするように、勘助の肩に手を置いて真剣に語る様子に感動した。息を詰めて見入ってしまった。ごめん甘利!板垣ばっかりに気を取られて甘利の死亡フラグはそんなに気にしていなかった…!

 平蔵が村上領内に戻るところを捕らえ、それを使って甘利が謀略を企てる。あんなに勘助の謀略を嫌っていた人が…。見ているこちらは今までのことがあるから、甘利が裏切るのは有り得ないと分かりきっているけど、村上は信じてしまうんだなあ。
 板垣の晴信への語りかけにジーンとした。ここで「若…」って言うのは反則だ!泣けるよ!そういえば晴信は最初からお屋形さまじゃなくて、板垣にとっては『若』だった。懐かしい。お屋形さまになったばかりの晴信は、信長や秀吉にはない安定感があったなあ。しかしそれは恐れを知らない未熟さからくる自信だったのか。

『風林火山』第26話『苦い勝利』

2007-07-18 | 風林火山
 第26話『苦い勝利』感想。信濃の佐久の反乱を治めるために、晴信はまた力攻めを強行。以前の晴信は、勘助が言う「戦わずして勝つ」という戦法を重用していたのに、今はもう力攻めこそ強い証、強いことは良いことだー!といった方向に行ってます。板垣や甘利が言うように、その思想は信虎そっくり。大体喋り方まで信虎に似てきています。すっごい重低音で「いたがきぃぃ~~」とか、妙にゆっくり喋ったり。昔の晴信と比べると声のトーンの落差がすごい。この落差を計算して、若い頃の演技は声を張り上げるようにしていたんだろうか、市川亀治郎。

 相木殿の間者ぶりに感心する。この人別に何の威厳もなく地味な顔立ちなのに、しらーっと人を騙すところが何とも食えない感じで頼もしい。演技してる近藤芳正の技量もすごいと思う。

 勘助や板垣の意見も取り入れず、自分の考えのみで戦を進める晴信。別に極悪非道になったわけではないと思う。ただ国主としてしっかりしなければ、強くなければいけない。その結果が力攻めになってしまう。勘助たちの意見を聞けないのは、晴信が「自分が正しい」と思っているから。あの父を反面教師にしている自分は正しいはずだ、と思ってしまうのではないだろうか。もし信虎が名君だったら、晴信は父を超えようともっと慎重になっていたのかもしれない。

 志賀城が落ち、懐かしい顔と再会。なんと海ノ口城ではまだ子供だった美留姫が、笠原の正室となっていた。子供の時も目がくりっとしてかわいかったけど、大人になった美留姫も目が大きくて明らかに美人といえる。それゆえに小山田殿にロックオンされてしまったー!今回の小山田殿ったら高笑いして惚れ惚れするような悪役ぶりでしたわ(笑)。

 そういえばガクト長尾景虎も出てきたんだった。今回のを見て景虎のキャラが何となく分かってきた。潔癖というか俗世からかなり離れているなあ。国とか家臣とかあまり大事ではなく、信仰深いせいか戦や争いは不浄なものと考えてしまう様子。晴信が武田や甲斐を必死に守ろうとしているのと対照的に、この人はだいぶ彼岸に行っているような感じ。晴信と景虎って対面するのかな。すごく見てみたい。きっと会話が合わなさ過ぎるに違いない。

『風林火山』第25話『非情の掟』

2007-07-15 | 風林火山
 第25話『非情の掟』感想。赤ん坊だった寅王丸がもうちっちゃい子供に成長していました。しかし勘助の画策で駿河へ追いやられる事に。子供が泣くシーンはホントに辛いわ。胸が痛む。ちょっと勘助を恨みたい。

 諏訪の安泰のために由布姫に子供を産ませたはずなのに、いざ生まれると武田の家督争いの火種になりつつある。こうなることは予測されなかったんだろうか。三条夫人の進言に、お屋形さまの雷がズガーンと落ちる。「誰に家督を譲るかはわしの胸三寸じゃ!」お屋形さまったら!三条夫人も権力や地位が欲しいわけでもなく、ただ正室としての責任を果たしているだけなのに。
 このシーンを見てふと思ったのは、『大奥』の徳川家康。戦以外の無用な争いをなくすために、家督は絶対長子相続と決めたのは、実はすごい英断だったのでは。長子が世継ぎの器であるかどうかは賭けになってしまうデメリットはあるけど、何の罪の無い子供に醜い争いをさせなくていいのは素晴らしい。今回の武田の争いを見て、ほんとにそう実感した。

