以前見逃していた、マイクロファイナンス・インターナショナルの栃迫篤昌(とちさこあつまさ)さんのチャレンジを先日のETV特集で見ることができました。
メキシコをはじめ南米での日本の銀行員時代、銀行が相手にするのは富裕層や国の政府でした。
現地の貧困の現実に触れながら、貧困から抜け出せない人たちにチャンスを与えるのが金融の役割だという思いを抱き、日本の銀行を辞め、私財をなげうってアメリカに渡り、主にアメリカで低賃金の出稼ぎ労働者となった人が、母国の銀行口座を持っていない家族にも安く送金できるシステムを作りました。
新たに国境を超えたマイクロファイナンス(小規模融資)の仕組みも持ち、その日暮らしから抜け出せない人々に生活資金や商売の元手を融資することも始めています。
「モノが無いのは生きていけるが、希望が無いと人間は生きていけない」
エルサルバドルの道になっていない道を歩きながら、加えて、「誰かの生活にチャンスをあげられるのが金融」と語る栃迫さんの姿やたちはだかるさまざまな壁を前にしながら浮かべる笑みには決意がにじみ出ていました。
2008年秋以降の世界的な景気後退から出稼ぎ労働者の仕事は軒並み減り、本国に帰る資金すらない状態の人も少なくないうえ、融資が返済されず「不良債権」として処理する場合も多々あるよう。
現場のマネージャーには、どんな状況になってもお客様とのコミュニケーションを取ることや、返済ができなくなりそうな時には、事前に相談に乗ることをしっかりと伝えてほしいと話していました。
どこまでも栃迫さんが信じて見ているのは、人なのです。
これまで銀行が独占してきた送金事業。
日本でも自由化により銀行以外の参入が可能となりました。
グローバル化により地球上でこれだけ人が動く時代に、これまで個人レベルの現金の移動がなかなか簡単ではなく、手数料も高かったわけですが、今後はインターネットを活用し、24時間、多言語化、短時間で送金確認、高いセキュリティもクリアした大規模なシステムが間もなくスタートするようです。
そうしたシステムはもちろん必要不可欠なこと。栃迫さんの描いているビジョンは、それをさらに一歩進めて貧困の中で暮らす人たちの希望を作り出すこと。
未来を創る仕事ってこういうことなんだなと思います。
予測をしていたら、とてもじゃないけど、踏み出せない仕事です。
血液となる金融めざして奮闘している姿には心打たれました。
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