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色々レビュー

映画、ドラマ、小説、マンガなど色々なものの感想置き場です。基本マイナー好き。

『風林火山』第23話『河越夜戦』

2007-06-25 | 風林火山
 第23話『河越夜戦』感想。北条に加勢し、上杉方にいる真田幸隆ゲットを目指す勘助。上杉の陣に浪人として潜り込むのに成功。浪人歴が長いので浪人の演技はお手のものです。
 ところで北条氏康を演じている役者はすっごくいいと思う!まず声がいい。重々しくなくて、威厳には欠けるんだけど、深い感じがする。あと顔とか表情が優しげで、何だか見ているうちにすっかり気に入ってしまった。武田のお屋形さまとは正反対な役作りをしているように見えた。

 真田に接触し、説得開始。「真田の領地を取り戻すには、上杉よりも武田に付いた方が早い」と合理性を説くも、なかなか動けない真田。でも上杉のボンクラ領主に付いていくのが得策ではないのは明白。そうこうしているうちに夜襲が始まり、北条の大勝利。こうなっては負けた上杉より武田の方がいいに決まってる。結果的にこの戦は真田説得には何ともちょうどいい機会だった。
 真田をゲットして気が緩んだところへ『種子島』が火を噴いた!勘助~!死なないだろうけどピンチ(笑)。『功名が辻』ではもうわりと鉄砲が普及していたけど、『風林火山』ではまだ入ってきたばっかりなんだなあ。
 

『風林火山』第22話『三国激突』

2007-06-16 | 風林火山
 第22話『三国激突』感想。冒頭、由布姫はすっかり角が取れて穏やかな表情になり、勘助に妊娠を告げる。勘助大感激。涙まで流すほどの喜び様。これは由布姫への思い入れだけではなく、生まれてこなかった自分とミツの子供のこともあっての涙かもしれない。きっと子供が生まれたら、また泣くに違いない。

 さて、国同士の緊迫した危機に小山田殿が勘助を差し置いて献策します。頭脳派の座は完全に譲ったわけではないのだ。小山田殿かっこいいー!しかし、勘助だって軍師です。負けてはおれん!この二人が喋るとハラハラします。結局小山田殿の読みが足りず、「お屋形の器ではないと言うのか」と密かに敗北感に打ちのめされていました。小山田殿、結構上を狙っていたのね…。そう言われれば確かに、忠義に厚いというわけではなく、下に収まっているようなタイプでもなかったわ。
 今川と北条を和睦させる為に、勘助奔走。どちらの領主とも浪人時代に顔見知りになっており、今は軍師となった勘助の姿に驚く。ここで今川義元と北条氏康の対比が面白かった!双方の和睦を成し遂げるほどの軍師となった勘助をを、その昔二人は召抱えずに放置した。それを義元は「見る目がなかったか」と言い、氏康は「見る目があったであろう」と言う。二人の性格や考え方の違いを見事に表した言い回しに感心した。
 今川は嫌なやつっぽい雰囲気が出ていてグッジョブ谷川さーん、と思う。雪斎の、黙ってても絶対何か企んでいそうな顔も素晴らしい。もう、表情じゃなくて、顔。

 大事な事を書き忘れていた。板垣と勘助の会話が今回のクライマックスだった!板垣…千葉ちゃん…かっこいいんだからもう(笑)。前回の由布姫脱走のことを問い質される勘助。今まで勘助は由布姫に関しては策略抜きの情で動いてしまっているから、いつか勘繰られると思ってたら、やっぱり板垣がきましたか。「違い申すっっ!!」勘助力の限り否定。私は今まで由布姫への思い入れは、ミツの代わりかと思っていた。でもそうじゃなかった。由布姫、お屋形さま、死んだミツ、すべてが勘助にとっての『国』だった。『功名が辻』の一豊は、山内という家があり、昔からの家臣があり、妻がいて子供もいた。絶対の忠誠を誓う主君もいた。守るべきものが元々存在していた。しかし勘助には何も無かった。身内から疎まれ、実家は無くなり、仕官も簡単には出来ず、生涯かけて尽くす対象が無かった。勘助は出会った『人』を『国』とするしかなかったのだろう。もうこのシーンは涙が出そうでしたよ。勘助~!