 勘助が早々に親馬鹿モード全開。自分は醜くあるけど、四郎は何の汚れもなく美しく見えてしょうがない。天下を取らせたい。何でもしてやりたい。これはね、もう勘助がこうなってしまうのは仕方ないんじゃないだろうか。赤ん坊にはそうさせる力がある。勘助が国を持たないとか、大事なものを失ったとか、そういう孤独な過去があろうとなかろうと、そんなのまったく関係なく、赤ん坊は大人の愛情を強烈に引きつける力がある、と私は思ってます。経験から(笑)。勘助が四郎にメロメロになっても何の不思議もないな。

 後の歴史にも残る『甲州法度』を晴信の昔からの側近駒井が制作。しかも背いた者はたとえ晴信であっても罰するという斬新なものだった。最近怒りっぽいお屋形さま相手に駒井はよくやった!駒井の「強さも弱さもなくしてほしくない」という台詞に、板垣以外にも晴信を理解している側近がちゃんといるんだと分かってほっとした。もうそろそろ板垣が危なくなってきたから、こういう人は貴重だわ。勘助は今四郎に夢中だから当てになりません(笑)。

『風林火山』第24話『越後の龍』

2007-06-27 | 風林火山
 第24話『越後の龍』感想。題名にもあるように、武田の最大のライバル上杉謙信登場!でも登場ってほどでもなく、顔見せ程度。大河のキャスト発表の時から話題になっていたガクト上杉なので、ここらへんで顔見せておかないとね。登場シーンは短かったのでまだ演技がどうこうとは判断できず。ただやっぱり雰囲気はあると思う。最大のライバルに相応しいインパクトを持っているなあ。台詞少なかったけど、どうもこの長尾景虎って潔癖っぽいな。ここで思い出されるのが『功名が辻』の石田三成。あの人は正義を貫き通し、不義理を憎み、周りがそれについていけなかったために身を滅ぼしてしまった。祈祷のシーンで不浄なものがどうこうって言ってる景虎も、なんだか三成っぽい空気を感じるぞ~。これからの登場に期待!

 さて本編に戻って、勘助が撃たれてところから。バッタリ倒れて夢の中。由布姫が赤ん坊を抱いて「勘助の子ですよ」。おおい、うっかり願望が出てるよ勘助!まったく軍師なのに素直なんだから(笑)。真田幸隆に助けられ、なんだか豪快なお寺の和尚の荒療治のお陰で一命を取り留める勘助。忍芽は声が細いけど喋りが毅然としてていいなあ。今回は忍芽の凛とした演技が見ものだった。

 お屋形さまは髭を生やして声も低くなり、元から貫禄はあったけどそれが更に増した様子。国主として晴信の資質は充分だと思うんだけど、由布姫の「情けを重んじている」という指摘が気になったらしく、次の戦で情け無用の力攻めを実行。板垣は心配そう。国主には厳しさも必要だけど、わざわざ非情を心がけなくてもいいんじゃないかな。むしろ勘助が代わりに非情になればいいわけだし。『陰』を担う軍師の役割は序盤から言及されているから、いよいよこれから描かれるのだろうか。
 自信に満ちた晴信の慢心を危惧する板垣。ここ最近板垣に関してなんだか不穏な描写が多くて、もう怖くてしょうがない。じわじわと死亡フラグが…。前は板垣が出るたびに「あ~かっこいい」」としみじみしてたのに、最近は心配ばっかりです。
 
 今までのお屋形さまは、若いのに戦もまつりごとも立派にこなして、何より信虎を反面教師にして国や民を思いやる心を忘れずに国主を務めてきた。ここまで完璧だったお屋形さまに、ちょっと不完全な部分が出てきた気がする。でも当然のことかもしれない。『功名が辻』の信長や秀吉は、上へ登りつめるほどに不安定になっていき、最後は自滅していった。お屋形さまの人格者なところも好きなんだけど、苦悩してグラグラ揺れるところも見てみたい気がする。

 武田に仕えた真田を破格の待遇で迎えるお屋形さま。有能な人にはお金を惜しまず、すばやく人心掌握。これ勘助にもやってたな。真田さまがんばってください。真田と忍芽を見ているとなんだか応援したくなる。勘助よりもずっと(笑)。

 勘助は由布姫の子四郎を抱っこしてまた大感激。さーこれから大変だよ勘助が。すんごい親馬鹿になるに違いないよ。でも親ってみんなそうです(笑)。