コジタン-故事譚-

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なぜ演義は劉備を正統として書いているのか?

2005年01月17日 | 三国志
演義を読んだことがある人は、わかると思うが、
演義は劉備を善玉として書いて、
蜀を正義として、
魏を悪として物語を展開している。

これは演義の源となった歴史書が書かれた
時代背景に原因がある。
そのころは、伝統的な政治の中心であった
中原が異民族に占領され、
漢民族の治める土地は
三国志の蜀と呉の部分のみであった。

だから、魏を異民族に見立て、
蜀を正統にして、
劉備=善玉にすることによって、
異民族の圧迫うけている精神的屈辱に対する
民衆の鬱憤を晴らすために書かれたのだ。

また中原を領有としていることが、
正統王朝の条件ではないことを唱えることは
中原を領していない為政者にとっても有利なものだった。

こういう背景が、
蜀漢を正統とする「三国志演義」を育んでいったのだ。