『風林火山』第21話『消えた姫』

2007-06-07 | 風林火山
 第21話『消えた姫』感想。由布姫と三条が寺へ行ったと聞いて、慌てて駆けつける勘助とお屋形さま。二人とも由布姫VS三条の構図を疑うかけらも無し。そうだろうなあ。三条はすごいおっとりなのに、由布姫には闘志のオーラが見えるもの(笑)。
 由布姫からの甘酒を毒と決めてかかり、侍女の萩乃が自ら一気に甘酒を飲み干す!いざとなると思い切りますね~萩乃。三条は別に由布姫を疑っていなかったと思うんだけど、由布姫は「私を憎めばよい」となぜかわざわざVSの構図を取りたがる。まだ恨みを捨てきれないのか、意地っ張りなのか。由布姫が何を考えているのか、私はこの時点ではわっぱり分からなかった。ただ、どんな意図があるにしろ完全に『私情』のみで喋っている由布姫は、三条に比べると子供だなあと思った。三条は『私情』より『務め』を優先し、自分の感情を制御している、あるいは出していない。立場抜きに考えても、家臣達にとってどちらが好ましいかは明白なわけです。

 家臣から大不評の由布姫を、一生懸命かばう勘助。子が出来れば事態が好転するのだろうけど、こればっかりは勘助が頑張って済む問題でもない。なのに家臣達は悪いのは全部勘助のせいだと言わんばかり。これが戦だったら、勘助の理論尽くめの説得で家臣達をやり込めるんだけど、由布姫を庇うのは策でも何でもなく感情からだから、どうにも理論的に説得できなさそう。

 由布姫を諏訪に送り届けることになり、勘助は甲斐甲斐しく頑張ります。お掃除とか。軍師じゃなかったのかい勘助(笑)。なんだか勘助が戦の時と違って、由布姫のために右往左往するのが健気です。戦の時には謀略を巡らせて不敵に笑うのが多かったのに。
 そんな勘助なんかそっちのけで脱走する由布姫。これは大変だ!勘助が!慌てふためいて片足を引き摺りながら姫を探し回り、近隣の宿の戸を叩きまくり、雪の中をバッタリ倒れる。すごい…。すごい尽くしっぷり。お屋形さまに対してとはまた違う感じ。
 やっと由布姫を見つけ、そしてようやく由布姫が何を考えていたかが明らかになる。やっと分かった。女心は複雑だということがよーく分かった。どうも由布姫の言動はあまりにも理性的じゃないなあと思っていたら、もうとっくに理性なんて引き裂かれていたのか。まだ恨みは捨てきれないのに、お屋形さまを好きになってしまうし、諏訪の身分も捨てられないし、三条に嫉妬してしまうのに三条はおっとり優しいし。そんなこんなで色々複雑なのは分かったけど、それらが総合して「お屋形さまの首が欲しい」に行き着くのは由布姫ならではと言える。結構過激なんだから(笑)。
 ようやく由布姫の本心が分かり、その葛藤を「小さい」と断じる勘助。武田も諏訪も関係ない。この勘助がお屋形さまを天下人にしてみせる!ものすごい気合でした、勘助。こうして生涯かけて尽くすことになるのか。

『風林火山』第20話『軍師誕生』

2007-05-31 | 風林火山
 第20話『軍師誕生』感想。このドラマでは序盤からずっと、国主の陰の部分を一手に引き受ける『軍師』について言及されてきました。そしてついに勘助が公式に『軍師』に!おめでとう勘助!立派な羽織と眼帯をお屋形さまから頂戴して、勘助超感激。この人こういう感動が顔に出やすいです。微笑ましい。お屋形さまの台詞がまた力が篭ってて威厳に満ちているので、余計に感動してしまうのかも。『風林火山』では合戦シーンでなくても、お屋形さまの威厳で大きく盛り上がるシーンがたくさんあります。素晴らしいなあ、市川亀治郎。

