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ブラインシュリンプの餌

2012-10-25 23:38:54 | 育て方 殖やし方(アクア)

この記事はブラインシュリンプ(アルテミア)の飼育方法の続編です 検索で来られた方は前編「プラケースで飼ってみた」からどうぞ。



ブラインシュリンプ(アルテミア)の飼育は プラケースを2つ並べて同じ育て方をしても同じ結果にならないことも多く 検証に時間がかかりなかなか先に進めません。特に与える餌の量が微妙で成体まで育てられるようにはなったのですが 大量飼育ができないので原因を考えていました。

うじゃうじゃ状態で飼育してみたいので まずエアレーションをしてみましたが1週間後に残っているブラインシュリンプの数はエアレーション無しと差はありませんでした。
酸欠が原因ではない? とすると「水質の悪化」「餌が足らないか合わないか食べられない等の原因による餌切れ」などが考えられます。

 深いことは考えずに餌をたくさん与え続けてみました。プラケ(1L)には2%の人工海水(水温25度)にいつものように数百匹を入れてあります。ブラインシュリンプは孵化直後は体内の栄養分を使って育つということなので 少しでも水質が悪化するのを防ぐために孵化後2~3日目から餌を与えていたのですが とりあえず使い慣れたプレコの餌(加工方法についてはは後で詳しく書きます)を孵化したその日からプラケの奥が濁って見えないぐらい投入して 以後毎日1回同じように与えました。

数日できっと腐った水になると予想していたのですが なぜかいきなり大量飼育成功で訳が分かりません。 
一週間後でも500匹以上が残っているうえに成長が早く小さいながらも仰向けに泳ぎ始めている個体もいます。数も多くせわしなく動き回るので元気なのはうれしいのですが見ていても癒されません。
今まで餌を与えた後にブラインシュリンプが落ちていたのは 餌を与えるのがきっかけかとどめになっていたということでしょうか。

後日分かったことですが この検証時に たまたまブラインシュリンプが落ちないで育つ条件を満たしている餌を与えていたので飼育できたようです この時点で数回続けて全滅していたら何も分からないまま検証を終了していたと思います。ブラインシュリンプを育てられる餌については説明が長くなるので後で書きます。

話を戻して…
何度も検証をしましたが2週間後でもかなりの数が残っているのでこの給餌方法はそこそこ再現性があると思われます。ただし孵化後数日で全滅したこともあり 育てられる確率がかなり高い方法といったところです。
2週間後にこれだけ残っているということは「プレコ餌をサンドペーパーで削って作る泥状の餌」で育っているのは確実なのでこれからはこの餌を自信を持って与えられます。


この方法でたくさん育つということはこれにエアレーションをすればどうなるのかが気になるので再度エアレーションをして検証をしてみたところ さらに大量のブラインシュリンプを飼育することができました 飼育数が多いとやはり少量のエアレーションでも「効果あり」です。 が… 大きい個体もいれば極小サイズのもいて全体的な成長も遅く 数が多すぎていつ全滅するか気が気ではないので 飼育が目的ならエアレーションなしで十分だと思います。ただし エアレーションなしでは 水温が高い夏場は育つブラインシュリンプの数が少なくなります おそらく酸欠が原因でしょう。


ブラインシュリンプの飼育数に合わせた餌の量を給餌することがことができないので一定量の餌を入れて濁り具合で給餌量を判断していて 翌日に透明な水に戻るのを目安としています。 毎日餌を与え続けると残餌が底に堆積しますが そのままにしておいても意外と大丈夫です。また飼育数が少ない場合でも餌はある程度の量を与えたほうがうまく育つようです。

ブラインシュリンプは大きくなるにつれ動きもゆっくりになるものだと思っていたのですが 今回の飼育方法では2週間目でもかなり早いリズムでピッピッピッとキレがある動きで 仰向けになって泳ぐようになっても結構高速です。今までは早く泳ぐ個体やゆっくり泳ぐ個体がいたのですが 動きが鈍い個体は餌が足らなかったのでエネルギー切れだったのかも知れません。

