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『マリア・テレジア』

2021年11月21日 23時54分00秒 | ハイドン
この前の日曜日、奈良まで正倉院展に行って来ました。去年同様、予約制で料金も高め。でも、館内はそれほど混雑してないのがいいですね。毎年これでお願いしたいです。今年は『伊豆国正税帳』や『山背国愛宕郡計帳』などの文書の他に、筆がいくつか出てました。また、大規模修理前の興福寺五重塔の初層の四方の三尊像の御開帳も見ました。6月に来た時に比べると、観光客もかなり戻っていました。外国人の方々もけっこういてはりましたね。

そんなことで、今回はハイドンの交響曲第48番ハ長調 『マリア・テレジア』。祝祭的な交響曲です。この愛称については諸説ありますが、この交響曲が1773年にマリア・テレジアがエステルハージ家を訪問した際の歓迎行事で演奏されたということによるそうです。確かに祝祭的な曲であります。ハイドンの交響曲は、たくさんありすぎてなかなか聴くのも大変です。この時期の曲は、まあ標題が付いていることで、親しみを感じますし、標題が聴く指標になりますよね。

それで、演奏はトレヴァー・ピノック指揮イングリッシュ・コンサート。1989年12月ロンドン、ヘンリー・ウッド・ホールでの録音。いわゆる疾風怒濤期の交響曲を19曲集めた6枚組BOXからです。ピノックのことをよく聞いたのは、1980〜90年代ですかね。今はもうイングリッシュ・コンサートからも手を引き、とんと名を聞かなくなりましたね。CDもBOXものではよく見ますし、中古やさんでもよく見かけます。安いので、過日もヘンデルの管弦楽曲のBOXを買いました。6枚組で990円でした。ハイドンのこのBOXも6枚組であります。

このBOXの19曲の交響曲のうち、標題の付いている曲は、『火事』『嘆き』『受難』『マーキュリー』『告別』『悲しみ』、そして『マリア・テレジア』の7曲。やはり、標題がついていると親しみの度合いはぐんと高くなりますね。ハイドンの全交響曲中、33曲が標題があります。さすれば、この19曲のうち7曲の標題というのは、割合は高いですね。加えて、短調の曲は全部で11曲。その中で6曲がこの19曲の中にあります。まあ、なんだかんだ言ってもこの疾風怒濤期の交響曲は、注目して聴いていくと、そのよさが実感できるのでありました。

それで、ピノックの演奏であります。これまでそれほどこの人の演奏は聴いたことがありませんでした。古楽器と言っても、以前ほど特異な印象はなくなってきました。耳が慣れたんでしょうね。そしてこのピノック、非常にオーソドックス。奇を衒ったところや、古楽器の音色をアピールしたり、その奏法を強調したり、そんな古楽器のアピール度はそれほど高くない。いわば清く、正しく、美しい古楽器演奏。イングリッシュ・コンサートの演奏は非常に清廉でスマート。これと言う欠点はまったくなく、非常にストレートに耳に入って来る。そして、何時間でも聴いていられる安定感もあります。ピノックは特段何もせず、日常的な演奏に終始しているし、イングリッシュ・コンサートもたいそう素直な音色でとてもいいです。これを聴くなら、他はもういらない、っていうほどの充実振りであります。

第1楽章、祝典ムードいっぱい。マリア・テレジア大歓迎でしょうか。とは言えピノックは適度な盛り上がり。軽快なステップで進むが、細部に至るまで綿密な演奏であるがゆえに満足度は高い。第2楽章アダージョ。弦に清新さが印象的。ゆったりとしたテンポでの優美なメロディー。時折の管楽器。ハイドンの援徐楽章、いいですねえ。第3楽章スケルツォ。イングリッシュ・コンサートは、無色透明。曲にあわせて変幻自在。まずは、安定した軽快感。そして中間部はしっとりと歌う。そして終楽章。さあみんなで一緒に終わりましょう、的なところは、まだ後の曲ほどではないが、充実した管弦楽での終曲。安定感いっぱいの演奏には、一点の曇りもない。ここまでくると、ハイドンの模範的な演奏であることを実感させてくれますねえ。

昨日から日本シリーズが始まりました。どっちが勝ってもいいや的に見ると、実におもしろいですね。冷静に見れます。2試合とも、締まったいい試合でした。第一戦のスワローズの押さえが打たれての敗戦は、どこかのチームの試合とかぶってしまいました。辛いですねえ。
(DG ARCHIV COLLECTORS 463731 2000年 輸入盤)

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