 そういえば勘助が手柄を立てた戦でも色々と動きがありました。海ノ口で勘助に割と親しくしてくれた相木が謀略の要となり、見事城を落とすのに成功。そして平蔵がヒサ達と登場。ヒサが元気そうでホッとした。鎧姿が勇ましいけどかわいい。平蔵はどうして負けるほうばかりについてしまうのか…。と言っても仕方ないか。武田に敵対する限り負けるのは当然。しかしこの時代の平民は大変だ。武士やある程度の家柄の者とは違い、別に領主に忠誠があるわけでもないのに、ただ住んでいる場所によってそこの領主に仕えなければいけない。どこの誰に付いてもいいから、ただ平和に暮らさせてくれよ、と思っているに違いない。平蔵も別に、心情的に武田に付けないだけで、他の領主に忠誠があるわけでもないのに。
 勘助が平蔵を斬ったらどうしよう!と思っていたら、教来石どのが止めてくれました。ありがとう!この人は勘助にも結構親切でいい人だ。平蔵が武田に付かないのは仕方が無いけど、真田幸隆は早く武田に付いて欲しいなあ。確か史実で真田は武田に付いてくれたような…。もっと後の時代?早くおいでー。

 由布姫はまだ恨みやその他諸々を吹っ切れないのか、誰にでもツンツンした態度で取り付く島もなし。先週のお屋形さまの説得くらいでは折れません、由布姫。勘助がなんとか由布姫の態度を軟化させようと頑張りますが、やはり女性に関しては戦の謀略のように上手くはいかず。がんばれ軍師~。
 三条夫人は相変わらず由布姫を気遣い、優しい言葉をかけるものの、由布姫はわざと三条を怒らせようとするかのように酷い事を言ってばかり。今週も私は萩乃と心情がシンクロしました(笑)。三条は立派です。
 そんな三条を試すかのように、由布姫がいかにも怪しい雰囲気で甘酒を勧めてきます。そこで次週に続く!怖いよ由布姫。

『風林火山』第19話『呪いの笛』

2007-05-22 | 風林火山
 第19話『呪いの笛』感想。先週の予告を見た時はどんな呪いかと思ってしまったよ!ホントの呪いではなかった様子(笑)。
 序盤からもう三条夫人の健気さに息を詰めて見入っていました。なんてすごい人だろう。前回は動揺してしまったけど、今回は見事に感情を制御し、正室の務めを立派に果たしていた。自分が初めて甲斐に来た頃のことを話したりしたのは、務めとはまた違う純粋な思いやりからだろう。これまで三条夫人は、決して浅はかではなく、責任感と思いやりを持つ人物として丁寧に描かれている。それがまたこの先の展開を薄々知っている視聴者としては、心が痛んでしょうがない。由布姫と三条夫人が並んだ場合、どちらに肩入れするかかなり迷うかも。私は今回完全に侍女の萩乃と心情がシンクロしました。三条夫人が由布姫にきつくあたるのではないかと疑った勘助に、萩乃が「そなたは無礼じゃ!」と涙ながらに叫ぶシーンは、私も激しく同意。三条夫人がこんだけ頑張ってるのに、それを疑って、勘助め~!(笑)

 三条夫人が由布姫に贈った笛を、勘助がすぐさま検分。これには由布姫も「恥ずかしくないのか!」と怒る。もう三条にも由布姫にもさんざん蔑まれ罵られ放題の勘助。しかし一言も口答えしないのは潔くて立派。けど、多分勘助はお屋形さまにさえ理解されていれば、誰に何と言われても気にならないのかもしれない。

 笛に呪いがどうこう言われていたのは、由布姫が頑張って一晩中吹き続け、晴信が居眠りしたから。すごいな由布姫!しかし毎晩そういうわけにもいかず、ついに晴信VS由布姫。そこはもう人を説き伏せるのが上手なお屋形さま。「儂とそなたは一人の男と女ではない。国と国じゃ」。気の強い由布姫も完全敗北。
 これは以前他のドラマでも感じたことだけど、国主というのは国を背負うどころか、一人で国そのものにならなければならない。晴信はすでにそれを痛いほど自覚しており、由布姫もこれからそうならなければならないのだろう。晴信の台詞にある「ひとり」が、耳で聴いていても意味合いの違いが解った。

