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色々レビュー

映画、ドラマ、小説、マンガなど色々なものの感想置き場です。基本マイナー好き。

『風林火山』第42話『軍師と軍神』

2007-11-17 | 風林火山
 第42話『軍師と軍神』感想。由布姫が亡くなり、分かってはいたものの計り知れないショックを受ける勘助。生前の由布姫から、この戦が終わったら嫁を取りなさいと厳命されていたけど、とてもそんなことを考える余裕もなく晴信に手紙を残して傷心旅行。
 一方景虎は家臣の内輪もめが面倒な事に。前から思ってたけど、景虎は潔癖なのに家臣は宇佐美以外みんなわりと俗世にしっかり足をつけている。景虎と家臣の考えにも当然差が出てくるわけで、領地や家柄にこだわる家臣達に景虎はうんざり。手紙を残して家出。
 
 ここらへんの流れはあんまりにも面白かったのでサイトで四コマ描いてしまいました。おそらく史実とはちょっと離れたエピソードなんだろうけど、いいじゃないかこういうことがあったって。こんなところで個人的にVS状態になるなんて、私は嬉しかったなあ。というより可笑しくてしょうがなかった。
 勘助は景虎と話したかっただけなんだけど、景虎は勘助がこの時を狙ってきたのかと勘違いして戦闘突入!たしかに、こんな偶然があるなんて普通は考えないよなあ。勘助も一生懸命説明しようとするが、景虎は聞く耳持たずに刀をぶん回す!この人も結構直情的だよなあ(笑)。欲を抑えたりなどの節制はできるのに、思い込んだら一直線。そこがかわいいんですけどね(笑)。
 
 高野山のお坊さんに一喝されてなんとか矛を収める二人。そのお坊さんから、一方は自分を高く見すぎており、もう一方は自分を低く見すぎている、と指摘される。なるほど的確な捉え方だなあ。どちらも正しいとか悪いとか、お互いを好きとか嫌いとか、そういうことはまったく関係なくただ違いすぎる。方向性の違いかな。私はどっちの考え方も好き。

 景虎の家出は家臣が頭を下げて迎えに来たことで収まり、勘助も甲斐へ帰る。由布姫の遺言「山本家を絶やさないために嫁を取れ」は、リツを養女にすることでなんとか容赦してもらう事に。このくらいの時代の家督制度ってほんとに不思議。側室増やしてまで血筋にこだわるかと思えば、他家からの養子でOKな場合もある。遺伝子よりも家名の問題なのかなあ。晴信は勘助の妥協策を許していたけど、リツはどうなんだろう。だってあきらかに上意ではなく本心で勘助を慕っていたのに。養女の話の時には別に反対もせずにいつもの笑顔だったけど、本心が気になってしまう。

『風林火山』第41話『姫の死』

2007-11-14 | 風林火山
 第41話『姫の死』感想。以前の於琴姫騒動で由布姫が咳き込むシーンがあったけど、あの時は興奮のあまり咳き込んだのかと思っていた。それが最近になって病気と判って結構驚いた。前にも書いたとおり私はこの時代の史実をまったく知らないので、何となく由布姫が武田の跡目を巡って三条夫人と激しく対立するものと思い込んでいた。そうしたらまさかそうなる前に若くして病死するとは。でも争いがなくて良かったかも。儚い人生ではあったけど。
 
 姫さま命の勘助は由布姫の病状に愕然。そんな勘助に由布姫は「生まれ変わったら男に生まれたい」と語る。政を動かし、戦をしたい。やっぱりそうだったのか。由布姫は以前から政治や戦に関わりたいと思っている節があった。諏訪の姫や武田の側室どころか、女性という枠にすら収まっていたくなかったんだなあ。
 由布姫の遺言のような話を聞いていられず、「姫様は姫様のままでなければ、それがしが困りまする」と言う勘助。それに対して「そなたを困らせるのは私の癖なのです」と勘助を元気づけるように笑う由布姫。その勘助を困らせ続けた姫のかわいい我がままが、どれだけ勘助を癒したことか。
 晴信も余命幾許もない由布姫の望みを叶えてやろうと、なんと戦の選択を由布姫に任せる。おそらくそんなに重要事項ではないのだろうけど、由布姫を喜ばせるには充分。晴信優しいなあ。ちょっと見直した。

