Drマサ非公認ブログ

資本主義に経済成長はない

 トマス・ピケティの『21世紀の資本』みすず書房2014年を覚えているでしょうか。当時随分と話題になった。もうすでに5年以上経っているのかと思うと、ピケティの業績が生かされていない事に驚くばかりだ。

 格差は日本社会でも問題だ。経済学では格差が生まれるメカニズムは当然課題である。ピケティ著は本当に格差は広がっているのかという点を精緻な統計処理に従い論証したことである。

 当然格差は広がっている。それだけなら実感の追随にすぎないが、格差の原因が所得格差ではないことを明らかにしたことが驚きであった。それは経済成長が神話でしかなかったということをも論証したのである。

 ここでは数字を省いていこう。確かにここのところ所得格差は広がっているのだが、より広がっているのは資本格差である。

 これはこれまでの経済学の定石では説明できない。自由経済市場では賃金や報酬はその人物の能力に応じて決まると想定してきた。よってトップの富裕層はそれだけ能力が高い人物である。よって市場原理は公正だとしてきたわけだ。

 ビル・ゲイツは僕の1億倍?は能力が高い事になるけど、僕はその能力ってなんだろうか?と疑問に思うところなのだけど、そこは不問である。えっ、もっと差があるだろうって。確かに資本格差ではそうなる。

 彼と僕では資本の差があることは良くわかる。僕の資産は一応東京のマンション一個分程度。都下なので安い。まだローン返済中。ビル・ゲイツは11兆円。比較すること自体がナンセンス。ピケティが注目するのは資本格差である。

 ピケティによれば、労働者の賃金はせいぜい国民所得の増加に応じて増加するにすぎない。賃金増加は成長率程度というわけだ。いまの日本では経済成長していないので賃金は上がらない。

 ところが資本からの収益は成長率以上の増加になる。つまり資産からの所得は経済成長率以上の増加になる。これが格差の原因だ。もっといえば、金融工学の発達が現在の(偽の)経済成長である。つまり金持ちをより金持ちにした。庶民は低空飛行を続けるだけだ。

 GDPで計られる経済成長とは、おおよそ資本の収益率になることが理解できると思う。ここからある結論が生み出される。資本主義はそれほどの経済成長を生み出さない。実際経済成長と言われているのは人口増加にすぎない。人が増えれば生産性は上がる。

 いま現在の新自由主義で利益をあげているのは生産性ではなく、資本の収益率が上がっているだけである。

 明らかに日本は高齢化とともに人口減少社会なわけで、経済成長はしない事になる。さ〜て、どんな政策がいいのだろうか。経済成長を目指すことは良いことだろうか。ピケティの経済学は新自由主義の批判である。

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「社会」カテゴリーもっと見る