『風林火山』第18話『生か死か』

2007-05-16 | 風林火山
 第18話『生か死か』感想。由布姫説得の回。勘助が頑張るものの、戦の策略のようにはいかず、勘助が困ってました。あの由布姫の性格では正攻法では絶対ダメだろうなあ。そこでお屋形さまの策略、『わざと下手な和歌で、ちょっと和ませる』。おおー、由布姫が初めて笑った!登場したときからずっと怒っていた人が!お屋形さまったら、やるなあ。しかしこれがまさか重要アイテムになるなんて、『風林火山』の脚本には感心させられることがホントに多いです。伏線のさり気なさに唸りっぱなし。
 甘利が勘助の意見には必ず反対するのは、ちょーっと私情が入っているという気がしないでもない。けど武田への忠誠心は疑いようもないものだというのが今回よく分かった。由布姫の武田入りに反対していたのは、柔軟になれない頑固な性格故かと思っていたら、もうそんなものを軽く超えていた。(自分の命を利用してまで由布姫を武田から遠ざけようとするとは。
 最初は変だなあと思ってた。由布姫に対して、なんにも持たずに手を振り上げて、威嚇するように大きな声出して、何をするかと思ったらそのまま静止。これじゃびっくりさせようとしただけみたいだと思った。まさか由布姫が驚いて咄嗟に刺そうとするのを期待していたなんて。甘利ー、ごめん。嫌なやつだと思っていたけど、その忠誠心は板垣にも劣らないものだった
)。

 色々な要素が絡まりあって、最後に由布姫に武田入りを決心させる流れに繋がっていく展開が面白かった。
 三条夫人は、一時は感情で意見を言ってしまったこともあったけど、今回は自分の感情を抑えてわざわざ由布姫を訪ねる。由布姫を気遣おうとした矢先に目に入ったのが、晴信が由布姫に贈った和歌。ああなんて不運な。せっかく頑張っていたのに、心が乱れてしまい、由布姫にきつい物言いをしてしまう三条夫人。帰り際に涙ぐむ三条夫人が可哀相で仕方がなかった。
 由布姫の決心を促したのは、武田への復讐でもなく、諏訪の安泰のためでもなかった。勘助の説得や晴信の和歌に動かされたのでもなかった。晴信のために動いた甘利と三条夫人を見て、「私だけ無傷でいるわけにはいくまい」と決心したのだった。ただの恨みや復讐では動かないところが、複雑で面白い。あと、勘助の恨みを捨てた経緯も由布姫を動かしたかもしれない。とにかく由布姫を動かしたのは、人を介しての晴信の影響力と、由布姫自身の誠実な性格だと思う。

『風林火山』第17話『姫の涙』

2007-05-10 | 風林火山
 ちょっと戻って先々週第17話『姫の涙』感想。意外だったのが、由布姫を側室にというアイデアは勘助ではなくお屋形さま発案だった、ということ。お屋形さまはあんまりそういう発想はしなさそうだと思っていたし、なによりそれだとあの信虎と同じになってしまうので、かえって避けるかと思っていた。諏訪を確実に掌握する為の戦略として思いついたのかな。
 そういう戦略的な思いつきは勘助がするのかと思ったけど、お屋形さまから「後に憂いを残さぬように」と念押しされていたから、由布姫を生かすためには逃がす以外に手はないと勘助は思い込んでしまったんだろう。そこへ「側室に」という噂を聞き、「さようなことが、あり得るかァァ!」と勘助開眼。この勘助の由布姫への思い入れというのが、恋愛感情じゃなくて良いなあと思う。巡りめぐって由布姫に渡った摩利支天の首飾りが、勘助の中のミツへの思いと結びつき、「人ではない」とまで評された勘助を情に走らせてしまう。由布姫を救い、お屋形さまに尽くすことが、勘助の中のミツを生かすことに繋がっているように思える。そこがすごくいいなあと思う。やっぱりミツの存在は大きい。