 他所との戦で忙しい時に長尾景虎の侵攻。予想外に早く『第二次川中島』が勃発し、200日も睨み合いが続く。さすがの勘助も和議に持ち込む他なかった。この仲立ちをした雪斎が、奇しくも由布姫と同じ回でバッタリ倒れてお亡くなりに。この時のナレーションにびっくり。こんなところに徳川家康がー!!全然知らなかった。小さい頃から織田や今川で人質になっていたのは知ってたけど、この時期に雪斎に酒を注いでるなんて思ってもいなかった。しかも雪斎に多大な影響を受けている様子。すごいな雪斎。

 由布姫の人生を振り返ってみると、なんだか淋しくなってくる。もう人間ではなく水鳥に生まれ変わりたいと言う気持ちにも頷いてしまう。戦や家の都合で人生を左右され、進む道を自分で選べないのは、この時代の地位ある家柄の女性なら当たり前なのかもしれない。それを受け入れ難かった由布姫は少しかわいそうだった。
 
 姫を演じた役者さんの柴本幸は、非常に良かったと思う。この人の他の演技を知らないし、他の人が演じた由布姫も知らないのでそのせいもあるかもしれないけど、私の中では彼女の由布姫が基本として残ったわけだ。
 初登場の時は、特別すごい美人というわけではないなあという印象だったけど、動き始めてからは好印象になった。少し低めで気の張ったような声は私の好みだったし、相手を睨みつける表情も良かった。結構あちこちで言われていた眉毛も、気の強さを表すのに役立っていたと思う。彼女を見ていて気高さや気の強さは充分感じられた。そしてとてもかわいいワガママ姫だった。彼女で良かったと思う。

『風林火山』第40話『三国同盟』

2007-10-27 | 風林火山
 第40話『三国同盟』感想。晴信が久しぶりに由布姫の元を訪れる。遅いよもっと構ってあげないと!勘助とリツの縁組話を聞いて由布姫はどう思ったか。別に気にするほどの事ではないんじゃないかな。だって勘助は結婚しようとしまいと視界には由布姫と四郎しか入っていないから。お屋形さまも入ってるはずなんだけど、由布姫と比べると時々吹っ飛んでしまうに違いない(笑)。
 由布姫が於琴姫の話題を出すと晴信が決まり悪そうに誤魔化し、由布姫が大事だのなんだの今更言い出す。誰にでも言ってるだろうと突っ込まれると、「そう多くはおらぬ。」まーったく悪びれずに言うんだから!でも晴信はこれでいいような気がしてきた。なんというか、『功名が辻』の一豊ほどは女性関係が気にならない。一豊は浮気しようものなら「千代!茶碗投げつけてやれ!」と思ったけど、晴信は別に側室が何人いてもいいような(笑)。たぶん、みんな一応大事にしているからかな。

 今川とも北条とも同盟を結んでおきたい武田は、今川に弱味を作るべく北条を動かして背後を突く。当然義元は大激怒。雪斎の知略でもどうにもできず、今回はあえて武田にのることに。そして晴信、義元、氏康の三人が一堂に会する。氏康の額に向こう傷が残っていてかっこいいわ~。義元はフンといった感じでご機嫌ななめ。
 署名をしてそれをどうするかと思ったらなんと燃やしてしまった。その灰を白湯に入れて三人が飲み干す。こういう儀式のようなことをするとは思わなかった。
 雪斎と勘助の会話。雪斎は僧侶らしく天下安寧を目指し、私利私欲を捨てない勘助を非難するけど、勘助は堂々と開き直って「お屋形さま、由布姫、四郎様の為に戦う」と言い切る。そして他の者は眼中になし。うん、潔い。なかなか人は自分の望みを捨てられない。雪斎や景虎のようにはなれないのは仕方ない。

 晴信の12歳の娘、梅が北条に嫁ぐことになり、三条は涙を流して梅を抱きしめる。晴信はなかなか梅から離れない三条を「それでも母親か!」と諌める。軍略のためとはいえ娘を手放し難い三条が女々しく見えたのかもしれない。でも三条はそうじゃなかった。嫁いだ先でどんなに辛くても、もう戻る場所はない。耐えられなければ死になさい。その時は母も共に逝く。他家へ嫁ぐ女性は、男が戦場へ行くのと変わらない死の覚悟を持っている。そんな三条を見て勘助は打ちのめされていた。母親の情というのはあまり見たことのない縁遠いものだったんだろう。

