奇想ということばがあるけれど、この作品にはそんな言葉が似合う。
月と地球の関係を一変させるイメージ。
しかも、重力の拮抗点から地球上から月へと行き、帰ってくるという
とてもとても私の中で解ってしまうイメージ。
それはいつも見る空を飛ぶ夢を現実化したような感覚。
この世界に私はいつでも滑り込める。
そう、月って美味しいんだよ。 . . . 本文を読む
手というもの。エロティックであったり、表情豊かであったり、面白いものだ。
しかし、ここまでその主人を無視して個として屹立する手というのは
なかなか無いような気がする。
恥ずかしげに赤くなったり、ひらひらと動いてみたり。
スタージョン自身”手”のフェチはいっているんじゃ?と思ってしまった。
手一つでこれだけのバリエーションが書けるとは思いも寄らなかった。
オチはオチとして面白いし、主人公がそれ . . . 本文を読む
これは、オッデッセイアなのだろう。
旅路の果ての果て。
しかし、最初に出現する”ヤチマ”は確かにポリスの市民であるが
人間=生物由来の知性ではない。ここがとても引っかかる。
そう言う意味では最初のヤチマが自我を獲得するに至る部分は重要だし
この小説の中で一番面白いところかも知れない。
ただ、私にとって肉体を持たない知性は自我があると言えるのか?という
疑問に答えることが出来ない。感覚的にはNO . . . 本文を読む
今、我が家のTVの上には人形が睨み合っている。
かたや、新参者のsuicaペンギン。
お腹のぷっくり具合がとてもかわいい。
一方、「やまね工房」のやまね。手足がないのだけれど
まんまるで、とても愛らしい。
毎朝さいじるので、ちょこっとずつ体勢が変わる。
勝負はつくのだろうか。なけなしの緊張感が漂っているのだった。
. . . 本文を読む
まさか。まさか。
ファーストコンタクトで発見された、藻のような生物が
ポリスと同じタイプの造物だったというのは驚愕!!
ワンのタイル、原始的チューリングマシンという発想は
まったくの予想外。
探査を続けていったら自己に到達したような感じ。
やられました。まいりました。 . . . 本文を読む
「順列都市」「ボーダー・ガード」でなかなか読み切れなくて
イメージが結像しなくて苦しんでいたことを思い出した。
やはり、量子力学は最大の難関と言えるだろう。
最初の意識の発生・自我の獲得部分はなんとか乗り越えたのだけど
ワームホールを造るために出てくるまだ存在しない理論はもうさっぱり。
以前「タイムマシンを作ろう!」で私はとても長いヒモをぶんぶんと回すと
出来るというあたりで挫折した。
さて、 . . . 本文を読む
なぜ自死してはいけないのか。
なぜ、他人を殺してはいけないのか。
人の命は等しく大切なんて事はないのに。
虚数時間から出現したこの宇宙。
また、虚へと還る事が約束されているのに。
マルチユニバースのように多重化された
意識の干渉波で出来た格子縞でしかない自分を
いくら考えても実存性が無い。
存在してもしなくても質量に変化はない。
生きることに目的はない。
いくら欲してもこの肌以上にあなたを受け . . . 本文を読む
通勤電車が多摩川を渡るときにはるか丹沢から富士、
うまくいけば、奥多摩までを見渡すことが出来る
先日の雪。
いつも、ここを通るときには本から目を上げて
景色を見る。
丹沢の山肌には雪がついている。山頂は白い。
行きたい。あの場所へ行きたい。
そういう衝動に駆られる。
あの高さが欲しい。
最後のカーブに差し掛かるときが
一番富士がきちんと見える。
そして、山は姿を消す。
そして私は本へと目を落 . . . 本文を読む
惹句に惹かれて読んでしまった。
惹句には「松浦・笙野絶賛」・・・。
馴染みにくかった。世界が伸び縮みする。
12の部屋は12の世界で、屹立する灯台はペニス?
そのすべてを飲み込むのは女性であり、無数の膣をもつ。
炬燵があるような四畳半のようでいて、民が移動するほどの
広さを持つ部屋たち。
”ヨ定”されたすべて。
”物語”により規定された人。
だがしかし、マルチユニバースだってあろう?と思うけれど . . . 本文を読む
夢枕獏/岡野玲子
夢枕はあんまり好きな作家じゃない。
伝奇もの?というのが売り?かな??
しかし「神々の頂」は凄いと思った。森田勝この登山家を
モチーフに書かれていることはか間違いないだろう。
あまりに孤高。あまりに凄絶。そして、あまりに知られていない。
そんな登山家だ。
岡野玲子はその特異なセンスで注目していた。
この二人が組むとは思いもしなかった。
マンガはおそらく原作を越えている。
途中で . . . 本文を読む
今日から正式な展覧会オープンだが、昨日内覧会の招待状をもらい見に行った。
黒の深さ。生物を描きながらも無機的である。
それは昇華され、ひとつの版画の中に収まったとき、固定化していくからだろうか。
まるで化石のような。しかし、その中で、画面のなかで黒だけが息づいている。
ひっそりと。しかし確かに。
ジャイロスコープのピンと張った直線が画面を分ける。
その線の緊張感すらも無機化して還元されていく。
. . . 本文を読む
行きたくなった。町田だからそれほど遠くない。
白洲次郎・正子が住んでいたという、この家は
白洲次郎の矜持なのだろう。あえてこの地。
町田はなかなか行くことがない。
丹沢へ行くときの通過する程度。
でも一度は立ち寄ってみたい。
まあなんと言っても白州次郎がかっこいいから。 . . . 本文を読む