前記事での飼育方法では 餌になる藻類の発生状況に影響されましたが 今回の飼育方法ではいつも餌が足りている状態になるので ブラインシュリンプがある程度の大きさになればプラケースの掃除をしても問題なく育てることができます。 でも プラケース内の藻類はそのままにして飼育したほうが調子がいいような気がします。



 



プレコ餌(ひかりクレストプレコ)を使って作る泥状餌で 重要なことに気が付きました。

使用するサンドペーパーの番手(粒度)によってブラインシュリンプの生存率が変わります それも微妙な差程度ではありません。 ブラインシュリンプの孵化直後は前記事に書いたように#1000のサンドペーパーを使うようにしていたのですが #600のサンドペーパーに変更した途端 ブラインシュリンプがたくさん残るようになったうえ 多めに餌を与えてもブラインシュリンプが落ちなくなりました。クロレラの大きさを意識しすぎていて餌を細かくすることばかりを考えていたのですが この件以降は 孵化直後から成体まで#600のサンドペーパーで餌を作り 念のためサンドペーパーは定期的に交換するようにしました。
少し粗い#400のサンドペーパーでも試してみましたがいい結果が得られなかったのでサンドペーパーは「#600」限定としておきます。
私はソルトレイク産のブラインシュリンプを使っているのですが ブラインシュリンプは産地によって大きさが違うようなので この給餌方法でブラインシュリンプが翌日に全滅するようなら りサンドペーパーの番手を変えると状況は変わるかもしれません。

同じ餌なのに使うサンドペーパーの目の粗さによってブラインシュリンプが育ったり全滅したりするなんて全く考えもしませんでした 細かすぎても粗すぎてもうまく育ちません。うちでは#600のサンドペーパーで餌を作るのがいちばん安定しています。
このことが分かってからは確実にある程度の数で育てられるようになりました。

 

だらだらと書いてきたので どうすれば飼育できるのかややこしくなってしまいました。
現時点でおすすめと思われる飼育方法を2パターン紹介しておきます。


どちらの飼育方法も準備するものは同じです

1L程度のプラケースなどの透明な容器
カルキを抜いた水 1000cc
人工海水(の素) 20g
ブラインシュリンプエッグ
耐水サンドペーパー(#600)
タブレット状のプレコ用の餌(商品名:キョーリン ひかりクレストプレコ)
スポイト


☆まず一番重要な餌の作り方です  (作り置きはできないので給餌時にその都度作ります)

適当な大きさに切った#600のサンドペーパーを平らな場所に置き 水を数滴たらし プレコ用の餌を墨をする要領でサンドペーパーで削って泥水状にします この泥水状の餌で孵化したての幼生から成体まで飼育することができます。


飼い方その1 (手間をかけずにブラインシュリンプの泳ぐ姿に癒されたい方向け)
 
飼育水(水1000cc+人工海水20g)が入ったプラケースに孵化したブラインシュリンプを数百匹程度を入れるのと同時に上記の方法で作った泥状餌をプラケースの向こうが見えなくなる程度投入して軽くかき混ぜておきます。容器は20度~30度程度の水温が保てる明るい場所に置き 蓋はしません。
餌を与えるのはこの1回のみです。その後の餌はプラケース内で発生する藻類任せなので藻類の状態によって数匹しか残らない場合もあれば数十匹が残る場合もあります。セット後は飼育水が蒸発して減ったら水を足すだけで プラケの掃除や水替えはしません。
1週間後にはかなり数が減りますがブラインシュリンプが数十匹以上残っていればそのまま観察を続けます。
2週間後にはさらに数は減りますが背泳ぎをするようになりここまできたら飼育はほぼ成功です。飼育中に餌を与えないので成長も遅く 飼育数も最終的には多くても十匹程度になりますが1週間を過ぎれば突然全滅することもなく比較的安定した飼育ができます。

 

飼い方その2(うじゃうじゃで飼いたい方向け)

