VANDER情報局

湊七雄のブログ

Preview

2008-09-23 | Weblog
今回、表参道画廊で発表する作品がすべて刷り上がりました。
新しいシリーズ「昨日の幻覚」から数点をオープニングに先駆けて紹介したいと思います。


Shichio MINATO, "l'hallucination d'hier" (2008),
PVC Etching on Paper, 560x760mm|Edition 2/2


Shichio MINATO, "l'hallucination d'hier" (2008)
PVC Etching on Paper, 560x760mm|Edition 2/2

PVCエッチングの独特なマチエールや微妙な色合いを、展覧会会場にて直接観ていただければ嬉しいです。

<展覧会情報>

表参道画廊選抜版画二人展
湊七雄+中村未来

2008年9月29日(月)-10月4日(土)
12:00-19:00

表参道画廊
〒150-0001東京都渋谷区神宮前4-17-3 アーク・アトリウムB02
TEL/FAX:03・5775・2469
http://www.omotesando-garo.com

<オープニングレセプション>
初日9月29日(月)の午後5時から7時まで

29日(月)と30日(火)は会場におります。

MO紙

2008-09-07 | Weblog
多くの版画家がそうであるように、私も紙に対して大きな関心を寄せています。
長らく私は、ゼルカルというドイツ製の高級版画用紙を使ってきました。日本では入手困難だと知っていたので、ベルギーから帰国する折には、一人では持ち上げられない程の分量をまとめ買いし、船便で持ち帰りました。
ゼルカルはとても良い紙で、重ね刷りしても安定しているし、凹版と凸版を混ぜた私の技法にはぴったりだったのです。そして、この紙が自分の技法に最も適していると思っていました。

しかし、地元文具店の経営者でアートやデザインにも造詣の深い角谷恒彦さんとの出会いが縁でMO紙を使うようになり、そうした思いは少しずつ変化して行きました。

昨年、この紙を漉いておられる沖桂司さんの工房を訪ねる機会に恵まれ、原料や紙漉の工程も見せていただきました。MO紙は越前和紙ですが、和紙と言ってもコウゾやミツマタではなく、綿や麻が原料となっていて、凛とした独特のコシがあります。

いままで私は「あのインクが一番良い!」「この紙が最良だ!」なんて言ってきましたが、最近それぞれの素材の特徴から得られるインスピレーションの重要さに気付きました。
ここ数日、特に色についての新たな発見が幾つもありました。

今月29日から始まる東京での版画展で発表する作品は全てMO紙に刷ったものです。


2008年春、金沢での個展にお越し下さった沖さん(中央)と奥様