ミリ屋哲の酷いインターネット

上まぁ特段語るような内容はないようだがコメント不可のブログ等に突っ込み入れたいが為のものである訳だろうか(苦笑

実戦経験のない軍隊は弱いか

2008-04-01 20:13:14 | 軍事関係
実戦経験の有無と軍隊の精強さを関連づける言説は数多い。いわく「実戦経験豊富な米軍は強い」「自衛隊は実戦経験ないから弱い」・・・正直、理論以前の常識として根付いていると言ってもいいだろう。だが、今回はこれに敢えて反論を加えたい。豊富な実戦経験必ずしも精強のバロメータならず、と。

まず、実戦「経験」と言うからには「経験を積む事による練度の向上」がその肝であることは疑う余地がない。では、その「練度が向上するモノ」は果たして何なのか。大きく分けると、「部隊(と言うか軍全体)」と「実戦を経験した兵士個人」である。
まずは分かりやすい部隊の部分から分析しよう。実戦経験により部隊の練度が向上すると言う事を更に詳しくすると、「実戦により得られた戦訓を評価・分析して改善策を案出し、それを全体に徹底する」事である。改善策は、新装備の場合もあるだろうし、兵士個々の戦技に関する事項である場合も、部隊としての新戦術の場合もあるだろう。そして、ここまでの話で分かるとおり、これは要するに組織運営に関する問題であって、実際には部隊そのものが経験したか否かはほとんど関係ないのだ。つまり、重要なのは戦訓を正しく導き出す事、合理的な改善策を案出する事、改善策を正確かつ全体に速やかに普及する事である。自衛隊はカンボジア、イラク等、海外に派遣される度に多国から熱心に戦訓を収集して活用した。そして、今のところそれは上手く行っていると評価してよかろう。逆に、自ら経験した事でありながら妥当性ある改善策を案出出来なかった例は、歴史をひもとけばいくらでも発見出来るだろう。(一例を挙げれば、米軍の着上陸に対する日本の戦闘要領)
次に、兵士個人の練度である。これは大きく二つに分かれ、「戦場に慣れて度胸がつき、非常時にも冷静に行動出来るようになる」事と「状況判断能力を含めた戦闘戦技能力が向上する」事となるだろう。これに対する反論は三点。一点目は「兵士個々の実経験は戦場の様相のごく一部であり、自らが経験した事以外の事項は訓練によってしか練度向上しない」二点目は「どんなに度胸がついても、未知の体験に対しては精神的な脆弱性が露呈しやすい」三点目は「どんなに経験豊富な兵士も永遠に軍にいる訳ではない」である。それぞれ説明は不要だろう。一つだけ付言するとすれば、実戦により練度向上しようとするのは、多数の犠牲の上に一握りの高練度な兵士を得ると言う事であり、極めて非効率的だと言う事だ。
そして、冷静に観察すれば、米軍の強さの根源は実戦経験よりも戦訓を速やかに全軍に普及する組織体制だと気付くだろう。


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4 コメント

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Unknown (Unknown)
2008-04-01 22:57:42
すると童貞でもデカマラならいいということですね!
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Unknown (Unknown)
2008-04-02 01:12:21
× 童貞でもデカマラならいい
○ 童貞でもイケメンならいい
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Unknown (Unknown)
2008-04-03 19:38:43
>海外に派遣される度に多国から熱心に戦訓を収集して活用した
ひげ隊長のイラク派遣記でもPKOでの戦訓(?)からフィードバックを得てる記述とかありましたね
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Unknown (Unknown)
2008-04-07 19:43:55
>米軍の強さの根源は実戦経験よりも戦訓を速やかに全軍に普及する組織体制だと気付くだろう。

湾岸戦争時の米軍兵士の多くが実戦を経験した事が無かったとも言われていますね。
そして「実戦も訓練と変わり無く、むしろ訓練よりも楽だった。」という証言もあるくらいでしたので、この事からも実戦経験よりにも如何にして実戦に即した訓練を積むかという方が重要である事分かります。
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