準備はその1と同じですが餌は毎日1回上記の方法で泥状の餌を作ってプラケースの向こうが見える程度の量を与えます。翌日になっても飼育水が濁っていたら与える餌の量を減らします。
うまくいけば1週間後に数百匹が残っているはずです 数十匹以下なら原因が何かを考えてリセットしてやり直します。2週間後に大量のブラインシュリンプが育っていたらもう1個プラケースを準備して分けて育てると突然壊滅状態になるのを防ぐことができます。
この方法はたくさんのブラインシュリンプを育てることができますが 成長にばらつきがあり突然全滅することもあります。あきらめずに原因を考えながら何度かトライしているうちにエサの与え方の要領などが分かるようになり きっとうじゃうじゃ状態で飼育することができるようになります。

 

加工せずに与えられる餌は無いのか? 飼育できるようになったら今度は横着をしたくなってきました。

サンドペーパーを使って作る泥状の餌でブラインシュリンプを育てられるのが分かったのは大きな進歩でした。でも 餌を削るという一手間が必要なのでちょっと面倒くさいですね。人工餌をパラパラと与えるだけのお手軽な方法で飼育したくなります。 同じ餌でも粉の粒子の大きさによっては一日で全滅することがあるということは 粒子の大きさが合えば市販の熱帯魚用の餌でもそのままで使えるものがあるかもしれません。粉状といえば稚魚用の餌ですが顆粒状の餌は簡単に押しつぶせるので使えそうですね。
市販の熱帯魚用の餌などをいつもの検証パターン(2%の人工海水1Lに数百匹のブラインシュリンプを入れ水温25℃で管理)で観察してみました。餌は毎日1回耳かき山盛り1杯程度与えます。


・テトラ テトラミンベビー
稚魚用として実績のある餌ですが うちではブラインシュリンプは2~3日で全滅しました。飼育水が濁ったままになるところをみると餌の粒子が細かいのでしょうか ブラインシュリンプ用にはは向いていないようです。

・キョーリン ひかりパピィ
これも熱帯魚ショップで普通に売られている稚魚用の餌ですね こちらは同じように与えても飼育水はあまり濁らず 濁り加減を給餌量の目安にすることはできませんが2週間後でもかなりの数で飼育することができました。やっぱり探してみると市販の餌でもブラインシュリンプ用として使えるものがありましたね。成分表を見ると植物性のものはあまり含まれていませんが この餌のみで成体まで育てることができます。

・テトラ ビーシュリンプ
最近はビーシュリンプ専用の餌がいろいろと発売されていますね この餌は顆粒状なので固いもので押しつぶして粉にしてから与えました。魚用よりもエビ用のほうがブラインシュリンプに合いそうな気がするので期待していたのですが テトラミンベビーと同じように2~3日で全滅しました。これも飼育水は濁ったままになります。

・きな粉
食品ですがブラインシュリンプの餌として使えるようです  商品によって粉の挽き方がいろいろなので判断がしにくいのですが 私が買ったものは粗挽き?のようで入れた途端にじわーっと粒が沈んでいきます。多めに入れても飼育水は濁らないので給餌量を濁り加減で判断できませんが2週間後でもそこそこの数で残っています。原料が大豆のみなので これで飼育できるの?と期待はしていなかったのですが 成長はプレコ餌より遅いような気はしますが成体まで育てることができます。うっかりたくさん与えてしまってもブラインシュリンプは翌日でも平気で泳ぎ回っていたのでこれはこれで使える餌かもしれません。



