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トスカニーニの凄い「ジュピター」

2019年11月27日 23時37分29秒 | モーツァルト
先週は、とある研究会で発表しなければならず、それの準備に追われていました。最近ともに集中力と持続力がないなあ、と痛感する始末。うーん、加齢のせいにせずに頑張らんとねえ。加えて、週の初めに息子に長男が産まれました。無事産まれてくれ、と祈念しておりましたが、めでたしでありました。病院が仕事の帰り道になるので、毎日顔を見に行っていました。同時に自宅の近所に引っ越したのでちょくちょく会えるな、と思っていますが、迷惑にならないほどにしなければと思っています。

そんなこんなで、今回もモーツアルトであります。交響曲第41番ハ長調K.551『ジュピター』。ちょうど『レコード芸術』12月号の特集が「モーツアルトの三大交響曲」でした。それによると、この曲には15の演奏が紹介されているのですが、その中で、なぜか聴いてみようと思ったのが、アルトゥーロ・トスカニーニ指揮NBC響の演奏であります。第41番は、カーネギーホールでの録音。第2楽章以外は1945年の6月22日、第2楽章のみ1946年の3月11日であります。放送音源ではなく、セッション録音らしいです。まあ録音からして古く、音もそれなりです。でも、ちょうど太平洋戦争が終わる直前と直後。アメリカは本土では戦争とは無縁の生活だったんですねえ。

それでこの演奏のCD、手元には二種類あります。一枚目は、1997年に発売されたRCAからの「トスカニーニ・ベスト・セレクション」の一枚。39.40.41番と収められているもの。二枚目はオーパス蔵の復刻CD。原盤はアメリカRCAのSP盤らしいです。RCA盤は発売されてすぐに買ったので、もう20年以上も前のもの。買ったときに、鮮烈で鋭い音が鳴り引き、少々乾いたようで、またキンキンした響きが耳に突き刺さるようそれがかえって、トスカニーニの凄絶な演奏として、たいそう印象深いものでした。そして、オーパス蔵ですが、復刻に用いたのは、アメリカのRCA盤のSP。この復刻は、RCA盤と比べると、非常に丸るく柔かい音です。鮮明さは少々つらいところがありますが、加えて、低音が充実しており、それによってたいそう聴きやすく、まろやかになりそのため、この復刻を聴くと、トスカニーニの演奏の印象までも大きく変わってしまうようですねえ。それほど、鮮烈で激しい印象は受けないのでありました。ちなみにこの復刻に用いたSP盤は、アメリカの中古やさんで発見したものとか、であります。

そんなことで、これまでの演奏とは異なる印象を与えてくれたオーパス盤です。これまで元気がはち切れるばかりで壮絶というところでした。しかし、そこまでではなく、落ち着いた演奏であり、そこには聴けば聴くほど模範的であり、かつ完璧な演奏がここに聴ける、そんな印象となっていきました。少々テンポは速めで、すみずみまで気配りや配慮が行き届いており、完全無欠とでも言いたくなるような演奏が浮かび上がってきたのでありました。やはり、トスカニーニって指揮者って本当に凄かったのですねえ。

まず、第1楽章、冒頭からジュピターに相応しい威容を感じる、壮大な表情。それと同時に時折の柔和な表情も見せながら、それの対比で、まずまずスケールの大きい表現がとても快感であります。といっても、そんな感想などはどうでもいいような演奏であり、ずんずんと前へ押し出す推進力はやはりすごい。第2楽章、一転して優しげな表情が全体を覆う。しかし、速めに音楽は進み、隙はまったく感じれず、その中でいろんな表情が現されているところは立派であります。第3楽章メヌエット。ここでも壮絶さというよりも、振幅の大きな演奏。メヌエットの優美さはないが、激しい中に筋が通っており、聴く方も気落ちが高まって行く。そして、第四楽章。はやりジュピターはこの楽章ですねえ。しかし、トスカニーニもこの楽章に入ると同時にギアをあげたよう。一層の完璧さが見いだせる。細部に至るまで気持ちの籠もった演奏であり、フーガについても、明快で堂々、見上げるような威容こそトスカニーニのジュピターでありましょう。

更新が水曜日になってしまいました。先週末のことが原因ですが、それで三日遅れました。年末にむけて、また遅れを取り戻そうと思っています。
(オーパス蔵 OPK-2045 2003年) 

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4 コメント

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Unknown (クレモナ)
2019-12-01 16:43:15
お孫さんが、無事、生まれたとのことですが、楽しみが、一つ増えましたね。音楽を聴く時間が、少なくならないかと、少し、心配です。
さて、今回は、トスカニーニの「ジュピター」ですか。ほぼ同時代(トスカニーニの方が、20歳年上)に活躍した、フルトヴェングラーに比べ、日本で、あまり高い評価が高くないのは、即物的な演奏も原因ですが、やはり、録音の質によるものも、大きいと、思います。フルトヴェングラーの、もやもやした、霧の中にいるような演奏が、芸術的と評価されたのでしょうね。昔、LPで聴いた、セルの演奏も、キンキンした音で、当時は、廉価盤発売が、多かったように、思います。トスカニーニの演奏も、今回の復刻盤のように、音質改善?を行えば、聴き易くなり、評価も変わってくると、思います。日本が、戦争に突き進んでいってる頃、アメリカでは、モーツァルトや、ベートーヴェンの交響曲を、悠々と録音していたのですね。物量的に圧倒的な差があり、戦況を、完全に読み切っていたアメリカにとって、もはや、勝ち負けなど、論外といったところでしょうか。戦争など、絶対、すべきではないです。当たり前のことですがね!
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コメント感謝です。 (mikotomochi58)
2019-12-04 15:24:20
クレモナ 様、コメントありがとうございます。ご指摘のとおり、近年のSACDや板起こし盤の登場で、これまでの名盤も、ずいぶん音質が向上して聴くことができるようになりました。セルやワルターは、SONYとタワーさんのコラボによるSACD化が進み、これまでの印象を一新するようですね。フルトヴェングラーも同様です。しかし、トスカニーニはほとんどSACD化は進んでおらす、板起こしも他ほどないかな(オーパス蔵にはそれなりに出ていますが)、という状況ですね。ここでも、トスカニーニの人気がない現状がわかりますねえ。なかなか微妙なことであります。逆に、高音質化となれば、人気も出てくるかと思いますが、どれだけ可能か…、ってとこでしょうか。しかし、孫はかわいいですね、ほんと。またご教示ください。
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Unknown (七味とうがらし)
2019-12-04 20:12:31
ご無沙汰しているうちに師走となってしまいました。
当地もそろそろ雪の気配。師走かぁ~、などと言っているうちに大掃除をせねば、となりそうです。
トスカニーニのジュピター、記事にもあったRCA盤で持っています。初めて聴いたときは衝撃を受けました。なかでも40番の自在闊達な演奏は七味の中でベストの演奏となっています。このRCA盤は無人島に持っていきたい1枚の一つです。ジュピターの推進力も並みではなく、好きな演奏です。
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コメントありがとうございます。 (mikotomochi58)
2019-12-06 12:29:21
七味とうがらし 様、コメント感謝です。ほんとに一年は速いです。あっという間の師走ですね。おっくうですが、大掃除も…、であります。RCA盤は、39-41番と三曲が収められているので、41番までたどり着く前に、中座したりすることが多いので、今回はあえて41番を取り上げました。39、40番も41番同様にすごい演奏ですね。またご教示ください。
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