 一度は逃がした由布姫を武田に入れるため、あえて悪者になる勘助。そんな勘助に由布姫が怒るかと思いきや、ここでも由布姫の特異な個性が出る。勘助と真剣に向き合い、勘助が「まことの心」を語っていると感じたのに、それを「偽りだった」と後から言われ、「大したものよ。私の負けじゃ。」と涙を流す。騙されて怒るのではなく、本心の探り合いにおいて「負けた」と感じる。これで彼女が、ただ単純に敵に反発するのではなく、真剣に人と向き合う誠実さと賢さを持った女性というのが分かった。由布姫の考え方は、姫としても女性としても変わっていて面白い。見ていて飽きないなあ。

『風林火山』 最近の勘助、お屋形様

2007-05-01 | 風林火山
 『風林火山』の登場人物に関しては一通り感想を書けたので、ほぼ満足です。あとは信虎追放以降の話について少々。
 勘助が色々画策してなんとか武田に仕官したあたりから、勘助が結構かわいいような気がしてきた(笑)。この人って、意外と感情が顔に出やすいですね。軍師なのに全然ポーカーフェイスじゃない!そこはまあ主人公なので、感情の動きを見た目で判りやすくせざるを得ないのですが。表情をコロコロ変える勘助を微笑ましく見守っていきたいと思います。
 そして色々とツッコミどころが増えてきたお屋形様。私もう晴信じゃなくてどうしてもお屋形様と言ってしまいます。特に先週の第16話、頼重に対しての一喝。か…かっこいい…!もうひれ伏すしかありません。
 話を戻して、勘助を破格の待遇で召抱えたお屋形様。ずいぶん勘助を高くかっているんだなあ、と思ったら風呂まで入ったよ一緒に!しかも勘助に「ばーーーか!」とツッコミ入れたり、「単なる見た目じゃ。」と軽口叩いてみたり、意外とフランクに接していてなんか笑える。微笑ましい…!そういえば晴信はまだ若かったんだなあと思い出します。思えば他の重臣はみんなかなり年上だし、元々は父に仕えていた者ばかり。彼らに対してはしっかりしなければ、という気構えがあるのかもしれません。なのでたまには勘助をからかって息抜きしたいのかも(笑)。他に年の近い家臣はあまりいないしね。小山田殿?あり得ん。
 しかしあんまり勘助を重用していては他の家臣からも不満が。甘利が先頭になって勘助をいじめていました。勘助がますますシンデレラポジションとなっていきます(笑)。がんばって~!

『風林火山』 三条夫人、由布姫について

2007-04-26 | 風林火山
 由布姫の登場でつらい立場になりそうな三条夫人について。武田の跡目争いに巻き込まれていくのは粗筋で知っているけど、本人は争いとは無縁そうな、なんとも穏やかな性格。しかも演じているのは池脇千鶴。童顔で声が高くて柔らかくて、まだ子供じゃないかと思ってしまうかわいらしさ。これじゃ由布姫に負けちゃうよ(笑)。
 政治的な縁組ではあるものの、晴信も三条夫人も相手を思いやっていて、ほのぼのした夫婦関係は見ていてとても和んだ。しかし、このドラマのヒロインは三条夫人ではなく、あくまで由布姫。こんなに仲睦まじい夫婦なのになあ……、と何だか複雑です。
 次第に晴信と三条夫人の気持ちがすれ違うのを、エピソードの積み重ねで徐々に描写するのが上手い。三条夫人も晴信の味方でいたいのに、次男の失明に心を痛めるあまり、感情でものごとを考えてしまう。勘助が凶事をもたらすなどと根拠の無いことを言ってしまったり、晴信の諏訪攻めに対して『情』で意見してしまったり。
 三条夫人は悪い人ではないし、愚かというわけでもないと思う。ただ次男のことがきっかけで、母親や女性としての意見を晴信に押し付けてしまったのが、良くなかったかもしれない。でも仕方ない。晴信のように厳然と割り切るのはそう簡単にはできない。特に母親は。その点、晴信の母の大井夫人は、「表向きと奥向きのことは別。」とスッパリ割り切っていて、ずいぶん出来た女性だなあ。でも大井夫人は夫があの信虎だったので、割り切るというよりほとんど諦めてしまったんだろう。三条夫人はまだ諦め切れていないから、晴信に色々言ってしまうんだろうな。

