おとなりカフェ

『ウェブ人間論』


梅田望夫・平野啓一郎著、新潮新書、2006.12刊

ひと言で言えば、ひじょうに興味深く読めた本でした。
梅田望夫氏の、日々進化し続けるウェブ世界での一貫して前向きなサバイバルの作法には、感服するばかりでした。

インターネットの出現によって社会構造が相当速い速度で変化しているという見解には、誰も異論を唱える人はいないでしょう。
しかしその変化著しい社会への対峙のしかたが人によって違い、その典型的な人物像を梅田氏と平野氏が、それぞれご自分を通して語っています。

平野氏のウェブへの対峙のしかたは、多くの日本人が共感しているのではないかと思うけれど、少なくとも私はとても近い。
あくまでもリアル社会にいる人間としての個があって、その個がインターネットを最大限活用しながら、よき社会に向かうために何ができるのかを考え続けています。
というのも、インターネットがウェブ状にとりまく社会では、常に思いがけないリスクとも付き合わなければならず、よき方向への選択ができているのかどうか見えにくいことが多くなったように感じるからでしょう。
彼の思索はとてつもなく深く、私の共感がいやおうなくぐいっと引き出されます。

梅田氏のように、テクノロジーが人間に変容を迫っているときにすっとその波に乗り、サバイバルできたらどんなにいいだろうと思う。
彼は、ご自身が「ウェブの世界にも住んで活動している」と表現していますが、ある人にとって、リアル社会が必ずしも居心地がいいとは限らない場合には、ウェブの中にコミュニティを持つ、あるいは参加することで居心地のよい場所が選択できるなら、それは幸いなことであると、常に肯定的です。

ものごとを肯定的に眺めることは、そのよき面をどんどん発見する原動力となります。
変化著しい社会の様相をこんなふうに捉えると見えてくるものがあるという、一つの大きなヒントが与えられる価値ある一冊です。
新書なので読みやすいですし。



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