『風林火山』第39話『川中島!龍虎激突』

2007-10-27 | 風林火山
 そろそろ溜まってきた『風林火山』の消化を。第39話『川中島!龍虎激突』感想。景虎が家臣達の前で演説。やっぱりビジュアル系というか、かっこいいな。ここで急に思い出したけど、ガクトって俳優じゃなかったはず。なのに堂に入った演技ですごいと改めて感心した。
 いよいよ川中島の戦い。勘助の策略を読んでその裏を突く宇佐美。まるで将棋のような軍師二人の攻防。あー面白い!こういうのが見たかったんだ!勘助の策は今まで結構読まれることなく成功していて、それも面白いんだけどやっぱりライバルがいるともっとスリルが増すなあ。
 
 二人の軍師の実力は互角。その均衡を破ったのが諸角のまさかの命令違反。ああー馬場があんなこと言うから!おじいちゃんムキになってしまった。これはこの時代には仕方ないのかなあ。馬場がわざわざ言わなくても、武士は戦場で散るのが華、という考えがこの時代の根底にあるんだろう。さらに板垣と甘利の前例があるからなあ。けど命令違反は駄目だろう~!人の矜持や武士の本懐なんかまったく関係なく戦は進むんだから。
 諸角が独断で動き、そのために武田が危機に。勘助の咄嗟の機転でなんとか諸角は助かり、武田も勝利した。信繁怒ったり泣いたり大変。諸角は処罰されるかと思ったけど、晴信の恩情で赦されるらしい。うーん、ちょっと甘い気もするけど、晴信の心が広いということでまあいいか。馬場は自分の発言のせいかと思って、諸角を助けようと一晩中馬上で待機していようだし、色々な人に心配されているんだから、戦場で散るとか言わないでまだまだ長生きしないと(笑)。

 大人しく帰るかに見えた景虎が急に引き返し、これには晴信や勘助もびっくり。奥へ引っ込んで表へ出ないのが今回の戦いの重要なポイントだったのに、景虎の意表をつく行動でついに晴信が出ざるを得なくなってしまった。川を挟んでの景虎と晴信の対峙。お互い相手をどう思ったんだろう。晴信は景虎がそんなに無骨な武将じゃなくてびっくりしたんじゃないだろうか。景虎だって晴信がそんなに悪人面じゃなくて予想外だっただろうか。そんなことを色々考えてしまう二人の対面だった。

『風林火山』第38話『村上討伐』

2007-10-02 | 風林火山
 第38話『村上討伐』感想。二度も敗北してしまった村上との戦もいよいよ大詰め。ここで今川との婚儀が意外と重要だったらしい。今川との結びつきが、他の領主達を取り込むのに有利と勘助は言う。そうか、太郎と晴信の不仲が目的ってわけでもないんだな。いや、でもついでにそうなったらいいなあ、なんて考えてない?勘助?太郎の守役の飯富はそんな気配を感じて思いっきり勘助を警戒。うむ、鋭いなあ。でも当然だ。飯富だって、勘助が四郎一筋であるように、板垣が晴信に命を懸けたように、太郎を生涯支える決心をしているのだから。

 久しぶりに馬場信春が多く登場。以前の『教来石』という名字の方が珍しくて好きだったんだけどな。その昔、勘助と一緒に諏訪を調略しに行ったこともあり、武力よりも知略の武将のイメージがある。あと水の手を絶つためにひたすら穴掘り(笑)。だけど今回は武力を重んじる傾向がある様子。けっして知略を軽んじているわけではなく、敵の首を取るくらいの気概を見せなければ他国に侮られると、あくまで武田を思っての武力重視。この人の考えにも頷ける。しかし言い方が諸角には随分辛辣で、もうだいぶ年のいった諸角は血圧がかなり上がりそうだ。高齢者は高血圧になりやすいのよ(笑)。

 上杉は息子の死にショックを受けてしおらしくなったかと思えば全然そうでもなく、景虎に世話になっている身分でまた遊興三昧。この人…もうヤケになっているんだろうか。景虎は北条を討つ前にまずは上洛する予定。帝から武田を成敗する大義名分をもらえれば、心置きなく戦に出られる。なるほど、これは武田にとっては怖い。景虎は侵略に興味はないけど、悪いやつは討つ!ってことか。

