石田衣良。この人の小説も初めて読んだ。
二十歳の大学生がセックスを売ると言う話。
愛欲ドロドロかというとそんなことはなく、淡々と話が進む。
最初の場面と終章間際が繋がってくるとは思わなかったが
この話がどこかもの悲しいのは、主人公の立ち位置か。
誰にでもおそらくあるのだろう、自分はここではないという感覚。
本来の居場所はここではない。
だからといって希求する場所がどこであるかは解らない。
だから . . . 本文を読む
今更ながらに、「インストール」を読んだ。
なんだか巨大ロボットに乗り込むみたい。
”合体!!インストールゥゥゥウゥゥ”
※ルゥはフラ語のR発音でお願いします。ほんとはLだけど。
本編とは全く関係ないけれど、こんな感じがして
たまらない。
チャットというものはほんの少ししかしたことがない。
すでに会ったことのある人と暇なときにお話しするくらい。
しかし、文字という世界で進めていくコミュニケーション . . . 本文を読む
イヴ・エンスラー。これはブロードウェイでも上演され話題になった演劇だ。
”ヴァギナ”人はその名前を口にするということをしない。
しかしながら確かに自分の中にあり、それは自分自身であり、それ以外の
何者でもない。そう言った意味でのこの物語は、挑戦的でもあり復権的でもある。
女性ならば必ずと言っていいくらい通らねばならない生理のことや、性器それ自体に
にまつわる意識の問題を現代という時代はひた隠してい . . . 本文を読む
私の疑問。私は私であるのか。
ゲーデルの定理は自己言及に当たり否定も肯定も出来ないと言う限界を示す。
それでも、私は私なのだという感覚は、無矛盾の理論を積み上げて出来ることではない。
その上位の精神があって初めて私は私であると認めることが出来る。
そして、AI。
AIは人間が積み上げた理論の上にしかない。したがってゲーデルが示した限界点を
必ず持ってしまう。ということは”我思う故に我あり”と言える . . . 本文を読む
某所にも書いたがゲーデルをここ数年なんとか理解しようとして挫折している。
私が面白いと思うのは、
第1不完全性定理は「いかなる論理体系において、その論理体系によって作られる論理式のなかには、証明する事も反証することもできないものが存在する。」
第2不完全性定理は「いかなる論理体系でも無矛盾であるとき、その無矛盾性をその体系の公理系だけでは証明できない」
拡大解釈していけば、自己言及のパラドッ . . . 本文を読む
今までもHPはいくつか作ったことがある。
ただし、ごく狭い世界にしか公開しないタイプのもの。
今年初めて継続的にHPを作った。
でも、不特定多数の人に来てもらうためではない。
したがってほとんど私のサイトには人が来ない。
今回blogも作ってみた。この技術も4年ほど前から注目はしていた。
やったのは初めて。
ここで数人の人と知り合えた。なかなか楽しい体験をした。
みなさん、ありがとうございま . . . 本文を読む
瀬名秀明。2日ほどで読めた。以下ネタバレあるのでご注意ください。
デカルトのフランシーヌ人形、トランクなどと細部は、うむうむと思ってしまった。
まず、AIというもの、そしてその定義。
それはそのまま、私というものが「私」という自我によって動いている
と考えるのであれば、それはいったい何?といい疑問にも繋がってくる。
私が私について思うことは自意識なのかそれともプログラムとしてそう考えるよう
作 . . . 本文を読む
サンドラール作。この作家68歳の作品。あまりに精力的な。
主人公テレーズは70歳にして男あさりをやめない豪傑と言っていいだろう。
淫猥な言葉が迸る中にシュルレアリスムをかいま見せる。
何かというと、『黴毒め』という言葉が吐かれる。これが頭に中に
リフレインする。ある意味ではポルノちっくだろうが、内容は的には
ポルノではない。そういった淫猥な表現を借りた、冒険譚なのである。
それは世界の中心たるパリ . . . 本文を読む
曼陀羅の本を何冊か読んでいる。
曼陀羅というと密教系のものが有名だが、
ずいぶんと以前、砂で描かれたものを見たことがある。
たしかチベットの僧侶達が作った物で、作り終えると
壊してしまう。
そして、この曼陀羅というもの。円が重要なファクターになる。
円。最多の多面体。それに内接する円。その繋がり。数学的な
基礎があればもっと面白いことが解るのではないだろうか。
円には指向性がない。総てを向いている . . . 本文を読む
クラインブルーや人体測定、などが有名だけれど
私はこの空中へ飛び出すパフォーマンスが好きだ。
クライン自身34歳の若さで亡くなっているせいか
この空中への飛翔は私にはどうしても落下していく
ようには見えない。
私のメインサイトのTOPをmerzbauからクラインに
変更したが、さてあの青の秘密は解き明かされるだろうか。
. . . 本文を読む
東岡崎という所へ行ってきた。
どうやら徳川家康生誕の地らしい。
城があるが、当然最近作ったコンクリート製。
気がそがれたし、なによりも周辺の樹木や猫を見ていた方が
楽しいので、昇らなかった。
しかし、この城があと百年も経つと郷愁を誘うような風情になるのだろうか?
横浜にある明治期の煉瓦造りの建物は郷愁を感じる。
とあるところで見た、銃撃を受けた変電所のコンクリート製の建物を見たが
これにも郷愁を感 . . . 本文を読む
絲山秋子。川端康成賞をとったものという部分で読んでみた。
ある男が好きになる。男でなくてもよい、好きになるということ。
好きだからいろいろつるんで、でも身体の関係はなくて、
それでも好きだから、つかず離れずの状態が何年も続く。
簡単に言えば腐れ縁。もちろんその一言では片づかない。
好きだからいたい。その”いたい”という感情は独占したい
と言うわけではなく、だからといって手放しでどうでも言い訳じゃな . . . 本文を読む
江戸東京博物館は初めて行った。両国なんて全く縁がない場所。
日本画というものもあんまり見ない。横浜美術館の「東山魁夷」
はとてもよかったが。
まず、展示内容が少ないのでとても驚いた。コストパフォーマンス
がとっても疑問。
「印度沙羅」の少女の身体の流れる線が気に入った。
「使徒所行賛」を観るとこの人は男性を描くのが適していると思う。
中央にリスがいたのが気に入ったが、主役ではない。
「草の実」 . . . 本文を読む
ジョン・エバレット・ミレーの「優しき目は常に変わらず」は
目の虹彩のきれいさに惹かれた。この作家の「オフィーリア」は有名。
だが説明的すぎてあまり好きじゃない。
ただ、映画の「めぐりあう時間たち」でニコール・キッドマン演じる
バージニア・ウルフが入水するところはこの絵のそっくりに見えた。
クールベの「峡谷の川」は日本の奥深い谷を思わせる。
黒部の谷底や、それなりに急峻な渓谷が感じ取れる。
ただ、 . . . 本文を読む
前回のトリエンナーレを観ていないので比較が出来ないが、
それなりに楽しめた。
気に入ったのがソイ・プロジェクトの”おっぱいクッション”の部屋
うわーダイブ!
埋もれて起きあがるのが大変だった。
映像ものがとても多く、すこしいらついてしまった。なぜなら先へ進めないからだ。
一定時間を”拘束する”映像という表現方法はいったいどうなんだろう?と
疑問を感じた。私の感覚や都合を無視して一方的に奪われる時 . . . 本文を読む