□シンガー・ソングライター植村花菜さん
■「べっぴんさんになれるんや」 ワクワクして毎日掃除しました。
今年1月、大阪のFM局でちょっと変わった曲が流れた。『トイレにはそれはキレイな女神様がいて、毎日キレイにしたら女神様みたいにべっぴんさんになれる』。タイトルは「トイレの神様」。亡き祖母との思い出を一編の物語のように綴った曲だった。局には問い合わせが殺到し、同曲を収めたミニアルバムは15万枚を超えるヒットに。「この曲はおばあちゃんからのプレゼント」とはにかむ話題の歌姫に、これまでの道のりを振り返ってもらった。(聞き手 伐栗恵子)
--おばあさんと暮らすようになったきっかけは
植村 もともとは母と3人の姉兄と私の5人家族で、同じ敷地内の隣に(母方の)祖父と祖母が住んでいました。祖父が亡くなり、祖母が1人でかわいそうだからと、2番目の姉の提案で一番のおばあちゃん子だった私が一緒に暮らすことになって。小学3年生のときでした。
--突飛な提案にも思えますが、素直に受け入れられましたか?
植村 あまり覚えていないのですが、たぶん深く考えずに「うん、わかった」と言っていたのでは(笑)。おばあちゃんは私の心の拠り所でしたから。姉に泣かされたり困ったことがあったりしたら、いつも慰めてもらっていました。
--「トイレの神様」の歌詞には2人の暮らしぶりが具体的なエピソードで綴られていますが、実話ですか
植村 すべて本当の話です。毎日五目並べを一緒にして、毎週土曜日の楽しみだった吉本新喜劇のビデオ録画を失敗したときにはおばあちゃんを泣いて責め、大阪に買い物に行った帰りには一緒に「鴨なんば」を食べました。だから最初は、こんな個人的なことを歌にしていいのかなと思いました。
--曲のサビで繰り返し登場するトイレの女神様のことを知った経緯を教えてください
植村 私の夢は「気立てのいいお嫁さん」になること。吉本新喜劇でマドンナ役だった中西喜美恵さんが劇中で言われていた台詞の響きがすごく残っていて(笑)。そのために熱心にお手伝いをしましたが、トイレ掃除だけは嫌でした。ある日、おばあちゃんが「花菜、あのな」と女神様のことを教えてくれました。「トイレ掃除をしたらべっぴんさんになれるんや」と思ったら、全然嫌じゃなくなった。ワクワクして毎日、家のトイレを掃除しました。学校のトイレも(笑)
--トイレにまつわるその話、母親や祖母から聞かされた女性は私を含めて結構多いんだと思います。でも、実践し続けるのは難しい
植村 私、ものすごい単純なんです。きれいでやさしい女神様を想像して、そうなれるのならと。今も家のトイレはピカピカです。(べっぴんさんの)効果はちょっとわかりませんが(笑)。結局、1つのことを信じてずっと続ける気持ちを、おばあちゃんに教わった気がします。
◇
【プロフィル】植村花菜
うえむら・かな シンガー・ソングライター。昭和58年1月生まれ。兵庫県川西市出身。高校卒業後、音楽の専門学校へ進む。大阪・ミナミでストリート活動中に声をかけられて出場したオーディションでグランプリに輝き、平成17年5月にシングル「大切な人」でメジャーデビューを果たした。今年3月にリリースしたミニアルバム「わたしのかけらたち」の収録曲「トイレの神様」が話題になり、同名の書籍も増刷を重ねている。今月21日から初の全国ワンマンライブツアーを開催する。
■「べっぴんさんになれるんや」 ワクワクして毎日掃除しました。
今年1月、大阪のFM局でちょっと変わった曲が流れた。『トイレにはそれはキレイな女神様がいて、毎日キレイにしたら女神様みたいにべっぴんさんになれる』。タイトルは「トイレの神様」。亡き祖母との思い出を一編の物語のように綴った曲だった。局には問い合わせが殺到し、同曲を収めたミニアルバムは15万枚を超えるヒットに。「この曲はおばあちゃんからのプレゼント」とはにかむ話題の歌姫に、これまでの道のりを振り返ってもらった。(聞き手 伐栗恵子)
--おばあさんと暮らすようになったきっかけは
植村 もともとは母と3人の姉兄と私の5人家族で、同じ敷地内の隣に(母方の)祖父と祖母が住んでいました。祖父が亡くなり、祖母が1人でかわいそうだからと、2番目の姉の提案で一番のおばあちゃん子だった私が一緒に暮らすことになって。小学3年生のときでした。
--突飛な提案にも思えますが、素直に受け入れられましたか?
植村 あまり覚えていないのですが、たぶん深く考えずに「うん、わかった」と言っていたのでは(笑)。おばあちゃんは私の心の拠り所でしたから。姉に泣かされたり困ったことがあったりしたら、いつも慰めてもらっていました。
--「トイレの神様」の歌詞には2人の暮らしぶりが具体的なエピソードで綴られていますが、実話ですか
植村 すべて本当の話です。毎日五目並べを一緒にして、毎週土曜日の楽しみだった吉本新喜劇のビデオ録画を失敗したときにはおばあちゃんを泣いて責め、大阪に買い物に行った帰りには一緒に「鴨なんば」を食べました。だから最初は、こんな個人的なことを歌にしていいのかなと思いました。
--曲のサビで繰り返し登場するトイレの女神様のことを知った経緯を教えてください
植村 私の夢は「気立てのいいお嫁さん」になること。吉本新喜劇でマドンナ役だった中西喜美恵さんが劇中で言われていた台詞の響きがすごく残っていて(笑)。そのために熱心にお手伝いをしましたが、トイレ掃除だけは嫌でした。ある日、おばあちゃんが「花菜、あのな」と女神様のことを教えてくれました。「トイレ掃除をしたらべっぴんさんになれるんや」と思ったら、全然嫌じゃなくなった。ワクワクして毎日、家のトイレを掃除しました。学校のトイレも(笑)
--トイレにまつわるその話、母親や祖母から聞かされた女性は私を含めて結構多いんだと思います。でも、実践し続けるのは難しい
植村 私、ものすごい単純なんです。きれいでやさしい女神様を想像して、そうなれるのならと。今も家のトイレはピカピカです。(べっぴんさんの)効果はちょっとわかりませんが(笑)。結局、1つのことを信じてずっと続ける気持ちを、おばあちゃんに教わった気がします。
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【プロフィル】植村花菜
うえむら・かな シンガー・ソングライター。昭和58年1月生まれ。兵庫県川西市出身。高校卒業後、音楽の専門学校へ進む。大阪・ミナミでストリート活動中に声をかけられて出場したオーディションでグランプリに輝き、平成17年5月にシングル「大切な人」でメジャーデビューを果たした。今年3月にリリースしたミニアルバム「わたしのかけらたち」の収録曲「トイレの神様」が話題になり、同名の書籍も増刷を重ねている。今月21日から初の全国ワンマンライブツアーを開催する。