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ラプラスの魔女

2015-06-07 23:52:09 | みさきゴト

東野圭吾さんの「ラプラスの魔女」を読みました!

図書館に行ったら平然と棚にあって・・・。
なぜ東野さんの最新作がこんなところに!?と驚きつつ
秒速で手に取りました。
普通、東野さんレベルなら「予約待ち半年」とかで
書架に戻る瞬間もないだろうに。

この分厚さ(452ページ)のわりに6日間で読めたのは
私にしては早い方です。

読み終わって
「これは何小説と言えばいいんだろう?」と特設サイトを覗いてみたら、
“空想科学ミステリ”とありました。うん、なるほど。
科学出てくるけどSFだし、
推理っぽさは今回そんなに前面に出てないけど
まあ刑事も出てくるし。

なかなか登場人物やエピソードが多くて、
「後々、こことどこかが繋がるんだろうな」と思ってたら
全然関係なかったりと肩すかしもありましたが(爆)
(武尾さんがニューヨークまで荷物を運んだのと、
千佐都が働いてたお店の黒服・矢口が
名古屋まで荷物を運んだってやつ、それから闇サイト、
なにか関係があるのかと思ったらそうでもなかった^^;)

謳い文句は
「これまでの私の小説をぶっ壊してみたかった」とのこと。
あちこちのネットのレビューでも書かれてますが、
ぶっ壊すというよりは、
これまでの東野さんのいろんな要素が組み込まれた
“集大成”って感じです。
「科学」「知能」「医療」「脳」
「自然」「環境」「災害」「家族」etc
超さり気なく「スノボ」や「アーチェリー」「日本橋」も出てきます。

事故に巻き込まれた人に脳の手術をするのは『変身』っぽく、
旅館が出てくるのは『真夏の方程式』、
化学物質の硫化水素ってのがキーワードなもんで、
『ガリレオ』の湯川先生が出てくるんじゃないかと期待しちゃったり、
ある事故が起きて、
それに関係するブログが出てくるのは『麒麟の翼』を思い出し、
若き天才が研究所で暮らすような生活をしている設定は
まるで『プラチナデータ』の神楽や蓼科兄妹のよう。
(理数系の研究所と知能、天才、ゆえの苦悩や葛藤、
学会に発表するしない問題、人体実験など、
アルジャーノンに通ずる箇所もありました)

ナビエ・ストークス方程式という
未だに解き明かされていない物理学の問題があるらしく、
こういうのを出してくるところが東野さんらしくて好きです。
『容疑者Xの献身』にもありましたよね。
四色問題とか、ナントカのナントカとか(←全然覚えてない)

今回は明確な主人公はいない(ように私には思えたのですが)、
終わり方にモヤモヤが残る、
結局真相は「そういう遺伝子を持って生まれた」ことと
「そういう能力を持ってしまった」ことによるわけで、
なんだかSPECっぽい話でした。
(ラプラスってなんだ?と思ってたのですが、
読み進めるうちにラプラスについて説明するシーンが出てきて、
その文章を読んで「なんかどこかで聞いたことあるような」と調べたら
SPEC~結~に出てきたようでした)
ちなみに今回、馬鹿な私の予想が当たったのは
「ブログが虚構だった」という点だけでした
ミステリー小説読んで犯人分かる人ってすごいなといつも思います。

「無意識」とか「父性欠落症」とか「残虐性」など
心理っぽい話もありつつ。
ちょっとサイコパスも入ってるかな。

劇中に出てくる映画のタイトル「廃墟」や
青江教授の趣味の「レゴブロック」など
細かいところまで伏線というか、最後のほうで繋がってきて・・・。

その青江さんのレゴ遊び、
「作っては壊すの繰り返しだよ」ってボヤキが2回あるけど、
この「作っては壊す」がキーワードなんじゃないかと思います。
甘粕才生(あまかす さいせい)という名前も
「再生」にかけてるのかな~とか
「才能を生かし切れなかった」にかけてるのかな~なんて思いました。
作っては壊しても元に戻るものと、
一生取り返しのつかないことになるものがあるわけで。。
(しかし甘粕才生の自殺はきっと他殺だろうな。
やっぱり謙人くんが怪しい。
ラストの強盗犯を退治する円華ちゃんは
絶対に分かっててそのお店に行ったよね。
いかにも時間を読んでる感じだもの)

謙人くんと円華ちゃんの能力は
場合によっては羨ましいと思うけど、
望んでないのに持ってしまったのと
誰にも打ち明けられないことを思うと、
ほんと天才は孤独だなって思うね・・・。
2人にしか通じない話も多々あるようだし。

「予測」が過ぎて人の心の動きまで読めてしまうなんて。
さらに「彼らは人間や社会の行く末まで見えてるかもしれない」
って描写がありましたね。
「人類の存在意義」や「世界のこれから」みたいな
壮大なテーマの小説でしたm(_ _)m
それでも言いたいことは、
最後に謙人くんが言った「無駄な価値の個体はない」
ってことに尽きるんだろうと思います。
だけどその直後、
謙人くんのくだりを知らない刑事の言う
「所詮、俺らは小さな駒なんだよ」って自虐的な言葉を入れるところが
これまた東野さんらしい。

やっぱり私は湯川先生や加賀刑事のお話が好きですけどね。
最近の東野さんの中では、
「祈りの幕が下りる時」のほうがよかったです。
でも「夢幻花」よりは、「ラプラス」の方が面白いと思いました。
「虚ろな十字架」や「ナミヤ雑貨店」も読みたいし、
「マスカレード・ホテル」を読んだからには「イヴ」のほうも読みたい。
まだまだ気になってる作品だらけです

で、ラプラス。ほぼ確実に映像化するだろうな。
その暁には、クライマックスの廃墟のロケ地を探すのと、
CGや建物崩壊シーンにお金がかかる大変な作品になるかと(笑)
忠実にやらないとつまんない話になってしまう可能性大。
謙人くんと円華ちゃん役が重要でっせ。

そうそう、ある場面で
コンサートによく使われるハート形の紙吹雪が出てくるんだけど、
「これが降ってる最中
ファンのあいだでは奪い合いが起きるんだろうな」
というような台詞がありまして、
東野さんったらファン心理分かってるな~と思いました


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