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『胸痛』を鑑別する

2016-04-29 05:34:11 | 循環器

『胸痛』

1.どのような痛みですか?
 刺すような痛み/鈍い痛み/圧迫されるような痛み/締め付けるような痛み

2.どこが痛みますか?
 左胸部/前胸部/背部/首や肩に放散/局所的

3.どのくらい持続していますか?
 瞬間的/数分/数時間かそれ以上

4.どのような時に痛みますか?
 動いた時/安静時/体位を変えた時/呼吸との関係/食事との関係

5.他の症状はありますか?
 呼吸困難/発熱/冷汗/吐き気/おう吐

胸痛の原因となる疾患は結構いろいろあります。

1.心臓や大血管の病気

狭心症:胸部中央から左側にかけて絞めつけられる感じや圧迫感があり、数分で消失するのが特徴です。労作時や食事の直後、興奮や緊張時に出現しますが、異型狭心症では夜間、朝方や起床時の安静時に起こります。首や左肩に放散したり、上腹部に痛みを感じることもあります。

急性心筋梗塞:狭心症の痛みがより重篤で、持続時間も長くなり、冷汗や呼吸困難も伴います。

大動脈解離:大動脈の壁に亀裂が入る病気ですが、その胸痛は突然の引き裂かれるような激しい痛みで、亀裂が進むにつれ、胸部から頚部、咽頭、下顎、背部、腹部へと移動します。

2.肺や胸膜の病気

急性肺血栓塞栓症:足や骨盤内の静脈に血栓ができて、これが移動して肺の血管(肺動脈)をふさいでしまうことにより起こります。詰まった血管の太さで症状の程度や重症度は異なり、血たん、せき、失神をきたすこともあります。航空機利用によって生じた静脈血栓塞栓症はエコノミークラス症候群と呼ばれます。

気胸:突然の胸痛と息苦しさや呼吸困難を伴います。気胸は肺の一部が破れて肺が縮んだ状態をいいます。胸痛は発症時に強く、しばらくするとやや軽快する傾向にあります。しかし胸腔内の圧が上昇していく緊張性気胸ではショックなど重篤な状態になることがあります。胸痛の原因として頻度が高く、やせ型の若い男性に多く見られますが、肺気腫など呼吸器の病気がある中高年にも認められます。

胸膜炎・膿胸:細菌感染などが原因で発症し、発熱や悪寒を伴います。

3.神経・筋肉・骨の病気

肋骨骨折:外傷や過度の運動、激しいせきなどで肋骨が折れたり、ひびが入ったりすることがあります。深呼吸やせき、押した時に痛みが増強します。

帯状疱疹:水ぶくれのある発疹が肋骨の内側にある肋間神経に一致して帯状に広がる病気です。鋭い激しい痛みが認められます。

悪性腫瘍:腫瘍が胸壁にまで浸潤すると持続性の強い痛みが生じてきます。

4.消化器の病気

逆流性食道炎:胸骨のまん中あたりの胸痛で、嚥下困難や胸焼けなどの随伴症状があります。

腹部臓器の病気:急性膵炎、胆嚢疾患などでも胸部に痛みが放散することがあります。

5.心因性によるもの

心臓神経症:検査で何も異常がなく、精神的負荷がかかったときに胸痛を感じます。過換気症候群でも同様の症状がみられることがあります。

 


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