 太郎の婚儀の最中、勘助は自分の屋敷に戻る。太吉や伝兵衛は酔っ払い、太吉の息子も結構飲むらしい。もうそんな年になったのかあ。そこへリツがわざわざ勘助に酌をしに来る。あらー、勘助に対して全然恥じらいや物怖じが無かったから、ファン心理のようなものかと思ったら、案外ほんとに好きなんだな。自分の思いをハキハキと言ってくれるので気持ちがいいわ。しかも「山本家が絶えても良いのですか?」とズバッときた!おおー、やっぱりそれなりの家の娘は、恋愛=家の問題というのが当然なのか。でも勘助は家よりも由布姫や四郎が大事だからなあ。でもリツはすっごく良い。いいんじゃないの勘助。

 村上の撤退策は、武田の軍略とも相まって上手く行きそうだったのに、馬場が!馬場がちょっと張り切ってしまったばっかりに…。いや、馬場は悪くないんだけど、村上の運が悪かった。馬場とヒサの対峙で、私はうっかりこの二人が既知であるのを忘れていた。そういえば馬場が教来石のころ、矢崎家を騙して諏訪を落としたんだった。ヒサにとっては諸悪の根元か。でも馬場は、平蔵の子を身篭っているヒサを見て「良かったのう」と呟く。うう、いい人だよ。

 次回は川中島の戦い。私はほどよく史実を知らないので楽しみです。

『風林火山』第37話『母の遺言』

2007-10-01 | 風林火山
 さくさくと手早く書くのを目指しています。もう全場面にツッコミ入れてたら大変(泣)。なのでちょっと短めな時もあるかもしれません。第37話『母の遺言』感想。大井夫人と勘助の対面。これが初対面らしいけど、なんだかそんな気が全然しない。何でだろう。大井夫人が言及したのはやはり心配の種由布姫のこと。由布姫と四郎は諏訪にいてこそ武田が安泰になる。そう念押しされ頭まで下げられて勘助はなんとも複雑そうな表情。四郎を武田の跡継ぎにと姫に言われた矢先に、それを読んだかのような大井夫人の念押し。どうする勘助。

 北条がもうすぐ上杉を落としそうな勢い。上杉憲政はもともと遊興三昧だから、まあ当然。そんなダメな上杉に仕え続ける長野業政はなんて律儀なんだろう。忠義が大事な時代だけど、家や家臣のために寝返るのもそんなに珍しくない。忠義だってそれに相応しい君主に捧げるならわかるけど、なんだってこんなダメ君主に…。長野はどうなるんだろう。長野を演じている役者さんにどうにも見覚えがあって、特に声に覚えがあるんだけどどうしても思い出せなかった。オープニング見てやっとわかった。『救命病棟24時』のクールな眼鏡の先生だ!この人、声が低くてかっこよかったからすごく印象に残っていた。メガネじゃないとちょっと判らなかったよ。

 ダメな君主なのに地位ばかり高い上杉を、景虎は丁重に迎える。この礼儀正しさは素晴らしいな。ここで上杉の嫡男が家臣の裏切りで亡くなっていたのを上杉が知って大ショック。
 北条氏康に関しては今まで穏やかで大らかな描写が多かったけど、今回の厳しさはすごかった。祖父の教えを守ることにはここまで厳しくなる人なのか。確かにこの教えは素晴らしいんだけど、この時代ならではという気もする。どんな時でも義を捨てるな。自分の命や家よりも義を守れ、というのはちょっと厳しすぎる。そして晴信がした父親追放はこの教えに思いきり反しているんだよなあ。あんなに国や民を思ってしたことなのに。

 由布姫に優しい言葉をかけた大井夫人は、三条夫人にも優しくその労をねぎらう。すっかり力の無い声で、もう何も未練はない、幸せですと言う大井夫人に、三条夫人は涙を浮かべる。何故泣いたのか本人は分からないと言っていたけど、きっと大井夫人が可哀相でならなかったのではないだろうか。大井夫人が言う『幸せ』が、諦めからくるものだと思ったのかもしれない。

 すべてに見切りをつけたはずなのに、悪夢を見る大井夫人。かつての信虎と晴信の諍いを、晴信と太郎が繰り返す。どうしてこうなるんだろう。信虎も、昔は晴信と同じように真剣に国を思っていたのだろうか。結局心配の種がつきないまま大井夫人は亡くなってしまった。その心配事の大半は勘助のはかりごとが原因。勘助や晴信と大井夫人、どっちが正しいということもないし、どちらか一方の方針だけで事が上手くいくということもないのだろう。難しいなあ。