熱帯魚用の餌は魚を育てるために作ってあるものだけにブラインシュリンプを育てても成長が早いようです 
ただし与えすぎると突然の全滅もあります。
上記の餌を育ち具合で並べると ひかりクレストプレコ>ひかりパピィ>きな粉 といったところでしょうか。 きな粉は育ち具合が人工餌と比べるとちょっと頼りない感がありますが多めに入れてもブラインシュリンプが落ちにくいという特徴があります。 
毎日こまめに餌を作って与えることができて たくさんのブラインシュリンプを飼育したければプレコ餌です。 
お子さんの夏休みの宿題用の観察で育てるのなら餌を与えすぎても安全に育てられるきな粉ですね。
この3種類の餌を日替わりで与えて観察をしてみましたがブラインシュリンプは落ちることなくそれなりに育ったので 時間があるときにプレコ餌を与え 忙しいときには稚魚用の餌やきな粉を与えるという給餌方法でも
育てることはできますが 全滅してしまったときに原因が特定しにくくなります。



 


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Unknown (モルモット)
2013-01-29 20:20:15
すごく独自に研究されていて参考にさせて頂きました。
なのですが、一点だけ気になった点がありますので、失礼ながらお伝えしますと樹脂製でない紙やすりや耐水ペーパーは粒状の固体と紙は接着剤で固定していますので、餌の研磨中に混入した接着剤が水中で成分が溶け出す可能性があると思います。
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耐水ペーパー (mizuwarabi)
2013-01-30 08:45:37
モルモットさん

おっしゃるとおり 粒子や接着剤の混入は餌を作り始めた頃 影響がないか気になっていました。
でも
この方法で育てて 1年経ちますが今のところ問題は無さそうです。



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耐水ペーパー (モルモット)
2013-02-02 13:33:33
認識した上でされているのでしたら
問題ありません。迷惑なおせっかいでしたね。
又、ちょくちょくHPを拝見させて頂きます。
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ミキサー (MICOTO)
2013-02-16 11:41:12
ミキサー(フードプロセッサ?)でプレタブを粉末にするってのはどうですかー?
まだあらすぎるかなー?
ミキサー色々砕くとべんりですよー

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フードプロセッサ (mizuwarabi)
2013-02-18 18:19:54
MICOTOさん

フードプロセッサですか 便利そうですね プレコタブ数個でもうまく粉にできるのでしょうか。
この餌については細かすぎても粗すぎても問題があり#600のサンドペーパーにたどりつきました。
試してみたい気もするのですがうちにはフードプロセッサが無いので…

返信する
プレコ+600 (ponta)
2013-10-07 17:31:29
凄いですね!早速試しています。今、2日目です。
また報告します。
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餌を作るのが面倒 (mizuwarabi)
2013-10-07 17:46:10
ponntaさん

2日目ですか
もう2~3日経てばほぼ結果が出ますね
1週間育てられればあとは数は減りますが安定して育てられますよ
報告楽しみにしています。

うちでは餌を準備するのが面倒になってきたので「ひかりパピイ」で育てています。
返信する
その後のブライン (ponta)
2013-10-21 15:20:31
今日で孵化してから約2週間です。
ほとんど落ちていませんが、成長が遅いですね。まだ3mm程度です。
でもプラケの中はうじゃうじゃ状態です。

私はひかりプレコを毎日ゴシゴシやってます。
水は藻類は発生していませんが、底に緑色の沈殿ができるので、時々スポイトで吸ってます。
数は大雑把に、400匹/Lでしょうか。

そろそろ飼育ケースを2つに分けようと思います。
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追伸 (ponta)
2013-10-21 15:25:02
エアレーションは隔日で行っています。水面に泡がじわじわ出る程度です。

そろそろ寒くなってきたので、プラケースを「ピタリ適温」の上に乗せています。
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うじゃうじゃ (mizuwarabi)
2013-10-21 16:17:41
pontaさん

2週間ですか! 第一段階突破ですね
小さくてもそろそろ背泳ぎをしているのでは?
これからの飼育のポイントは 20度以上の水温を保つこととと水温の急変を避けることですね。
私は底にたまった沈殿物を取り除いたことはありません(餌を与えるのと水を足すのみでほったらかし)

飼育ケースを2つに分けるのなら 沈殿物を取り除くケースと沈殿物を取り除かないケースで比較検証をすると面白いかもしれませんね。

よろしければ 時々様子をお知らせください。
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