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めるつばうのおもうこと

めるつはミーム機械としてばうを目指します。

『どこからいっても遠い町』

2009-10-29 10:40:14 | book
川上弘美。このひとの作品は点のうちがたに特徴がある
とおもう。それとひらがながおおいかな。
そのあたりのリズム感というか間延び感がわたしは好き。

商店街の魚屋さんを中心にその周辺で起こる物語がつづ
られている。ドラマティックであるかといえばそんなこ
ともなく、しかし日常の中にある異端なというか異質と
いうか、飲み込むことの出来ない”なにか”がありそれ
をこそりと描き出している。

そんな中、最後のお話で「ゆるく巻くかたつむりの殻」
は最初に戻っていくような感覚を覚えるけれど、それ
以上に記憶の中の人間の自我という、まあイーガンばり
の内容になっているとおもってしまった。
一人称でかたられているけれどその本人は自分が他者の
記憶層の中の存在であることを認識している。「順列都市」?
”うわーこわいなぁ”とおもった。自分が物理的に存在
していないことを認識するということ。
その上に、多重化されていることまでもわかっている。
旦那さんと愛人の二人の記憶から生成された自分。
それを拡大していくと世界中のひとの記憶によって現在の
じぶんがあることを自覚している。
でもそんなことはあんまりどうでもいい感じでのんびり
とした口調で語られていく。しかも最後には新しい経験
ができなくなったとまで言う。
うん、やっぱりこわい。


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