美津乃あわプロデュース
『セイムタイム・ネクストイヤー 』
原作/バーナード・スレイド
演出/美津乃あわ
出演/田村K-1 美津乃あわ
2022年1月12〜16日
上本町ファントマスタジオにて
夢のような日々でした。
終えた今、その一言に尽きます。
きっとここには書ききれない程の色々が詰まった期間。
ふとログを見返してみると、2021年6月2日に田村K-1氏に相手役のオファーをしたのが始まりでした。
元々私の中でフンワリ浮かんでいた企画で、とにかく会話劇を全うしたい、自分の会話劇のスキルを知りたい、と。
同時に、それに付き合ってくれる気前のいい俳優さんなんているかなー、とも。
とにかく私はワガママだしフリーダムだし、やるからには演出もしたいし、自分の企画ともなるとそれが炸裂して誰もついて来てくれなくなるだろなと漠然と考えていました。
とある日、劇団時代の後輩である田村K-1氏の外部出演の公演を観に行きました。
劇団時代から制作ポジションで私の直属にいてくれてたり、その後も座長だった伊藤えん魔氏の公演【伊藤えん魔プロデュース】にもよく一緒したりで彼とは長年仲良くしていました。
で、関西に来ているタイミングも合ったので何気なしに、でもまあ楽しみに観に行きました。
見終えたとき、一つの思いが過ぎりました。
「ん?今まで後輩すぎて気づかなかったけれど、なんか良い役者さんだわ。でも、なんか惜しいなぁ」
その後、彼を役者としてもっとなんとかしたいなぁと日々ボンヤリ考えていました。
とてもとても上から目線で恐縮ですが。
そこで先の考えと合致したが最後、私の指は即田村(普段“田村”と敬愛を込めて呼び捨てています)宛てにLINEを打っていました。
その時の私のオファーの仕方がコレ↓

何ともラフな。。。
その後田村から即電話がかかって来て
「えっと、キャストですか?」
自分がキャストに選ばれるはずも無くスタッフで参加するものではと疑問が浮かんだ、誠に田村らしい返しでした。
のちにすぐ快諾してくれて、全てが回り始めました。
そこから日程やスタッフ、そして脚本を決め、台本を入手しました。
ここでもまたひと山ふた山ありましたが、そこは割愛します。
スタッフに関しては、とにかく私が気兼ねなく作品作りが出来るよう、気心知れた仲間に集まって欲しかった。
かれこれ三十二年もお世話になっているえん魔さん、そのえん魔さん所有のスタジオで、えん魔さんの音響。
制作には三十八年来の友人の姫野さん。
三十一年も付き合いのあるザッキーの照明。
そんな長い付き合いのメンバー。
何なら田村は知り合って二十四年らしいので、一番ペーペーの模様。はは。
お稽古は私が東京在住の為に半年前から毎月一週間ずつ時間をかけて。
とにかく難しい脚本だったので、時間をかけて深く深く掘り下げて向き合いました。
田村は私の何百倍も慎重なので、鬼のように時間をかけて取り組んでいました。その分、時間に比例したたくさんの結果を出してくれました。
演技はもちろん、衣装も小道具も音楽も舞台美術も、何もかも恐ろしいまでにこだわりの強すぎる私の演出と、納得しないと絶対に答えが出ない田村との攻防は延々続きました。
毎日のように笑わせてくれるし、
毎日怒り、
毎日揉めていました。
私には、完成そして成功のクッキリとしたビジョンがずっと目の中にあったので、近道遠回りを繰り返しこだわりを決して緩めませんでした。
後輩だからと無理をして合わせてくれている部分と、コレを譲ると全て出来なくなる部分と。ずいぶんと苦労させたように思います。
でもひとつのこれだけ濃厚濃密な作品を成功させるには、今思えば良い現場だった様な気がします。
そんなこんなでようやく完成が見え隠れして、スタッフと合流し、劇場と化したスタジオで本番を迎えます。
ここでも、田村をはじめえん魔さんもザッキーも姫野も、愛する仲間の特化した能力を最大限に頂戴して私のビジョンを作り上げてもらいました。
私の人選の目に狂いはなく、最高の布陣でした。
実際特化していないのは私だけでしたね。はは。
本番に入ってからは、作品はもう私の手から離れ、メンバーのもの、お客様のものになりました。
時期的に苦戦していた動員があれよあれよという間に伸び、毎日たくさんのお客様に観てもらうことが出来ました。
作品の評判も良く、田村の評判も良く、有難い感想をたくさんいただきました。
そしてスタッフは常に暖かくてフルパワー。
全てが私のずっと抱いていたビジョンと相違なく合致しました。
長年舞台に関わっていて、自分の現場でこんな充実した時間を過ごせる、こんな幸せなことってありますか。
我ながら幸運持ってるなあと。
とある日、本番が重なって観に来ることが出来ない役者仲間の延命さんから田村にこんなメッセージが届きました。
「再演希望」
そんな選択肢があったんだ。
「再演したいね」
「そうですね」
「出来るかしら」
「やりましょう」
田村と二人で煙草を燻らせながらこんな会話をしました。
スタッフに話すと皆さんノリノリ。
有難すぎる。
そうか、千秋楽が終わってしまったらそれで終わりじゃ無いんだ。
そう思うとロスにもならず、どんどん前に進めます。
原作のバーナード・スレイドさん、よくまあこんなに難しくて素晴らしい脚本を生み出して私に巡り合わせてくれました。
不朽の名作、次はいつかまだわかりませんがもう少し関わらせていただきます。
この作品に関わった全ての愛しい方々に心からの感謝を。
本当にありがとうございました。
美津乃あわプロデュース
田村K-1 vs 美津乃あわ 二人芝居
『セイムタイム・ネクストイヤー 』
2022年1月版、ここに終焉いたします。
次の始まりに向けて。
📷山田徳春(500G Inc. )
稲田大樹(500G Inc. )