『風林火山』第36話『宿命の女』

2007-09-27 | 風林火山
 第36話『宿命の女』感想。一大決心をして於琴姫の滞在する寺にやってきた勘助。刀を握り締めているってことは、由布姫の邪魔になるものは消そうってことですか!ちょっと思い切り良すぎじゃないか!?しかしリツにあっさり見つかり、しかも「もしや於琴姫をえいやぁとりゃあ!?」と意図まで見抜かれてしまった。あーリツったらかわいいなあ。緊張感の無さがいい。
 そしてリツが仕える於琴姫もリツに輪をかけて緊張感の無いおっとりとした姫だった。勘助の顔を見て「まあそんな怖い顔に生まれつくなんてかわいそう。」うわー、本音と建前が分かれて無さそうな人だなあ。
 於琴姫は地位や権力にはまったく興味なし。父が晴信に負けたという点では由布姫や大井夫人と同じなのに、それにこだわらず晴信を慕っている。暢気というか度量が広く、そのため変な矜持を持たず合理的な考えができるところはだいぶ由布姫と違う。まあそもそも性格が違うな。なんてのんびりしているんだろう。由布姫や四郎の存在を知ってショックを受け、よよと泣き崩れたと思ったら、「その方は私よりも美しいですか?」。正直ー!なんか、ほんと…気にするポイントがずれている。面白い姫だ。
 勘助はこれは警戒の必要なしと安心するが、一応「生まれるのが若君でも姫でも、四郎様よりは地位が下」と明言し、於琴姫も「そんなことわかっております」とあっさり認める。なんか由布姫が眉を吊り上げる必要もない姫だったな。勘助は自分が於琴姫を訪ねたことを厳重に口止めするが、リツが一言「くどい」。うん、ジジ馬鹿モードの勘助はくどいんです。

 由布姫は大井夫人と対面。自分の命がもう長くないことを悟っている大井夫人は、由布姫を宥めておかねばと思ったのだろう。由布姫の手を握り、激しいけど気高い気性を褒め、諏訪の安泰に姫が欠かせないことを諭し、そなたのような人が晴信を好いてくれてありがとうと礼を述べる。大井夫人は人が何を必要としているのかを見抜く才能があるのかもしれない。前回の由布姫の不満を見事に解消していた。諏訪に捨て置かれ何もできない姫を、あなたの存在が重要であると認め、姫に満足感を与える事ができた。ここで満足していれば姫は武田の跡目争いに加わらずにすむかもしれない。まさかそこまで読んでいたのだろうか。

 晴信と勘助は由布姫問題にばかり構ってもいられず、今川との人質問題の相談。こちらから幼い娘を輿入れさせるのではなく、今川から嫡男太郎の正室を迎える方が得策と勘助が進言する。ただし将来武田が今川を滅ぼした場合、太郎から恨まれる事必至。娘を嫁にやるよりはと晴信は承諾したけど、これは晴信と太郎が不仲になるのを勘助が期待しているということなんだろうか。でも軍略的には文句のつけようがないからなあ。

 対して今川の義元、寿桂尼、雪斎の三人会議。いっつも三人(笑)。義元はこちらが人質を出すなんて、とご立腹。意外にも雪斎は姫の輿入れに賛成。ただし、この人質策が勘助のものでなければ。勘助が四郎贔屓という噂は他国にまで知られていたのか(笑)。勘助、もうちょっと抑えないと。

 武田の使者としてやって来た駒井に、義元が勘助のことをずばり聞くと駒井は「いいえ」ときっぱり否定。いつもの生真面目な顔で、勘助のことを良く思わない家臣の振りをして「勘助は軍師と言ってもただの足軽大将に過ぎませぬ。」とすらすら嘘を並べる。なんと事前に警戒していたわけではなく、不穏を感じた駒井の咄嗟の機転だったらしい。駒井ったらホントすごいよ。勘助よりもよっぽと軍師向きなポーカーフェイスに感心した。