 先週からやっと登場シーンが多くなってきた由布姫について。顔からして気の強そうなお姫様です。三条夫人の困ったような眉とは対照的な、キリッと吊り上った眉が印象的。由布姫を演じる柴本幸は新人女優で、彼女の演技の良し悪しはまだ判断のしようがありません。ずっと怒ったような顔が多いので、これから違う表情も見られたらいいなあ。ただ、新人であるがゆえのメリットもあると思います。これまで他の役をまったく演じていないということは、彼女は由布姫のイメージしか持たれないということ。これは結構いいかもしれません。
 第16話で由布姫は気が強いだけでなく、かなり異色な考えの持ち主と判明しました。この時代の人は身分が高ければ高いほど、家柄と矜持のために命を惜しむなと教え込まれているはず。戦で包囲されれば、まだ負けてなくても自害。敵に捕まる前にとにかく自害。ところが由布姫は高笑いして「自刃なんて嫌ですもの」と言い放つ。うーん面白いなあ。かなり個性が出てきた。まだあまり感情移入できてなかった由布姫だったけど、「どんなに辛くとも生きていたい」という考えには共感できそう。

『風林火山』 ミツ、平蔵について

2007-04-25 | 風林火山
 序盤の重要なヒロインだったミツについて。前述のとおり『大奥』の時から貫地谷しほりが好きでしたが、今回もほんっとかわいかったわ。『大奥』の丁寧な言葉遣いの時は、ちゃんと品があってしかもかわいらしい喋り方で、それも好きだったけど、今回の方言もいいなあ。あと声が高すぎないのも好き。すごい美人というわけではないと思う。目はすっごくかわいいんだけど、顎は丸くてしっかりしてて、いわゆる細面ではないし。でもそこがいいー!彼女、現代物より時代物の役のほうが合いそうな気がする。あれ、役者さん語りになってしまった。
 ミツの良かったところは、かわいらしさの他に『たくましさ』がある。勘助を好きなのに、勘助にまったく頼ろうとしない。子供まで妊娠して、勘助とは普通の夫婦として暮らしたいに違いないのに、ふらっと出て行ってふらっと戻ってきた勘助を全然責めずに喜んで迎える。しかも仕官にこだわり続ける勘助を、自分が養うとまで言う。自分だってもうすぐ出産なのに、しかも飢饉で大変なのに!なんて強いんだろう。困難な状況でも、自分のことだけで精一杯にならないでいられるミツはすごい。
 もう出演はないミツだけど、これから先も少しは回想で出てきてほしいです。これからますます『はかりごと』で陰に生きていく勘助に、影響を与え続けていくといいなあ。

 農民代表、大事な和みどころ、平蔵について。ミツのことが好きだった平蔵は、当然勘助につっかかってばかりだったんだけど、逆恨みはしないところが偉かったなあ。もしこれが普通の連ドラで恋愛ものだったら、主人公の事を鬱陶しく恨み続けるんだろうけど、大河ドラマなのでそういうドロドロは無し(笑)。ミツが殺され、村人達は諦めて逆らおうとしない中、勘助がただ一人真剣に仇討ちを考えているのが嬉しくて、むしろ勘助に懐いてしまった平蔵がかわいい。素直だなあ。諏訪で勘助と再会した時、駆け寄ってどうするかと思えばジャンピング抱っこしたよ!勘助、片足悪いのに!そんな配慮もしないのが平蔵らしい(笑)。ええい、かわいいよ!
 勘助も、単純で一途な平蔵に和んでいる部分があると思う。平蔵に対しては結構リラックスして接しているように見える。そして自分は戦に生きるけど、平蔵にはあんまり自分のようになってほしくないのでは。
 しかし平蔵も、行く先々が武田に滅ぼされて実は結構不運。これからどうなるんだろう。平蔵が死んだら、勘助は相当がっくりするんじゃないか。そして私も相当がっくりするだろうな。