国立文楽劇場は初めて。
高校で団体観劇したことがあるような、かすかな記憶。
その頃も、文楽の灯を守らねば、と、古い劇場に動員されたのだった、か。
今回は、総数200戸の自治会が、自主的、民主的に選んだ。
大型バス二台がほぼ満席だったから、かなりの人気行事といえる。
いつかは行きたい、と願いながら見送っていた〝団塊世代〟がリタイアして、
「行政に潰されてはたまらない」と、判官贔屓に火が着いた?
歓楽街の中に、ポツンと文化的な施設が置き忘れられているようにみえる、が、
文楽劇場の立地、千日前は、伝統的に正統な、江戸時代からの芝居小屋のメッカ。
六座のうち、中座、角座、松竹座(映画館)は、子どもの頃から馴染みがあり、
近くのお食事処では、素顔の有名俳優さんを見かけたりしたものだ。
で、11月文楽公演は、文楽協会創立50周年記念、竹本義太夫300回忌と銘打たれた、
『伊賀越道中双六』(通し狂言!)。
伊賀越えといえば、本能寺の変のあと、家康が堺から三河に移る、歴史上有名な偉業。
それだけが強烈に、見せ場として印象づけられていた。
全く無縁という訳ではなかろうが、文楽のストーリーを追うのに、これは少し邪魔をする。
無知ついでに、浅薄な感想を記すのも恥ずかしい、が、
文楽は宝の山。
人形遣いの至芸の技に圧倒され、
義太夫の音楽性に酔いしれた。
太棹って、究極のアドリブ、燃えさかる熱いスィングと言っては浅はかだろうか。
道楽で義太夫を語るおじさんが、昔は下町の町内にいた、なんて信じられないでしょうね。
匠の技の塊と、もっとお近づきにならなくては、もったいない・・・。