 ここまでで文章長過ぎです。まだ小山田の感想が残ってるのに(汗)。さて小山田は美瑠姫の子が前夫の子であることを知っていた。産み月から疑ったらしい。でも子供の顔見てびっくりしてたから、てっきり子供にダンカンの面影がありすぎたのかと(笑)。しかし美瑠姫が嘘をついたことにはまったく怒っていない。それどころか、子を守るために仇の側室になった美瑠姫を「まことにあっぱれ」と勘助に語る。小山田ってそこらへんは結構視界が広いんだな。意地を捨てて家を守った自分の父と美瑠姫を重ねていたらしい。
 理性と策略の武将である小山田にも感情はある。自分を裏切っているとも言える美瑠姫を大事に思い、そんな自分を「愚かであろう?」と勘助に言う。勘助もはかりごとで生きる軍師なのに感情に突き動かされて由布姫と四郎一筋。そんなところに小山田は共感して勘助に色々話したのだろう。
 ちょっと前の景虎と勘助が対峙した時の話を思い出した。勘助は人の弱さや愚かさに救われてきたと言っていた。小山田の愚かさや、由布姫の我侭が、勘助には愛しくてしょうがないのだろう。景虎ならあっさり捨ててしまうような、浅はかで下らない感情が。

 小山田の最期がまさかこのような形になるとは予想もしていなかった。ドラマ的にも驚いたし、この時代から考えても驚愕するような死に様かもしれない。武士が死ぬなら討ち死にか切腹、それ以外でも病気や事故くらいだろう。あれこれ憶測する家臣に、勘助がたまらず「さにあらず!」と叫んでいた。小山田が死んだのは『愚かさ』のせいだろう。『愚かさ』を捨てていれば死ななかった。けど捨ててしまっては随分淋しい。

『風林火山』第35話『姫の戦い』

2007-09-25 | 風林火山
 第35話『姫の戦い』感想。まずは鬼美濃、原の屋敷から。砥石城で足を撃たれたが命に別状はなく、気さくに勘助を迎える原。直情的で謀略嫌いだけど、勘助の功績は素直に認めている様子。その昔勘助に湖に沈められかけたのに、いい人だ(笑)。
 原の末娘リツが、いつも噂に聞いている勘助に会えて嬉しそう。かわいいなあ。勘助を好きというよりファンなんだろう。姫を慕い影ながら尽くすというのが女の子好みなのかな。きっと原が面白おかしく話しているに違いない(笑)。
 しかし和やかな雰囲気の中でとんでもない噂が!お屋形さまに側女!?いつの間に…。というかドラマでは戦続きだからとてもそんな様子は感じられないんだけど。さあ勘助が大変だ。

 久々の由布姫はお屋形さまに放っておかれ気味でご立腹。元々気の強い姫だから、放置なんてプライドが許さないだろうなあ。そうでなくてもあれだけの騒動の末に側室になったのに放っておかれては、「じゃあ最初から側室にするな!」と怒りたくなってしまうだろう。普通の姫なら仕方なくのんびり暮らすだろうけど、由布姫だからなあ(笑)。
 ところで勘助が四郎に筆を贈り、それを四郎が当然のように受け取っていたのが何だか微笑ましかった。きっと勘助は諏訪に来るたびにお土産を持ってきているに違いない。ジジ馬鹿な勘助(笑)。
 
 由布姫は大井夫人の見舞いという名目で甲府を訪れる。そして勘助は大急ぎでお屋形さまの部屋にずかずかと入り障子をピシャッと閉め、なんか知らんうちに側女が増えてますぞお屋形さまぁっ!と言わんばかりの勢いで問い質す(笑)。今回ってちょっとコメディ調だな。晴信は最初そらっとぼけていてうっかり私は信じそうになってしまった。が、勘助には通用せず。
 晴信いわく、由布姫はいくさのことばかり話すので一緒にいても心が休まらないらしい。で、心を休める用の側女を新たに作りました、ってわけか。まーいいご身分だこと!!晴信ってそんなに女好きには見えなかったけど、こういうこともあるんだなあ。由布姫と今回の側女はまったく訳が違う。由布姫が側室になったのは軍略の一部。だけど今回の於琴姫はなんの必要性もなく、ただの晴信の気休め用?こりゃ由布姫はキィーッてなるわ。

 側女以外に由布姫が激怒するようなことが発覚。なんと寅王丸が出家させられたことを由布姫は知らなかった。そういえばそうだったなあ。由布姫にとって寅王丸は亡き父の嫡男というかなり大事な存在。それを遠くに追いやった上に事実を隠していては、由布姫の眉も吊り上りっぱなしになってしまうだろう。最悪なタイミングで発覚してしまったなあ。

 由布姫と四郎のための宴で、家臣達の思惑が交錯する。というか、この演出だと家臣達がテレパシーで会話しているように見える(笑)。武田の家臣はテレパシーくらい使えないとね。新しい側女の於琴姫に子が生まれるかどうかで状況が変わるという意見が飛び交う中、駒井があっさり一言。「おりますよ。腹にお子が。」なんで知ってんの駒井ー!!おおお、一番あなどれないよ駒井。

 ついに於琴姫の存在を確認した由布姫は、勘助に眉を吊り上げて「その姫をここに連れてまいれ!」と言い放つ。早々に直接対決をお望みか!ほんとに好戦的な姫様だわ。しかしそこへ登場したのが三条夫人。「何を血迷うておられるのか」とあの柔らかい京言葉で由布姫をたしなめる。嫉妬に燃える由布姫とは対照的に、正室の落ち着きを見せる三条夫人は大人だなあ。三条にとっては側室が一人から二人に増えただけ。何人増えようと自分は正室の務めを果たす。夫を思えばこそ、女性としての気持ち以上に責務を大事にする責任感と理性。三条夫人のこういうところが大好き。

 大人な態度の三条夫人に対して、今回の由布姫は男性から見たら我侭で愚かに見えるのだろうか。私には、嫉妬や現状のやり切れなさに苦しむ由布姫がかわいく見えた。愚かな子供を見守る親のような感じかもしれない。
 そして勘助はもっともっとずーっと由布姫がかわいくて仕方がないのだろう。またお屋形さまの部屋へ飛んで行って障子をピシャッと閉め、今宵こそ由布姫のところへ行くんですよ!と余計な世話を焼く。が、お屋形さまは由布姫に睨まれるのがやだとか、由布姫が武将だったら諏訪を落とせたかのうとか、ごねるごねる。勘助に一喝されると、「板垣に似てきたのう。」などとのんきなことを言うお屋形さま。それはなんか嬉しいわ(笑)。でも板垣はどっしり構えて包容力のある父親だけど、勘助は心配性で口うるさい父親だな。そう、今回の勘助は忠実な家臣というよりは、つい親心で右往左往してしまう父親のような役回りだった。
 
 勘助に「四郎を武田の跡取りとして育てる」と宣言した由布姫。それが姫の戦いらしい。戦わずにはいられないんだな、この姫様は(笑)。なんとなくわかった。由布姫は何かを為したいんだろう。晴信の側室になる際、国として生きる事を課せられ、その割りにまつりごとにも武田の家中にも関わることができずに諏訪に放置されて、とにかく何かしたくて仕方がなかったのではないか。三条夫人は母親以外に正室としての務めを果たし、武田を奥で支えているという満足感が得られる。けど由布姫にはそれがない。多少我侭ではあるものの、可哀相に思えるなあ。

 勘助はすでに四郎が生まれた時からこの子を跡取りにと夢見たけど、さすがに嫡男を無視してそんなことを口に出来るはずもない。渋る勘助に由布姫がトドメ!「このままではまた諏訪の姫としてお屋形さまの首が欲しくなってしまう」。勘助、思いっきり動揺!これはね、由布姫はたぶん本気ではないと思う。けどこう言えば勘助が慌てるから(笑)。姫の思惑通り、勘助は鬼になる覚悟であわてて於琴姫の滞在する寺へすっ飛んでいきました。
 今回は勘助の表情や動きがコミカルだったり、晴信が全然悪びれず飄々としていたり、全体的に楽しかったです。

『風林火山』毎週エンジョイ

2007-09-23 | 風林火山
 あら、また日記の間が空いてしまった。『風林火山』の感想をのろのろと書いています。なんでこんなに時間がかかるのかなあ。
 そういえば以前、『風林火山』の視聴率が一時期下がり気味だったという記事をどこかで読んだことがあります。まあそういうこともあるでしょう。私の好きになるドラマは低視聴率のものばっかりなので、視聴率はあまり気になりません。もともとそんなに参考になるものではないし。『風林火山』の視聴率が上下しようと、そんなの関係なく毎週のように一喜一憂大興奮してる人がここに一人いますから(笑)。毎週すっごい楽しいんですけど。10月から番組の最後に流れるメインテーマのアレンジが変わるのが楽しみです。二胡、フラメンコギター、三味線、どれもすごく良かった。次はどんな楽器かな。

『風林火山』第34話『真田の本懐』

2007-09-13 | 風林火山
 第34話『真田の本懐』感想。勘助がもっさもさの姿で無事戻り、太吉が大喜び。晴信や由布姫も勘助が戻ってきて嬉しいだろうけど、こうやって手放しで喜んでくれるのは太吉ぐらいだろうな。太吉、和むなあ(笑)。

 勘助の景虎評は「武将にして武将にあらず。坊主である。」確かにその通り。あの禁欲や信心深さは武将じゃなくて僧侶だ。そして「他国を攻める意志がない」というのは、武田の家臣達にもかなり異様に思えるらしい。戦国時代の異端児だな、景虎は。晴信も別に私欲で他国を攻めているわけでもなく、ただ領民を守りたいだけだろう。そこら辺は景虎と同じはずなんだけど、なんでこんなに反対方向を向いているんだろうな、この二人は。

 『砥石崩れ』の原因を晴信は「わしの軍配違い」と素直に言っていたけど、他の家臣達は真田が急いで戦を仕掛けたせいと見ているので、真田の立場は非常に悪い。勘助はそんな真田に『秘策』と言って調略を勧めるが、武田が村上に負けたのに武田に寝返る武将などいない。調略は無理!と思ったら、そこはさすが勘助でした。戦わずして勝つという考え方はやはり大事だ。
 勘助が注目したのが、真田の始祖『海野家』の存在。これが急に出てきたのでよく解らなかったのだけど、本家ってことなのかな。とにかくやはりこの時代は『家』ってものすごく大事なんだなあ。この『海野家』の再興を餌に、真田の弟常田を釣る作戦。真田と常田は実の兄弟なのにものすごい険悪な仲なので、上手くいくかどうか。
 『海野家の再興』に欠かせなかったのが、なんと晴信の次男。まだ赤ん坊の頃に勘助と同じ疱瘡で失明し、三条夫人が泣き崩れたエピソードは強く印象に残っている。実はその後がすごく気になっていた。
 真田の始祖に盲目の者がおり、その影響で真田は身体的に欠損のある勘助にも大らかに接していたらしい。そこに晴信が注目したことに感心した。この厳しい時代に、もう武田家の役には立たない次男を切り捨てたりせず、ちゃんと行く末を案じていた。ほっとした。

 はー、今回は書くことがいっぱい。まず忍芽ー!前から思っていたけど、喋り方が毅然としていて本当にかっこいい。常田を命懸けで説得する時も、必死というよりは、夫のためなら命を捨てるのは当然という覚悟が見える。この時代は本当に『妻は夫に仕えるもの』なんだなあ。戦で命を懸ける武士と同じ。すごいけど怖い。『新撰組!』の山南切腹の時も思ったのだけど、何かのために命を自ら捨てるというのは、端から見れば美談だろうけど、少しでもリアルに考えるとぞっとするほど恐ろしい。その忍芽の覚悟に完全に圧倒された常田。ちょっとかわいそう。

 勝手に常田のところへ乗り込んだ忍芽と息子を叱咤する真田。最初は「家臣領民に申しわけが立たない」と叱っていたのに、そのうち「わしが困る。そなた達を失っては生きてゆけぬ」と領主から夫の顔になっていた。妻と息子を抱きしめるなんて、日頃から格式張っている武士の家では珍しいんじゃないだろうか。あー、こういうところが好きなんだよ真田家。国や家のため、矜持やけじめのために命を捨てるのが当たり前の時代に、愛しい家族に「死ぬな」と言える真田はなんて素晴らしいんだろう。国や役目に縛られた武田家とはまた対照的。
 部屋の外で「わしは妻にはあんなことよう言えん」とぼやく相木がいい味出していた(笑)。もう真田側には欠かせない人になってきたな相木。

 砥石城を落とし、やっと取り戻せた真田の領地にある墓に、なんと勘助がかつて持っていた摩利支天の首飾りが供えてあった。これは平蔵が矢崎の墓に供えたものだけど、その事情を知らない勘助は平蔵が死んでしまったと推測してしまうんじゃないだろうか。勘助の表情はかなりショックを受けているように見えていたけど、どうなんだろう。壮大にすれ違ってしまいそうだ。